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徹底比較!!SaaS vs.パッケージ
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第2回:SaaSが実現するエンタープライズIT社会の共存共栄モデル

著者:みずほ情報総研  古川 曜子   2007/10/9
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セールスフォースが提案するSaaSベンダーと開発ベンダーとの共栄モデル

   それではシステム導入におけるもう一方のプレイヤーでもある開発ベンダーにとって、SaaSはいかなるビジネスモデルであるのだろうか。そもそもエンタープライズシステムの世界では、大元の製品・サービスを提供するベンダーとユーザとの間に、それらの製品・サービスの効率的かつ効果的な導入を支援する「開発ベンダー」や「SIer」といった存在がある。彼らは主に既存製品やサービスをユーザ固有のニーズに合うようにカスタマイズして提供する役割を果たしている。

   優れたアプリケーションは、本来1社のみの力で作れるものではない。業種ごとに様々なバリエーションのニーズがあるビジネスアプリケーションの世界ではなおさらのことである。

   SFDC社ではSaaSのビジネスモデルを共に発展させる重要な協力者として開発ベンダーを位置付け、彼らの力を取り込んで自身のサービスを絶え間なく拡張させながら、そして同時に開発ベンダーにも利益をもたらす仕組みを作ることに成功している。以下、そのケースをみてみよう。

アプリケーション開発プラットフォームの共有

   SFDC社はApexプラットフォームという開発・テスト環境を提供し、その上で開発ベンダー各社がセールスフォースと連携する様々なアプリケーションを自由に開発してビジネスができるようにしている。Apexプラットフォームには様々な開発キッドやサンプルコード、セールスフォースにアクセスするためのAPIなどが用意されており、効率的に開発を行うことができる。

   さらにここで作ったアプリケーションは、セールスフォースのユーザが集まる環境(AppExchangeのWebサイト)で、そのままユーザに有料/無料で提供・サービスすることができる。ユーザは良いものがあれば「お試し感覚」で、自分の利用環境にそれらをインストールして利用可能だ。

図2:AppExchangeの仕組み 出典元:http://www.salesforce.com/jp/appexchange/about_appex.jsp
図2:AppExchangeの仕組み
出典元:セールスフォース・ドットコム
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   同じことを外部の環境で行おうとした場合、開発ベンダー各社は1から自分で開発環境を用意しなければならず、顧客も自分で探さなければならない。また顧客環境にそのアプリケーションをインストールする作業コストもかかる。

   これらの障壁をすべて取り払い、そして良いアイデアさえあれば、すぐに作って売れるこの環境はビジネスを行う者はもとより、開発者にとっても非常に魅力的だろう。こういった取り組みによって多くのアプリケーションが集まって、いまではワールドワイドで700近くのアプリケーションがここに提供されているそうだ。

   つまりパートナー企業が良いアプリケーションを作れば作るほど、それはセールスフォース自体の機能拡張につながることになる。ラインナップが増えればより多くのユーザがそのプラットフォームに集まり、そしてセールスフォースとそれに連携された各種アプリケーションを利用することになる。またアプリケーションが利用されれば、それは開発ベンダーの利益につながる。

   このようにしてSFDC社は、共通プラットフォームを持つSaaSならではの開発ベンダーとの協力関係を作り出し、多くの開発ベンダーを引き付けたのである。

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みずほ情報総研株式会社 古川 曜子
著者プロフィール
みずほ情報総研株式会社  古川 曜子
金融ソリューション第2部
1999年、富士総合研究所(現みずほ情報総研)に入社。民間企業、中央官庁のナレッジマネジメントやEA関連のコンサルティング業務に従事。現在は、企業情報ポータル、検索エンジンなど、「エンタープライズ2.0」のソリューションを活用した企業内情報活用のためのシステム構築業務に携わっている。著書に、「ITとビジネスをつなぐエンタープライズ・アーキテクチャ」(中央経済社)、「サーチアーキテクチャ」(ソフトバンククリエイティブ)(いずれも共著)。


INDEX
第2回:SaaSが実現するエンタープライズIT社会の共存共栄モデル
  SaaSのビジネスモデルは「共存共栄」
セールスフォースが提案するSaaSベンダーと開発ベンダーとの共栄モデル
  SaaSがもたらすビジネス競争の変化、本質的競争への回帰