「ネギ振りカウンタ」から学ぶmixiアプリ運用

2010年10月13日(水)
井上 恭輔

さて、次のルール「ルール2:CDN(Content Delivery Network)を使う」ですが、ネギ振りではやってません。CDNではユーザーにネットワーク的に近いサーバーから静的ファイルを配信できるため、静的ファイルのレイテンシが非常に短くなります。しかし、ネギ振りにCDNはあきらかにオーバースペックです。

CDN を導入する前に、アプリケーションサーバーと静的ファイルの配信サーバーを分けるという基本的な構成を導入するのがいいでしょう。この構成はCDNとは違いネットワーク的な優位点はありませんが、処理できるリクエスト数が増えたり、切り分けが楽になるなどメリットが多いです。静的ファイルの配信サーバーにはlighthttpdやNginxなど軽量のWebサーバーがよく使われます。導入してみるのもいいでしょう。

次に「ルール3:Expiresヘッダーを設定する」に対応します。Expiresヘッダーとは、コンテンツをブラウザにキャッシュさせるための設定です。 Expiresヘッダーで遠い未来の日付(2年後など)を指定することで、レスポンスにExpiresヘッダーを付けた場合、2回目以降のリクエストにコンテンツを返す必要がなくなり、リクエストを返す時間を大幅に減らせます。大量の画像があるサイトでは特に効果があります。

ここではApacheを使っているので、mod_expiresを使います。httpd.confに以下の設定を追加します。

Expires ヘッダーを付けた場合はコンテンツを更新してもブラウザに反映されなくなるため注意が必要です。間違って動的コンテンツにExpiresヘッダーをつけてしまうと、何時まで経ってもコンテンツが更新されなくなります。Expiresヘッダーをつけたファイルを更新するときは、ファイル名にバージョン番号を含ませたり(miko-1.0.0.js)、URLに更新日付をつけ(miko.js?20100707010101)、ファイルの内容が更新されたらURL自体が変わるようにする必要があります。

詳しい設定は次のサイトを参照してください(参照リンク)。

次に「4章 ルール4:コンポーネントをgzip化する」です。ご存じの方も居ると思いますがgzipとは圧縮形式のことで、ここで言うgzipに対応するというのは、HTTPレスポンスをgzip形式で圧縮して送ることです。これで帯域幅を大幅に節約できます。

gzipはapacheであればmod_deflateを使います。httpd.confに以下の設定を追加します。

ここではMIMEタイプを見てhtmlの場合のみを圧縮しています。すべてのテキストコンテンツは圧縮の効果があります。しかし、画像コンテンツ(バイナリファイル)は圧縮の効果がないため避けたほうがいいでしょう。

詳しい設定は次のサイトを参照してください。現在のブラウザの90%近くがgzipに対応しています。若干CPUを食うようになりますが、お手軽なのに非常に効果があるのでせひ導入しましょう!(参照リンク

以上の対策でリクエスト数が激減してなんとか処理しきれるようになり、再びはちゅねが元気にネギを振れるようになりました! ハイパフォーマンスWebサイトには他にもたくさんの手法が載っています。すべて基礎的なものばかりなので、すべて導入してみてもよいでしょう。しかし、障害が起こってから散発的に導入していては何時まで経っても障害から回復できません。今回は障害が起きているということで、ダウンタイムを最小にするために最も効果のある手法の導入のみに注力しました。負荷対策でも障害対策でも大切なのは、問題を切り分け、原因を特定し、優先度付けて対策することなのです。

ネギ振りはサービス停止の危機から脱しましたが、まだまだ気を抜けません。せっかくリクエスト数が減ったのですが、次はデータベースの負荷が問題になってきていたのです。次回はデータベーススキーマとクエリの見直しから、スケーリング、クラウドの検討まで取り上げたいと思います。

株式会社ミクシィ

コアサービス部開発グループ コミュニケーション開発チーム
1985年生まれ。2008年に新卒でエンジニアとして入社。mixiでは主にフォトを始めとしたコミュニケーション機能全般の開発を担当しながら、バックエンドの画像配信&ストレージシステム「ImageCluster」の開発を行っている。
趣味は電子工作。mixiにつながるコーヒーポット「オンラインコーヒーメーカー萌香たん」などの作品をmixiエンジニアブログで発表している。

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