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| 日本版SOX法とは | ||||||||||
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最近「日本版SOX法」という言葉が、企業情報の適正開示やそれを支える内部統制の議論の中で、メディアやビジネス誌などで盛んに使用されるようになっている。このSOX法とは、米国のサーベンス・オックスリー法(以下、米国SOX法)の略称であるが、米国では2001年のエンロンの破綻と不正会計の発覚、さらにその後発生した米国企業の不祥事を受けて2002年に制定されたものである。 米国SOX法は企業や経営者のみならず、会計監査人の監査や責任までも含めた抜本的な改革措置を定めたものである。その中でも企業に大きな影響を与えたものが、企業の内部統制の評価と監査の制度だ。同制度に対応するためには、企業は制度が要求する一定水準以上の内部統制を整備・運用するとともに、企業自ら毎年その評価をすることが要求される。加えて外部監査人の評価も受けなければならないこととなった。 わが国も平成16年の秋以降に、上場企業における株式情報にかかわる虚偽開示問題などが多発したことに起因して、情報の適正開示を担保することが必要になり、金融庁が中心となって米国SOX法と類似の内部統制の評価制度の導入が検討されるにいたった。 同制度を適用するための基準として、金融庁より「財務報告に係る内部統制の評価と監査の基準案(以下、基準案)」が公表されている。さらに法的担保として、第164回国会に提出された金融商品取引法の中で、同制度の施行が平成20年(2009年)4月1日以降の開始事業年度より予定されている。
「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/singi/f-20051208-2.pdf この新たに導入される内部統制評価制度に関しては、公の基準として上記「基準案」が公表されているだけであり、制度の詳細が必ずしも明らかでない。そこで本連載では、この「基準案」と米国SOX法の実務などを参考にしながら、制度に関するポイントを考察していく。 |
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| 内部統制とは何か | ||||||||||
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「基準案」では「内部統制は表1の4つの目的を達成するためのものであり、そのために業務に組み込まれて、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスである」としている。
表1:内部統制における達成すべき目的
さらに内部統制は上記の目的を達成するために以下の6つの基本的要素から構成されており、これらの基本的要素が経営管理の仕組みに組み込まれ、一体となって機能することで内部統制は有効に機能する。基本的要素の内容とそれらの関係を要約すれば、次のようになる。 「1. 統制環境」は組織の気風を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎となるものである(例:経営者の誠実性および倫理観、経営方針、組織構造など)。 この統制環境の中で、経営者は一連のプロセスを持って目標達成に影響を与えるリスクを識別、分析および評価することによりリスクへ対応し(2. リスクの評価と対応)、かかるリスクへ対応するために経営者の命令および指示が適切に実行されるための方針・手続(3. 統制活動)を定めていく(例:権限および職責の付与、職務分掌など)。 一方、上記の基本的要素が有効に機能するためには、必要な情報が識別、把握および処理され、組織内外や関係者相互に適切に伝達されるように会計システム、報告システムなどが必要である(4. 情報と伝達)。また以上の内部統制の有効性は継続的に「5.モニタリング」され、評価される必要がある(例:内部監査など)。 そして上記の基本的要素が有効かつ効率的に機能するためには、IT環境に適切に対応し、ITを有効かつ効率的に利用するとともに、適切な方針および手続を定めていく「6. ITへの対応」が極めて重要となる。 |
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