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ワクチンの実力はテレビ宣伝力では測れない

2010年11月1日(月)
渡部 章(わたなべ あきら)

総合力という観点から見た実力

ウイルス対策ソフトを評価・検証する賞や第三者機関には、イギリスのVirus Bulletin VB100 Award*3、オーストラリアのAV-comparatives*4、そして、ドイツのAV-Test.org*5などがある。今回は、AV-TEST.orgの評価を参考にする。

  • [*3] Virus Bulletin VB100 Award
    イギリスのVirus Bulletin社が定期的におこなっているウイルス検出テストで認められた製品に与えられる賞。世界2ヶ国以上で感染報告がされているウイルス・リスト(WildList)に登録されているウイルスを100%検出し、かつ誤検出が無い製品にのみ与えられる。
  • [*4] AV-comparatives
    オーストリアを拠点としている国際的に権威のある独立系のウイルス・ソフト・テスト機関。
  • [*5] AV-Test.org
    ドイツのマグデブルク大学にある、ウイルス検出率をテスト評価する第三者機関。15年以上のウイルス対策と、データ・セキュリティの経験がある。ここでは検体を6カ月以内に発生したウイルスに限定している。

AV-TEST.orgでは、各ウイルス対策ソフトごとに、検知率テストを毎月実施しているほか、四半期ごとに総合評価テストを実施している。以下に示した表1は、2010年4月~6月の期間、16個のセキュリティ製品について、保護力、修復力、ユーザビリティの3項目(各6ポイント)をテストした結果である。合計18ポイント中で12以上のポイントをマークした13製品を合格認定している。

表1: AV-TEST.org 2010年第2四半期Windows 7認定テスト結果(出展: AV-TEST.org

ベンダー名 製品名 保護力 修復力 ユーザビリティ 認定
Avast Internet Security 5.0 3.5 4 5 合格
AVG Internet Security 9.0 5.5 4 5 合格
Avira Premium Security Suite 10.0 4 4 5.5 4 合格
BitDefender Internet Security Suite 2010 4.5 4.5 4 5.5 合格
BullGuard Internet Security 9.0 3.5 4 3 不合格
Eset Smart Security 4.0 3.5 5 5 合格
F-Secure Internet Security 2010 5 5 5.5 合格
G Data Internet Security 2010/2011 5.5 3.5 5.5 合格
Kaspersky Internet Security 2010 5 5.5 5.5 合格
McAfee Internet Security 2010 5 2 3.5 不合格
Microsoft Security Essentials 1.0 4 4.5 5.5 合格
Norman Security Suite 8.0 2 4.5 3.5 不合格
Panda Internet Security 2010 5.5 5.5 5 合格
PC Tools Spyware Doctor with AntiVirus 7.0 5 4.5 3.5 合格
Symantec Norton Internet Security 2010 5.5 5 5.5 合格
Trend Micro Internet Security Pro 2010 2.5 4.5 4.5 不合格
Webroot Internet Security Essentials 6.1 3.5 4.5 4 合格

保護力というのは、まさに検知力のことである。検体には、過去6カ月間で集めたウイルス・サンプルに加え、最新のゼロデイ攻撃(ソフトウエアにセキュリティ上の脆弱性が発見された時に、問題の存在自体が広く公表される前に、その脆弱性を悪用して行われる攻撃)も含まれる。

修復力というのは、ウイルスの駆除力のことである。ウイルスの感染後、PCをどのくらい元に修復できるかを検査する。この検査には、駆除が困難と言われるルート・キットも含まれる。

ユーザビリティというのは、システム・パフォーマンスの劣化や、誤検知(ウイルスではないのに間違った警告をする)などがテスト項目となっている。

現在、サイト上で公表されているのは、Windows 7を対象としたテストに限られる。第3四半期にはWindows XPのデータが、第4四半期にはWindows Vistaのデータが公開される予定である。今回のテストでは、McAfeeは修復力やユーザビリティで得点が振るわず、Trend Microは保護力の得点が低い結果となった。無料製品が数多く合格している中、日本でメジャーな製品が2社も不合格になっているのは、大変なショックであった。

著者
渡部 章(わたなべ あきら)

1961年、福井県生まれ。情報セキュリティ・ベンダー、株式会社アークン代表取締役。トレンドマイクロ社(現一部上場)にて元マーケティング部長。米国系コンピュータ・ネットワーク・セキュリティ会社、日本アイ・シー・エス・エー株式会社元代表取締役などを経て現職。郵政省情報セキュリティ委員会元委員。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)情報セキュリティ関連事業審議委員会委員現任。また、セミナー、執筆、TV出演を通じて、コンピュータ・セキュリティに関するコンサルティングおよび啓蒙活動を展開している。著書に『コンピュータウイルス完全対策マニュアル』(アスキー出版)、『コンピュータウイルス なぜ感染するのか、どう防ぐのか』(日本実業出版)、『恐怖のスパイウェア』(三交社出版)などがある。
 

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