富士通研究所、スマートフォンを安全に業務で利用できるアプリケーション実行基盤技術を開発
富士通研究所は8月31日、スマートフォンの使い勝手を損なうことなく、業務サービスを安全に利用できるアプリケーション実行基盤技術を開発したと発表した。
今回発表されたのは、クラウドからスマートフォンを制御して、業務サービス実行に適した実行環境を生成し、安全に実行することを可能にするセキュアアプリ実行基盤。セキュアアプリ実行基盤を支える技術は、コンテキストデスクトップ技術、セキュア実行環境技術、シームレスプッシュ技術の3つ。
・コンテキストデスクトップ技術
状況に応じて画面の切り替えや配信するアプリケーションの管理を行う技術。たとえば、スマートフォンを所有した人がオフィスに居ることを検知すると、そのスマートフォンの画面を業務に適した画面に切り替える。アプリケーションは必要な時だけクラウドからスマートフォンに配信し、必要がなくなれば消去を行う。このようにアプリケーションの管理をクラウドから制御することで、ユーザーに業務環境を不用意に触らせることのない安全な運用を行うことが可能となる。
・セキュア実行環境技術
アプリケーションを安全に実行し、スマートフォンに搭載されたカメラやネットワークなどに対して利用制限を行う技術。アプリケーションやデータは、あらかじめクラウドで暗号化されスマートフォンに配信される。スマートフォンでは暗号化されたアプリケーションやデータを実行メモリ上で動的に復号化して実行。これにより実行メモリ以外には復号化した情報を残さない。必要に応じてカメラやネットワークなどに対して利用を制限することで不要な動作を防止することも可能。たとえば、メモリカード内に保存されたデータを読み込んでウェブサイトにアップロードする悪意のあるコードがアプリケーション内に埋め込まれていたとしても、あらかじめ設定したウェブサイト以外は利用できないようにしておくことで、その動作を防止することが可能となる。
・シームレスプッシュ技術
社内外のどちらのネットワーク環境でもシームレスにスマートフォンへのアプリケーションの配信を可能にする技術。たとえば、スマートフォンを所有した人が社外に居た場合、まず安全な通信路(VPN)を確保するための要求を、クラウドから一般のネットワークを用いてスマートフォンへ通知する。通知を受けたスマートフォンはクラウドとVPN接続することで安全な通信路を確保でき、以降は業務データを安全に受け渡しすることが可能となる。このように、企業内のネットワークに接続されたスマートフォンへのアプリケーション配信だけでなく、企業外の一般のネットワークに接続されたスマートフォンへも企業内からアプリケーション配信を行うことができるため、社外でも安全に業務サービスを受けることが可能となる。
これらの技術により、ユーザーが場所を意識することなくデータが自動的に保護され、状況に応じて安全に業務サービスを配信・実行することが可能になる。このため、スマートフォンの使い勝手を損なわずに、さまざまなシーンでスマートフォンを活用した業務システムを展開することができる。
富士通研究所では、このシステムを簡単に構築できるようパッケージ化をすすめ、2012年度中の実用化を目指すという。
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