Serviceguard for Linuxの特徴
Hewlett-Packard(HP)が提供するServiceguard for Linux(以下、SGLX)は、Linuxが稼動するProLiantサーバまたはIntegrityサーバでフェイルオーバー型の高可用性クラスタ (以下、HAクラスタ)を実現するソフトウェアです。
SGLXの主な特徴としては表1があげられます。
- ブレードサーバをサポートし、HAクラスタの結線作業の煩雑化を大幅に低減
- SCSIおよびFibre Channel接続の共有ストレージのサポート
- HP-UX版Serviceguardと同様の機能と管理手法をLinux版でも実現
- 自由なカスタマイズにより、オリジナルのアプリケーションに対してもクラスタ化が可能
- GUIだけでなくCUIによるクラスタ管理のサポートにより、複雑なインテグレーションが可能
- 全世界で10万ライセンス以上の出荷実績
- ライセンスはProLiantサーバ1台あたり25万円
- 災害対策システムに対応
SGLXの一般的なシステム構成を図1に示します。図1に示すように、HAクラスタを実現するすべてのクラスタノードには共有ストレージを接続します。
SGLXのクラスタノードのシステム構成
クラスタノード上のローカルディスクにはLinuxが搭載されていますが、Linuxがインストールされているシステムディスクは、アレイコント ローラによってハードウェアRAIDの構成を組みます。このため例えローカルディスクの一部に障害が発生しても、クラスタノードの稼動を継続させます。
各クラスタノードには、HP Insight Management Agent(IMA)が稼動し、サーバの空冷ファン、冗長電源、筐体内温度などの各種ハードウェアコンポーネントを監視するように構成します。
クラスタノードのハードウェアコンポーネントの状態は、ネットワーク上に別途設置したSystems Insight Manager(SIM)サーバで監視します。クラスタノードのハードウェアコンポーネントに障害が発生すると、SIMサーバに障害が通知されます。
IMAは、障害通知以外にも現在のクラスタノードのハードウェアの状態も表示しますので、管理者はクラスタノードがフェイルオーバーしない場合でもそのクラスタノードにアクセスし、冗長コンポーネントの一部の障害状況を把握することが可能となっています。
Serviceguard for Linux Toolkit
SGLXでは、各種アプリケーション(Apache、Samba、Tomcat、NFS、PostgreSQL、MySQL、Sendmail)に対してクラスタ化するための設定ファイルやモニタリングスクリプトのテンプレートが用意されています。
このテンプレートはServiceguard for Linux Toolkitと呼ばれ、アプリケーションごとに用意されており、HPのWebサイトから無料でダウンロードすることが可能です。ダウンロードした Toolkitを各クラスタノード上で展開し、システム要件を満たすように設定ファイルやスクリプトを変更します。
これらの設定ファイルやスクリプトは、オリジナルのスクリプトを記述するなどのカスタマイズが可能となっており、クラスタ要件が複雑で高度なシステムインテグレーションが必要となる場合でも柔軟に対応できるようになっています。
モニタリングスクリプト
Toolkitに含まれているモニタリングスクリプトはアプリケーションのプロセスを監視します。監視は定期的に行われ、プロセスが異常な状態に なった場合は、モニタリングスクリプトから、そのプロセスの再起動や復旧用スクリプトなどが実行されます。モニタリングスクリプトは様々なカスタマイズが 可能となっていますが、主な機能としては以下があげられます。
- プロセスの有無の監視
- プロセスの再起動
- ファイルシステム容量の監視
- ログファイルに記録されているエラーメッセージの有無の監視
モニタリングスクリプトを一から作成することもできますが、Toolkitに付属しているスクリプトをテンプレートとして作成するのが一般的です。
