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商用&OSSデータベースの現状と今後
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第1回:シェアの差はそのままデータベースの実力の差か?〜RDBMS各々のメリットとデメリット比較〜
著者:オフィスローグ 工藤 淳 2005/3/11
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はじめに
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Oracle、SQL Server、DB2 UDBの3大製品に代表される商用RDBMS、そしてMySQLやPostgreSQLといったオープンソースデータベース、両者にはどんな違いがあり、技術者やユーザにとってのメリット/デメリットにはどんなものがあるのか?
いくつもの"定説"が語られながら、今ひとつ本当のことが伝わってこなかった、これら2つのデータベースの事実を探ってみる。
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データベースの世界を分ける商用/OSSの2つの勢力
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ITソリューションを考えるときに、データベースは欠かせない存在だ。とりわけリレーショナルデータベース(RDB)は、世の中のいわゆるエンタープライズ系ソリューションのバックエンドに必ずといってよいほど実装されている。RDBは、いまやITソリューションの隠れた中心とさえ言ってもよいだろう。
他のアプリケーションと同じように、RDBにも商用ソフトウェアとオープンソースソフトウェア(以下OSS)の2つの大きな潮流がある。前者の代表的なものとしては、まず「Oracle」、「Microsoft SQL Server」そしてIBMの「DB2 Universal Database」の3製品が挙げられる。
もちろんこれらの他にも、老舗であるSybaseの「Adaptive Server Enterprise」や、同社から独立したiAnywareのモバイル用RDB「Adaptive Server Anywhere」があるが、一般的なユーザの側からの認知度から見た場合、やはり前述の3製品が商用RDBMSの代表格といってよいだろう。また国産RDBとしては、富士通の「Symfoware」や日立の「HiRDB」などがあるが状況は同様だ。
一方のOSSの代表格は、「PostgreSQL」と「MySQL」の2製品である。もちろんいずれも特定のベンダーではなく、それぞれのソフトウェアを支持するユーザ/開発者自身によるユーザグループを中心に開発・利用が進められている。
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データベースにまつわる"定説"は、はたしてホントなのか?
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さて、ThinkITの読者がデータベースを選ぶとき、やはり気になるのは「商用製品とOSS、長所短所はあれこれ聞くが、実際のところはどうなのか?」ということではないか。データベースに限らず、商用ソフトウェアとOSSの間には、必ず色々な意見や噂が存在する。しかも、誰もそれが本当かどうかよくわからない。誰も見たことのないお化け話のような"定説"が、一人歩きしているのだ。
いわく「やはり実績で見るなら商用製品」、「いやいやOSSだって充分に機能は進化している」……。両方の声に耳を傾けてはみるものの、しだいに本当のようにも間違っているようにも思えてきて「結局なんだかわからない」となってしまうことが多いのではないだろうか。巡りめぐって、ついに問いは元に返る。
「で、実際のところどうなんだ!?」
一般的な評価としては、いくらOSSのデータベースが機能を充実させてきたとはいえ、関係者の大勢は、エンタープライズ分野ではまだ商用DB製品に大きなアドバンテージがあると見ているのが実情だ。それはそうだろう。商用DB製品はいずれも有力なベンダーが巨額の開発費と技術者を注ぎ込んで作り上げ、世界中で構築・運用の実績を重ねてきたものである。
それに対してOSSは、あくまで技術者の自発的な意志によって支えられている。そもそも、ソフトウェアを生み出した背景や考え方そのものがまったく違うのである。株式会社とNPOくらいに製品のバックボーンが違うものを、同一線上に並べて単純に比較するのは決して賢い方法とはいえない。
生まれが違うのだから違うのは当然という前提に立ちつつ、「では、何がどう違うのか?」、そして「その結果、両者にはどんな可能性があるのか」を知ることは、データベースの未来を考える上でも有効だろう。「本当のところはどうなのか?」。データベース勢力図のファクトを、この連載を通じて見ていきたい。
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著者プロフィール
オフィスローグ 工藤 淳
IT技術系出版社勤務を経て、オフィスローグとして独立。データベース関連誌編集に携わっていた流れで、現在もデータベース系の執筆が比較的多い。元々は楽器から建築、自動車まで何でも注文があれば書いてきたのが、気がついたらIT専門のような顔をして仕事をしているのに自分で少し驚愕、赤面。
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