第3回:ビジネスフローの修正 (3/4)

実践!BPI
実践!ビジネス・プロセス・インテグレーション

第3回:ビジネスフローの修正
著者:日本アイ・ビー・エム  小倉 弘敬、佐藤 泉、津田 佳一
2006/2/16
前のページ  1  2  3   4  次のページ
ビジネスプロセスの実装

   O社の懸念事項は、コストを抑えながらどれだけ早く商品注文システムを修正できるのかということであった。これに対してビジネスプロセスの修正案を作成し、既存の連携に影響を与えることなく、新しいビジネス要件を追加していくことが可能なシナリオを作成した。

   次項からはこのビジネスプロセスの修正案を既存のプロセスに適用するための具体的な手順を説明し、変更を反映するためにどの程度の作業が必要であるかを見ていく。

   なお、ここからの説明ではビジネスプロセス全体を「注文 〜 カード決済」の前半部分と「決済結果の受信 〜 発送完了通知」の後半部分とに分けて説明する。


注文 〜 カード決済

   まず、注文 〜 カード決済のフローが修正の前後でどのように変更されるかを整理する。変更前のフローは図1のとおりである。

修正前のフロー
図2:修正前のフロー

   このフローに対して今回の修正案を適用していくことを考える。追加するフローの内容は次の2つである。

  1. 注文データ受信後のデータ分離ロジックの追加
  2. 提携会社へ注文情報を送付し、受注結果を受け取るフロー

    表2:フローの修正案

       この2つの修正を適用したフローを以下の図3に示す。

    修正後のフロー1
    図3:修正後のフロー1
    (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

       注文データ受信後のデータ分離ロジックを実装するために、Assignアクティビティを配置した。Assignアクティビティでは、入力された注文データ内の該当部分が提携会社のシステムへ送信される変数にコピーされる。

       並列処理として実施される自社および提携会社への注文情報の入力処理は、Flowアクティビティを使用することにより実現している。Flowアクティビティを使用するとスコープ内のアクティビティを並列に実行することができる。Flow内のアクティビティの実行順序はLinkを使用することにより制御する。詳細はBPELの仕様を参照していただきたい。

       図3の青で囲まれた部分が提携会社との連携部分になる。ここでは、Invokeにより提携会社へ注文情報を送付するアクティビティとReceiveにより受注結果を受け取るアクティビティの2つを用いて非同期呼び出しパターンを実装している。非同期呼び出しパターンについては「第2回:ビジネスフローの設計」も参照していただきたい。

       以上のフローを実装したBPELのFlow部分は次のようになる。Flow部分以外については前回紹介した内容と基本的に同じである。

    注文情報入力部分のフローを記述するBPEL
    図4:注文情報入力部分のフローを記述するBPEL
    (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

       Flowアクティビティによって注文処理を並列で実行し、それぞれの注文処理の呼び出し順序をLinkを用いて制御している。提携会社への注文では、送付した注文情報とその結果である受注結果を関連付けるのにCorrelation Setを使用していることにも注意してほしい。これにより自社のプロセスと提携会社のプロセスとの非同期要求・応答処理を実現している。

       このように、第2回で作成したBPELを図3のように書き換えることで、ビジネスプロセスの前半部分は修正案を適用したことになる。

    前のページ  1  2  3   4  次のページ


    日本アイ・ビー・エム株式会社 小倉 弘敬
    著者プロフィール
    日本アイ・ビー・エム株式会社  小倉 弘敬
    日本アイ・ビー・エムソリューション開発 インテグレーション所属
    ソフトウェア・エバンジェリスト。担当分野は、ビジネス・プロセス・インテグレーション(BPI:Business Process Integration)。WebSphere Business Integration(WBI)ソリューションセンターで、BPIソリューションの開発/提供に従事する。


    日本アイ・ビー・エム株式会社 佐藤 泉
    著者プロフィール
    日本アイ・ビー・エム株式会社  佐藤 泉
    入社以来、ワークフロー、ビジネスプロセスエンジン、ビジネスプロセスモニターなどのソフトウェア製品の開発やそれらの製品をベースとしたソリューションの提案活動に従事。
    特に、SOAに則ったBPI(Business Process Integration)やBIO(Business Innovation and Optimization)を得意分野とする。


    日本アイ・ビー・エム株式会社 津田 佳一
    著者プロフィール
    日本アイ・ビー・エム株式会社  津田 佳一
    日本アイ・ビー・エム ソリューション開発 インテグレーション所属
    BPIソリューションの開発/提供に従事する。


    INDEX
    第3回:ビジネスフローの修正
     はじめに
     O社のネット注文システム用ビジネスプロセスの修正案
    ビジネスプロセスの実装
     決済結果の受信 〜 発送完了通知
    実践!ビジネス・プロセス・インテグレーション
    第1回BO定義とインターフェース定義
    第2回ビジネスフローの設計
    第3回ビジネスフローの修正
    第4回他システムとの連携の追加
    企業戦略におけるビジネス・プロセス・インテグレーション
    第1回企業戦略を支える技術としてのBPI
    第2回BPIのビジネス要件とそれを実現するための機能
    第3回ビジネスプロセスを意味のあるプロセスに

    人気記事トップ10

    人気記事ランキングをもっと見る

    企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored