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商用&OSSデータベースの現状と今後
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第5回:ホントにつながる?商用とOSSの異種データベース接続を見てみよう
著者:オフィスローグ 工藤 淳 2005/7/7
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どんなデータソースもシームレスに扱えることが、商用DBのデータ変換の条件
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つい大上段に構えて冒頭からETLツールの概念などを採り上げてしまったが、多くのデータベースユーザにとってのデータ変換〜異種データベース接続というのはもっと泥臭いレベルの話が多く、またそちらの方が切実であったりする。冒頭に出てきた"部分最適"のシステム同士で、いかにデータをスムーズにやり取りできるかで、自分の仕事や自社の商売の能率が大きく変わってくるのだから、当たり前というのもおろかなり。商いは泥臭い部分こそ大事なのである。
そこで、このあたりのことから商用データベースの現在はどんなものなのかを見てみたい。そこで今回もマイクロソフトの斎藤泰行氏に伺ってみた。折りしもマイクロソフトはこの秋ともいわれるSQL Server 2005のリリースを間近に控えており、中でもまったく新しく生まれ変わったETLツールの実力はすでに大きな話題を呼んでいる。
「SQL Serverには、これまでDTS(Data Transformation Services)というETLツールが標準搭載されていました。PASSJ(SQL Serverユーザーグループ)のアンケートによると、SQL Serverユーザの90%が使っているという実績からもわかるように、データベースの運用管理から異機種間のデータベース接続まで広く使われている大変便利なデータ変換ツールです」
図2:DTSとAnalysis Services
斎藤氏によれば、マイクロソフトのデータ活用プラットフォームは、もともとDTSを始めすべて異機種間接続を意識しているという。DTSの場合はOLE DB経由でさまざまな異種DBに接続可能だし、Access、CSV、テキストといった多様なデータソースにも対応している。このため現場レベルではあちこちに散在するデータベースから、そのままデータをとってきてデータウェアハウスを作ることも可能だ。
さらに標準搭載のBIツールであるAnalysis Servicesを使えば、OracleやDB2につないで直接キューブを作成したりといった作業も可能で、まさにこのあたりはマイクロソフトらしいイージーエントリー&イージーユーズである。データ活用のシーンを考えるとSQL Serverだけということは当然ありえないわけで、異機種間接続はマイクロソフト製品のポリシーとして組み込まれているのだと、斎藤氏は説明する。
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単なるデータ変換にとどまらず、ビジネスの効率までを提供できて及第点
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このDTSがSQL Server 2005では「Integration Services」と名前を変え、大幅に性能を向上させた。
まずGUIベースのツールがVisual Studio 2005のシェルの中に統一されて、色々な変換のコンポーネントが40〜50種類用意された。カラムとカラムを足して新しいカラムを作るのも簡単だし、半角カナを全角カナに変換してからインサートするといったことも可能だ。またデフォルトでコンポーネントがついているので、GUIで設定するだけでどんどんワークフローが組めるという。
実際の例で考えてみよう。単価150円のコーラ100本の売り上げを計上する場合、もし商品名「コーラ」が半角で入っていると、その「コーラ」を全角に変えた上で単価150×100本を「今月の売り上げ」として新しいカラムを作り、売り上げ集計のデータベースにロードしていく……という一連の処理が3分程度で設定できるという。
もちろんこれをOSS(オープンソースソフトウェア)のデータベースで実行しようとすれば、できないことはない。OSS用のコード変換テーブルを用意しておいて、コードを呼び出して全角の文字コードに変換して……という処理を手書きで行っていけばよいのだが、とはいえ、とても3分で行うことは不可能だろう。
だからOSSデータベースが劣るといっているのでは、決してない。後でも述べるが、これは商用データベースとOSSデータベースの考え方の根本的な違いによるものである。商用データベースは、「データソースの活用の結果として、いかにユーザのビジネスを効率的にドライブできるか」という至上命題を常に抱えている。この結果、OSSでは必ずしも優先課題ではない「作業効率」という能力が強く求められてくるのである。
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著者プロフィール
オフィスローグ 工藤 淳
IT技術系出版社勤務を経て、オフィスローグとして独立。データベース関連誌編集に携わっていた流れで、現在もデータベース系の執筆が比較的多い。元々は楽器から建築、自動車まで何でも注文があれば書いてきたのが、気がついたらIT専門のような顔をして仕事をしているのに自分で少し驚愕、赤面。
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