出題傾向を分析して備える!「情報セキュリティスペシャリスト」「データベーススペシャリスト」対策
今回は、情報セキュリティスペシャリスト試験(以下、SC)とデータベーススペシャリスト試験(以下、DB)について、それぞれ午前試験、午後試験の対策について解説します。
SC午前対策 Part 2
第4回で説明したように、SC午前試験のうち、午前I問題(高度試験共通)は同じ期の応用情報技術者試験(以下、AP)の午前問題から30問が抽出して出題されます。APの午前問題において出題数が多い、コンピュータシステムと技術要素を中心に学習することで十分合格できます。
午前II試験は、問1~問16までの16問がセキュリティ分野に関する専門的な問題です。残り9問はセキュリティ以外の分野から出題されます(平成25年度秋期試験より。過去の試験もほぼ同様の比率)。
平成25年度秋期における残り9問の内訳は、ネットワーク(4問)、データベース(1問)、システム開発(2問)、ITサービスマネジメント(1問)及びシステム監査(1問)となっています。
ここで、平成21年度春期から平成25年度秋期までにおいて、セキュリティ分野とセキュリティ以外の分野における頻出テーマを示します。頻出テーマの問題を重点的に学習することが重要なので、表1の内容を確認しておきましょう。
SMTP-AUTHやDNSSECなど、認証技術の問題が多く出題されています。これらのテーマはAPではほとんど出題されないので、APレベルの知識では解くことが困難です。過去問題演習によってこれらのテーマの知識を深めることが重要です。
SC午前Ⅱ試験では、3回前またはそれ以前の過去問題と同じ問題が多く出題されます。たとえば、平成21年度秋期午前Ⅱの問3はSMTP-AUTH認証に関する問題です。これとほぼ同じ問題が、3回後の平成23年度春期(特別)午前Ⅱの問5で出題されています。この点から、平成26年度春期試験では3回前の平成24年度秋期の午前Ⅱの過去問題から出題される可能性が高いので、事前に学習しておきましょう。
SC午後対策
過去(平成21年春期~25年秋期)における、SCの午後試験で頻繁に出題されているテーマを表2に示します。これらのテーマを事前に学習しておくことで本試験での得点UPにつながります。
午後I及び午後II試験では情報セキュリティの専門知識が必要になるだけでなく、文章読解力も重要です。午後問題では、問題文中に記載されている内容が正解のヒントとなっている問いが多くあります。
このような問題を解くときに注意すべき点は次の通りです。
SCの午後I・午後IIの記述式の問いを解くときの注意点
・指定された文字数内で正確に解答する訓練をする
例えば30字以内で述べよという問いの場合、適切な文面であっても31字以上になったら不正解なので、指定された文字数を必ず守る。解答の文字数が指定された文字数を超えたときは、不要な句読点や接続詞を除いたり、不要な記述を省いたりする。
・正しい日本語を書く(「てにをは」を適切に使うなど)。解答の文章を採点者が読むことを想定して、独りよがりの解答を書かない
本試験で解答した文章は採点者が読む。日本語に誤りがあったり、採点者が意味をつかめなかったりする文章は不正解になる。過去問題の演習時も、正しい日本語であり、かつ誰が読んでも意味を正確に把握できる文章で解答を書くようにする。
・一般論的ではなく、具体的に書く
あいまいな記述・一般論的な記述は不正解になる。記述があいまいならば知識もあいまいであると採点者にみなされる。また、どの問題にも当てはまるような一般論的な記述は、問題の主旨を把握していなくても書けるので、主旨をつかめていないと判断される。できる限り問題文中の語句や状況を解答に盛り込み、「この問いにはこの解答しか適合しない」という独特の解答を書くこと。
DB午前対策
DBの午前I試験はSCと共通なので省略します。DB午前II試験は、問1~問20までの20問がデータベース分野に関する専門的な問題です。残り5問はデータベース以外の分野から出題されます(平成25年度春期試験より。過去の試験もほぼ同様の比率)。平成25年度春期における残り5問の内訳は、セキュリティ(1問)、コンピュータシステム(2問)、システム開発(2問)です。
平成21年度春期から25年度春期までにおいて、データベース分野とデータベース以外の分野における頻出テーマを表3に示します。
データベース分野ではSELECT文やクラス図が頻繁に出題されています。このふたつは毎回1問以上出題されるので、過去問や参考書で必ず学習しておきましょう。
データベース以外の分野では頻出テーマが共通フレームだけで、それ以外のテーマが何回も出題されることはありません。データベース以外の分野は出題テーマの予想を立てることが難しく、また難易度が高い問題は出題されない(APと同程度の知識レベルで十分に解ける)ので、特に対策する必要はありません。
DB午前Ⅱ試験も、過去問題と同じ問題が多く出題されます。特に2年前またはそれ以上前の試験から出題されることが多く、たとえば、平成22年度春期DB午前Ⅱの問12(テーマ:関係代数演算)と問16(テーマ:コミットのタイミング)が、平成24年度春期DB午前Ⅱの問10と問14で出題されています。平成26年度春期試験では、2年前の平成24年度過去問題から出題される可能性が高いと考えられます。
DB午後I対策
DB午後I試験は記述式で、問1から問3の3問が出題され、そのうちの2問を選択して解答する形式です。平成21年度春期から25年度春期までのDB午後I試験の、各問題のテーマ一覧を表4に示します。
DB午後Iでは問ごとに出題テーマがほぼ同じです。問1はデータベースの基礎理論、問2はデータベースの設計、問3はデータベースの設計または性能の評価です。特に問1は毎回同じ出題内容(候補キー、正規化、関数従属性)となります。これらの出題内容は、問題文に示された関係スキーマの内容や各項目の説明を読むだけで、確実に正解することができます。
また、問2で頻繁に出題されるテーブルの穴埋めは、問題文中の関係スキーマの内容などを確認することで、空欄に入る列名を特定できます。同じく問2でよく出題されるテーブルの構造見直しは、分割または列の追加を指示されたテーブルの具体的な内容の例を書いて、どの列にどのような問題があるかを見極めることで、テーブルを適切に分割したり、テーブルに適切な列を追加したりすることが容易になります。ただし、簡単だと思った設問をできるだけていねいに解くことが重要です。思い込みや問題文の見落としにより、簡単に解けるはずの問いをまちがえると、本来取れるはずの得点が取れず不合格になります。簡単に見える問いこそより時間を掛けて解いたり、見直しを十分にしたりしましょう。
問1は解き方さえ分かれば大部分の設問に解答できるので、必ず選択したい問題です。残りの1問は、SQLの穴埋めが得意な人は問3、そうでない人は問2を選択しましょう。SQLが苦手な人でも問1と問2を選択することで高得点を狙えます。問3はデータベースのアクセス行数や処理時間などの性能を計算する問いが多く出題され、他の問題と比べて解答に時間が掛かるので、自信のある人だけ選ぶようにすべきです。
午後Iでは、6割の得点で合格するということを考えてください。確実に得点が取れる設問に時間を掛け、難しい設問は捨てることで合格点を取れます。満点を取る必要はないのです。過去問題の演習によって出題内容のパターンを覚えることで、特に問1や問2に解答しやすくなるので、突破は難しくありません。
DB午後II対策
DB午後II試験は午後Iと同じ記述式で、問1から問2の2問が出題され、そのうちの1問を選択して解答する形式です。平成21年度春期から25年度春期までのDB午後II試験の、各問題のテーマ一覧を表5に示します。
表5から、平成23年度以降はE-R図の穴埋めと関係スキーマの穴埋めが出題されています。E-R図の穴埋めでは、概念データモデルを表すE-R図の空欄に適切なエンティティタイプ名を入れたり、エンティティタイプ間に適切なリレーションシップ(矢印)を補ったり、新しいエンティティタイプを記述したりすることが必要になります。これらの作業は、問題文中で説明されているデータの内容や処理内容を参考にして行えます。たとえば、エンティティタイプAとエンティティタイプBの間にリレーションシップを補う場合、エンティティタイプA、Bについて説明している箇所を熟読して、両者間にどのような関連(1対多、または1対1)があるかを見極める必要があります。
関係スキーマの穴埋めでも、E-R図の穴埋めと同様にして、問題文の内容から各関係スキーマがもつべき適切な列を特定する必要があります。午後IIの問題は、データベースの用語の知識があれば解答できるということはありません。この点が午前IIや午後Iとは異なるところです。問題文中で説明されている内容を正確に把握する読解力と、大量の問題文の中からできる限り短い時間で解答に必要な箇所を特定する能力が必要とされます。
なお、試験センタ公表の解答例には、問題文から適切な答えを想定することが難しいものがあります。このような問いの答えを短時間で考えるのは難しいので、確実に解答できる問いを優先して解き、それ以外の問いは捨てることも必要です。午後IIも6割の正解でよいので、無理にすべての解答欄を埋めないようにしましょう。
SC・DB両方の午後問題を解く上で重要なことは、問題を一度解き始めたら最後までちゃんと解き、途中で正解や解説を見ないということです。正解を先に見て、なんとなく考えていた中途半端な解答と正解の内容が近いので、満足して解くのをやめてしまうということでは、必要な知識の習得や読解力の向上を図れず、本番で失敗します。すべての設問を自分自身の力で解いてから正解を確認しましょう。
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