「ネギ振りカウンタ」から学ぶmixiアプリ運用

2010年10月13日(水)
井上 恭輔

みなさまこんにちは!株式会社ミクシィでエンジニアをしている井上恭輔と申します。全8回の連載でお届けしている「ミクシィ開発陣直伝! 今日からはじめるmixiアプリ開発」も、いよいよ折り返しです。

今までの連載では、mixiアプリの概要から基礎的な知識、実装方法などについてご紹介させて頂きました。mixiアプリの開発は、HTMLと基礎的な javascriptの知識だけでできる比較的簡単なものです。読者の皆様も、日曜プログラミング程度の軽い気持ちで、mixiアプリを開発できそうなイメージをお持ちだったのではないでしょうか。

第6回と第7回では、読者の皆様が開発されたmixiアプリを広く一般のユーザーの方々に使ってもらうため、無事リリースを迎えた後に問題になってくるであろう、mixiアプリの負荷対策などの運用面でのノウハウをご紹介させて頂こうと思います。

既にmixiアプリを開発されたことがある方はもちろんのこと、これからmixiアプリを作ってみたい方にも、ぜひmixiアプリを運用するイメージを掴んで頂けるような内容になれば幸いです。どうぞ最後まで知お付き合いください。

「ネギ振りカウンタ」とは

それではまず、mixiアプリ運用のイメージを掴んで頂く為に、私が開発した「ネギ振りカウンタ」というmixiアプリをご紹介させて頂きたいと思います。

ネギ振りカウンタは、文字通り「はちゅねミク」(初音ミクのSDデフォルメキャラクター)にネギを振らせるだけの簡単なアプリです。利用者のホーム画面に設置できるガジェットアプリの一種で、「はちゅね」をクリックしてネギを振らせることができます。逆を言えば、ネギを振ること以外は何一つできません。利用者全員での総ネギ振り回数をカウントしたり、ネギを振る速さを競ったり、マイミクのネギを振ってあげたり振ってもらったりするなど、とても単純で素朴な「ソーシャルネギ振りコミュニケーション」をゆるく楽しめます。

図1:ネギ振りカウンタの実行画面

もともとは2009年4月8日にmixiアプリがオープンβとしてリリースされた際、初めてOpenSocialアプリを開発するときの学習用として、Hello World的に作ったサンプルアプリでした。また、ニコニコ技術部の端くれとして、とりあえずmixiアプリという新天地で誰よりも早くネギを振っておこうという考えから開発をはじめました。

ネギ振りはネタアプリのつもりでリリースしたものでしたが、意外にもマイミクや初音ミクのファンの方々の口コミを通して、どんどんと利用者数が増えていきました。想定外の出来事にとても驚きましたが、予想を遥かに超えるユーザーの方々の反響は何よりも嬉しいものです。

ユーザーの方々とコミュニケーションを取りながら機能の拡充やサポートなどを行っていった結果、気がつけば現時点で利用者10万9,000人以上、総計ネギ振り回数2億2,000振りを超えるアプリに成長しました。しかし、これほど単純に見えるネギ振りカウンタの裏側では、想像以上に大変な「サーバー負荷との戦い」が繰り広げられていました。

増大するサーバー負荷への対応

mixiアプリではバイラルに乗った場合のユーザー数増加のペースが非常に速く、通常のWebサービスでは考えられないぐらいの成長曲線を描くことが多くあります。個人運営のアプリも同様で、通常の個人Webサービスの感覚で運営した場合、過負荷でサービスが運営できなくなるといった事例が多く見られますので、十分な心構えと対策が必要です。

リリースしてからニュースで取り上げられたり、Flashによる新UIを導入したりして順調に人が増え、利用者数が1万人を超えたあたりの話です。自宅に帰ってネットを見ようとPCを立ち上げると、全くページが表示されません。「おかしいなぁ……」と思いつつpingを打ってみると、結果は「packet loss 75%」(!)。結局次の日には完全にネットが繋がらなくなってしまいました。

原因は自宅サーバーで運営していた「ネギ振りカウンタ」へのアクセス増大による負荷でした。自宅サーバーのスペックはCPU Core2Duo2.6GHz、メモリ 4GBと2009年時点でそれなりのスペックでしたが、ピーク時には処理が詰まり、リクエストは秒間300回にも達していました。私のメールアドレスにはネギ振りカウンタが使えない事に対する苦情が殺到、返信をしようにもネットに繋がらないという非常に困った状況に陥った私は、根本的な負荷への対策に乗り出しました。

株式会社ミクシィ

コアサービス部開発グループ コミュニケーション開発チーム
1985年生まれ。2008年に新卒でエンジニアとして入社。mixiでは主にフォトを始めとしたコミュニケーション機能全般の開発を担当しながら、バックエンドの画像配信&ストレージシステム「ImageCluster」の開発を行っている。
趣味は電子工作。mixiにつながるコーヒーポット「オンラインコーヒーメーカー萌香たん」などの作品をmixiエンジニアブログで発表している。

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