東芝と東北大学東北メディカル・メガバンク機構、全ゲノム配列データを量子暗号通信を用いて伝送することに世界で初めて成功
2020年1月16日(木)
東芝と東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は1月14日、数百ギガバイトを超えるデータ量の全ゲノム配列データを、量子暗号通信を用いて伝送することに世界で初めて成功したと発表した。
量子暗号通信技術による鍵配信速度は現時点で最大でも10Mbps程度であり、大規模なデータ伝送の活用には課題があったが、今回東芝とToMMoは、大規模データを逐次暗号化・逐次伝送するシステムを開発し、全ゲノム配列データのリアルタイム伝送を実現した。これにより、量子暗号技術が大容量データの伝送に活用できること、またゲノム研究・ゲノム医療の分野において実用レベルで活用できることが実証されたとしている。
東芝とToMMoは、東芝ライフサイエンス解析センターに設置した次世代シークエンサーを用いて、T約7km間に敷設された光ファイバー専用回線を介したデータの伝送実証を行った。ToMMoが保有するDNA検体を対象とした、全ゲノム配列解析から出力される全ゲノム配列データを、量子暗号通信によって逐次暗号化・逐次伝送させ、解析処理完了から遅延なく、リアルタイム伝送することに成功したという。
量子暗号通信技術は、量子力学の原理に基づき、あらゆる盗聴や解読に対して安全な暗号通信を実現する技術。このため、機密データのバックアップや高い秘匿性が要求される医療データの暗号伝送等への導入が期待されている。
(川原 龍人/びぎねっと)
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