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明暗が分かれたITシステム/アプリケーション導入

2006年6月21日(水)
伊嶋 謙二

はじめに

 第2回の今回は、中堅・中小企業におけるITシステム/アプリケーションの導入状況の変化について詳しくみていこう。前回述べた本調査のポイントにあるように、中堅・中小企業の特徴としては、「情報系システムの導入は進んでいるが、戦略系システムは停滞」という事実が残念ながら「既成事実」となってしまっている。

今回は具体的に中堅・中小企業において、どういったITシステム/アプリケーションがどういった背景で導入されてきたのか、またその逆について調査データの紹介とともに解説していく。

調査プロフィール

本調査は、ノーク・リサーチ所有の企業データベースから抽出した全国の年商5億円以上500億円未満の民間 IAサーバ導入企業約4,000社を対象に、2006年1月から3月までの期間で郵送アンケートおよびWebアンケートを実施し、その結果有効票931件 を回収した。

社内ネットワーク構築後、効果の見えやすいグループウェアへ

まずはITシステム/アプリケーション導入状況として、主にインフラやセキュリティ、情報共有アプリケーションなどの導入率の経年推移を示している。
インフラやセキュリティ、情報共有アプリケーションの導入率
図1:インフラやセキュリティ、情報共有アプリケーションの導入率
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

これを見て明らかなのは、「イントラネット」や「LAN」といった社内ネットワーク構築やインフラ構築は、2004年にそれぞれ60.5%、97.0%となっており、高い導入率を示している。「LAN」に関してはほぼ完了しており、「イントラネット」も中堅企業においてはほぼ導入済みといえる だろう。

「LAN」については、2002年時点ですでに9割以上が導入済みであり、新規導入の検討・関心度合は1割にも満たない。もはや中堅・中小企業の社 内のIT環境を築いていく上での最低限の情報インフラは、すでに構築されているといえよう。また「ファイアウォール」によるネットワークセキュリティの構 築も、2004年時点で約6割が済ませている。

こうしてセキュリティ対応済みのネットワーク環境を有効利用しようという動きが生まれ、「グループウェア」が注目された。実際に「グループウェア」 の導入率は2002年以来上昇を続けている。それとともに新規導入の検討・関心度合は下降してきており、「グループウェア」は着実に中堅・中小企業へ浸透 しているといえるだろう。

一方「ナレッジマネジメント」について導入率が1割未満であり続けるのは、それがあくまで経営手法の概念の1つとして捉えられているところが大き い。実際的な役割については、「グループウェア」による情報共有という「機能」で代用されていると考えるのが妥当であろう。

「ASP」についてもグループウェアと同様に着実な利用率の上昇が見られるが、依然20%に満たない。市場全体的にASPはアプリケーションの提供というより、ホスティング系を含めた広義のASPのニーズは確かに存在する。

  しかしいわゆるITシステムのアウトソーシングの「ASP」は、アプリケーションレベルにおいて一部「グループウェア」などで実績がある程度で、ほとんど顕在化していないのが実態だ。

 ここまででいえることは、中堅・中小企業はまずネットワーク構築を済ませ、その効果が最も早くあらわれかつ目に見えやすい「グループウェア」が注目 されてきたということだ。導入率は6割に達しており導入意向は低下していることから、中堅・中小企業の関心が次のステップに移っているといえるだろう。

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有限会社ノーク・リサーチ

1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどを プラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関す るリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設 立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/

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