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2006 JavaOne Conference
2006 JavaOne Conferenceレポート
2006 JavaOne Conferenceレポート

オープンなJavaを支えるコミュニティ
会場:サンフランシスコ Moscone Center
記者:ThinkIT編集局   2006/5/17
開かれつつあるJavaとそれを支えるコミュニティ


Duke Bandのギグの模様
   2006年5月17日(現地時間)にサンフランシスコ Moscone CenterにてJavaOne 2006 Conferenceが開催された。今回はSun Microsytems社(以下Sun)の創業者であり、22年の間CEOとして同社を成長させていったScott McNealy氏が会長として第一戦を退き、Jonathan Schwartz氏が新CEOとなった後にはじめて開催されるJavaOne Conferenceとなる。

   本日の基調講演では、Jonathan Schwartz氏が登場するやいなや、Sunのサーバを担ぐパフォーマンスをして会場を沸かせた。壇上にあがったSchwartz氏は「今回のカンファレンスで訴えたいことは、コミュニティは重要だということだ」と語るとともに「1,052社のJava Community Process(JCP)のメンバーによってJavaは発展を続けている。なによりもコミュニティがJavaをサポートするしていることが大切」ともいい、コミュニティの重要性を訴えた。

Sunのサーバを取り出し、来場者の笑いを誘うSchwartz氏
Sunのサーバを取り出し、来場者の笑いを誘うSchwartz氏

   また多くのJCPメンバーが壇上に登場し、Javaが多くの企業の協力によって支えられているオープンな技術であるとアピールした。

Sunとの協業をアピールするJCPメンバー
Sunとの協業をアピールするJCPメンバー

   このようにSunの基本方針は、コミュニティとオープンソースが重要であることを示した。

   その後Schwartz氏は各企業のエグゼクティブを壇上に招待し、各企業の功績を讃えた。Duke像をMotorolaのEd ZanderCEO兼会長に贈ったり、JBossのゼネラルマネージャーであるMarc Fleury氏に「I love NetBeans」というTシャツを贈呈するパフォーマンスを行ったりと、各企業との円滑な協業をみることができた。

Marc Fleury氏に「I love NetBeans」というTシャツを贈呈するSchwartz氏
Marc Fleury氏に「I love NetBeans」というTシャツを贈呈するSchwartz氏

   Schwartz氏はJavaのさらなる飛躍ははじまっているとし、JCPへの加入を呼びかけた。


Open Java EE 5

   続いてはSunのEnterprise PlatformとDeveloper ProductのSVPであるJeff Jackson氏が登場した。Java EE 5は、エンタープライズ向けのJavaの技術の中でも、大きなウェイトを占めているとJeff氏はいう。

   これらの理由として、EoD(Ease of Development)での開発の容易化、Web2.0のサポート、.NETの部分利用、SOAの平易化をあげた。

Java EE 5の特長
Java EE 5の特長

   その他にも、Java EE 5の特徴として、アノテーションを利用してのプログラム設計の平準化、EJB3.0でのPOJOのサポート、新しく持続力があるJavaAPI、SOAへの土台、Ajaxを利用したWeb2.0アプリケーション、NetBeans IDE 5.5のサポートを発表した。なお、NetBeans IDE 5.5は本日よりサポートされるという。



   NetBeans IDE 5.5のサポートについて、「NetBeans IDE 5.5のサポートができたのもコミュニティのおかげです」と、Jackson氏はコミュニティに感謝を述べた。

   Java EE 5を利用することで簡単な開発ができるとともに、多くの企業の協力によってオープンな「Open Java EE 5」になったとのこと。

NetBeans Community一覧
NetBeans Community一覧


Java SDK 6

   またJackson氏から、開発中のJavaSDK6(Mustang)について解説があった。互換性・安定性・性能の向上、JSR-223のサポート、Look & Feelな操作方法、JAXWSに対応するという。多くの新機能をぜひベータ版で体験してほしいと強調した。

   「Ajaxを用いたリッチクライアント環境を体験して欲しい」と、Jackson氏はJavaSDK 6の可能性に期待を寄せた。

Java SE 6のWeb2.0への対応
Java SE 6のWeb2.0への対応

   初日の基調講演ということもあって、多くの来場者が集まった。今回のJavaOneは「少しずつJavaをオープンソースしていく」「コミュニティによってJavaはすでにオープンなものである」ということがキーワードではないだろうか。

   またWeb2.0への対応にも多くの時間が割かれており、よりインタラクティブな操作ができることが今後のアプリケーションにとって重要であることは明らかであった。

   そしてJava EE 5ではEoD(Ease of Development)で開発の効率化を可能とし、それは日本と同様エンジニアの教育に苦心している世界のエンジニアに、多くの恩恵を与えるのではないだろうか。


Javaに関するライセンス(Distro License for Java)の改訂

   サプライズとして、「JDK(Java Development Kit)とJRE(Java Runtime Environment)に関するライセンスを変更する」とUbuntu GNU/Linuxの設立者・スポンサーであるMark Shuttleworth氏による緊急発表があった。

   これにより、GNU/LinuxとOpenSolarisにJDKとJREを同梱して再配布できることとなる。認められたのはバイナリファイルのみであるが、大きな前進であるといえよう。なお、「Ubuntu Linux」「Gentoo Linux」「Debian GNU/Linux」「Nexentra OS」が対応をはじめているという。

Mark Shuttleworth氏(左)
Mark Shuttleworth氏(左)


Duke's Choice Awards

   Duke's Choice Awardsは毎年最も先進的な影響を与えたJavaテクノロジーを用いたアプリケーションを開発した企業に与えられる。企業は世界中から選ばれ、Sunの副社長でフェローでもあるJames Gosling氏とSunのJavaテクノロジーのエキスパートによって選定される。今年はJava MEが利用されたflurrymailが受賞することとなった。

Flurry, Inc.創業者でCTOのGabriel Vanrenen氏
Flurry, Inc.創業者でCTOのGabriel Vanrenen氏


Dukeバンドの演奏

   今回のJavaOneでは、なんと屋外でDuke BandのDukeleleの演奏が行われていた。

Duke Bandのギグ
Duke Bandのギグ

(ThinkIT編集局:石黒大介)