ZABICOM / Zabbixの概要

2010年12月7日(火)
伊藤 覚宏八久保 洋一

5. IPv6対応

ZABICOMは、IPv6でのネットワーク監視、サーバー監視にも対応しています。アイテムやトリガーの設定はIPv6でもIPv4でも変わらないので、ホストを設定する際にIPv6アドレスを登録するだけで、IPv6,IPv4の違いを意識することなく監視設定、監視運用を行えます。

6. 分散監視

ZABICOM / Zabbixでは、各種処理の最適化により、1.8以前のバージョンに比べて性能が大きく上がっています。大規模な監視の場合は、複数のZABICOMサーバーを連携させたNode構成やProxy構成を構築できます。

Node構成は、ZABICOMサーバーを親子構成として連携させ、アイテム情報やイベント情報を親Nodeに定期的に送信するものです。親Nodeで、システム全体の状況を把握できます。また、親Nodeとの接続に不具合が発生した場合でも、障害判定などは子Nodeにおいて継続できます。

Node構成では、それぞれのZABICOMサーバーが個別に動作しています。複数の監視センターを統合的に運用するケースなどが想定されます。

Proxy構成とは、アイテム収集機能だけを持ったProxyサーバーを設置し、アイテム収集による負荷を分散させるものです。Proxyは、障害判定機能を持たないので、独立して動作することはできません。しかし、アイテムやトリガーの設定が必要ないので、管理者がいない環境にも簡単に設置できます。また、応答待ち時間が発生しやすいアイテム収集プロセスを切り出すことによって、ZABICOMシステム全体の性能向上が期待できます。

Proxy構成は、事業所や支店など、別セグメントの監視対象群を1つの監視センターで集約して監視するケースなどが想定されます。

7. マルチバイト化

ZABICOM-J(Zabbixの日本向け拡張版)では、以前からsjis、ujis、euc-jp、cp932、utf-8の日本語ログ・ファイル監視に対応していました。1.8からは、ZABICOMでもマルチバイトのログ・ファイル監視に対応しました。

8. ログ・ローテーションへの対応

ZABICOM1.8では、新たに、ローテーションするログの監視に対応しました。これまでのログ監視では、ログの収集間隔の間にログのローテーションが行われた場合、前回の収集からローテーションまでの間に発生したログは収集できませんでした。しかし、ZABICOM1.8では、ログ・ファイル名を正規表現で指定することにより、時系列順に、ログを取りこぼすことなく収集できるようになりました。

ログ・ローテーションに対応する場合、logrt[]という、新たなアイテムキーを使用します。

9. エージェントレス監視

ZABICOMは、エージェントを利用することで、数多くのリソース情報やログなどを収集することが可能です。しかし、監視対象サーバーによっては、エージェントのインストールが許可されない場合もあります。また、ネットワーク機器のように、そもそもインストールできないデバイスもあります。

このようなサーバーやネットワーク機器に対しても柔軟な監視ができるように、ZABICOM1.8では、新たにTelnet監視とSSH監視の2つの機能が追加されました。

これは、監視対象にTelnetあるいはSSHでログインし、任意のコマンドを実行した結果を収集する機能です。ユーザー名とパスワードによる認証はもちろん、SSH監視は公開鍵認証にも対応しています。

10. 検索機能

ZABICOM1.8から、ホスト名、ホスト・グループ名、テンプレート名、IPアドレスでの検索に対応しました。数千台のホストを監視するような大規模なシステムで障害が発生した際、ホストの状況をいち早く確認したい場合、これまでのプルダウン方式による絞り込みでは画面表示に限界がありました。

今回の検索機能の実装により、障害通知メールなどでホスト名やIPアドレスを確認できれば、登録されたホストが膨大であっても、検索結果からすぐさまリソース・データの確認やしきい値の変更などを行えるようになりました。

このほか、アイテム設定一覧画面での高度なフィルタ機能や、各種画面でのページング処理などの表示関連、設定の一括更新機能など、監視設定、監視運用を効率化するための細かな改良が積み重ねられています。

今回は、ZABICOM / Zabbixの特徴、新機能を紹介しました。次回は、PingとSNMPによるネットワーク機器の監視について解説します。また、SNMP対応機器の監視設定を効率化する外部ツール「テンプレートビルダー」についても解説します。

NTTコムテクノロジー株式会社 サービス企画本部NMSイノベーションシステム室 Zabbix認定トレーナー

社内でのvSphereによる仮想環境の構築、運用を担当、Zabbix公式研修の講師を務める他、ZABICOMオリジナルテンプレートの設計、ZABICOMによる運用効率化手法の検討などZABICOMのポテンシャルを引き出すことに注力。現在はZABICOMのプリセールス、ユーザーサポートを担当。

NTTコムテクノロジー株式会社 サービス企画本部NMSイノベーションシステム室 室長

システム開発、ネットワーク及びサーバの運用を経験後、現在はNTTコムテクノロジー(株)において、ZABICOM / Zabbixチームを統括。主にZABICOMの開発チームのマネージメントを担当。ZABBIX1.4 初期より、運用現場が求めるZABBIXへの機能追加をZABBIX社とともに推進。特にZabbix1.8における仕様追加及び品質向上には大きく寄与した。現在次々期バージョンZABBIX 2.2の仕様策定を実施中。

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