JOSUG、OpenStack開発コミュニティ貢献を学ぶ「Upstream Training」「クラウドインテグレーション体験ラウンジ」を実施
オープンソースで開発されるクラウド基盤ソフトウェアである「OpenStack」の普及促進に取り組む日本OpenStackユーザ会(以下、JOSUG)のOpenStack Days Tokyo 2015実行委員会は、2015年2月3日(火)、4日(水)に開催するOpenStack専門カンファレンス「OpenStack Days Tokyo 2015」における特別企画として、OpenStackコントリビューター育成プログラム「Upstream Training(アップストリーム・トレーニング)」と、クラウド上にクラウドネイティブなシステムを構築するための技術を体験し、学習する「クラウドインテグレーション体験ラウンジ」を実施すると発表した。いずれも、日本における今後のOpenStackの発展と普及を促進するために欠かせないエンジニア向け体験型プログラムとなっている。
◆「Upstream Training」
「Upstream Training」は、OpenStackのコミュニティ開発者となるための実践的なトレーニングであり、OpenStackの開発母体であるOpenStack Foundationが実施しているグローバルなプログラム。
オープンソースのOpenStackは、世界130か国の1,000人を超える技術者が参加する開発コミュニティにより新しい機能の追加やバグの修正などが行われる。OpenStack開発コミュニティには誰でも参加(コントリビュート)できるが、バグ管理システムやコードの品質を保つためのレビューシステムがある。
「Upstream Training」では、OpenStackプロジェクトの構造、OpenStackコミュニティへの参加の仕方、コントリビューションのプロセスなどを学ぶ。また、会期中の2日間のトレーニングに加えて、その1週間前からメンターとやり取りしつつバグフィックスを行い、座学後1週間~1カ月を目途に、バグフィックスを採用してもらうことを目指して、コミュニティへのコントリビューションを実際に体験する。
日本においてもOpenStackの認知度は高まりつつあり、ベンダー、SIer、クラウド事業者が実用を始めているが、グローバルで活躍するOpenStackコミュニティ開発者は、日本の経済規模やIT産業の規模からみると相対的に少ないのが現状だ。今後、日本がOpenStackやクラウド分野で競争力を維持していくためには、コミュニティ開発者を増やしていくことが重要であり、「Upstream Training」はその課題解決への第一歩となるもの。
また、OpenStackへのコントリビューションする開発者の大部分は企業に属しており、各企業はそれぞれの何らかの目的を達成するために開発者リソースを提供している。日本の企業は、OpenStackプロジェクトコミュニティ開発者を育成することで、自らの目的をより早く達成することができる。
Upstream Training 実施概要は以下の通り。
◇日時:2月2日(月)14:00~18:00 / 2月3日(火)13:00~18:00
※両日とも参加必要
※会期中の2日間コース(この他に前1週間、後2週間のオンライン作業がある)
◇場所:グランドプリンスホテル高輪 2F 「鈴蘭(すずらん)」
※同ホテルのB1FにてOpenStack Days Tokyo 2015が開催されている
◇対象:OpenStackコミュニティへのコントリビューションを検討しているエンジニア
◇スキル要件:
OpenStackを自力で動かせること。Pythonが記述、読解できる(基礎レベル)
※Pythonに関する教育はプログラム内ではカバーしない。
実際にパッチを作成するプロセスがあり、Pythonが記述できないとコースを完遂できない。
◇定員:約20名
◇参加:無料
定員を超える応募があった場合は抽選となる。
◆「クラウドインテグレーション体験ラウンジ」
クラウドの「使い方」に焦点を当て、OpenStack上に「クラウドネイティブ」な仕組みをインテグレーションしていくための考え方と技術を体験し、学習できる開発者・インフラエンジニア向けのプログラム。
クラウドは従来のサーバー仮想化とは異なり、既存のシステムをクラウド上に移行するだけでは、クラウドのメリットを生かすことはできない。このラウンジでは、クラウドを使うとはどういうことなのか、クラウドを有効活用するためのシステムはどうやってデザインするのか、といった疑問を解消する。来場した方に代表的なデザインパターンをシナリオに沿って、実際にOpenStackを操作し、クラウドインテグレーションを体験してもらう。各テーマのコーナーには説明員がアテンドしており、参加者の質問に対応する。
テーマ例
1.クラウド / OpenStackの基本操作
2.クラウド上でのデータ保護とシステム復旧の考え方
3.自動化ツール(ansible)によるシステム自動展開、各種ツールと連携した自動テスト
4.状態管理ツール(serf/consul)によるシステムの自律化
5.クラウドリソースとアプリケーションリソースの分離による効率化(Docker)
※ラウンジ内に約15台のPCが設置されており、順番に操作してもらう
※上記のテーマは予告無く変更される可能性がある。
クラウドインテグレーション体験ラウンジの実施概要は以下の通り。
◇日時:2月3日(火)13:00~18:00 / 2月4日(水)13:00~18:00
◇場所:グランドプリンスホテル高輪 2F 「桜花(おうか)」
※同ホテルのB1FにてOpenStack Days Tokyo 2015が開催されている
◇対象:クラウド上へのシステム展開を検討しているエンジニア
(アプリ開発者、インフラエンジニア)
◇スキル要件:サーバー仮想化の概念と、TCP/IPネットワークの基礎を理解していること。Linuxの基礎操作が行えること。
◇参加:無料
◇申込方法:OpenStack Days Tokyo 2015の登録者は、事前申し込み不要で参加可能。
所要時間は1テーマ約15分前後 / 全体で約1時間。
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