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スイッチの帯域を高めるEthernet Fabric

2011年2月14日(月)
小宮 崇博

ポート初期化は、通常のEthernetと違わない。光信号を検出して、クロック同期などを行う。Fabric Link Discovery Protocolは、Brocade VDXに固有の隣接RBridge検出プロトコルであり、隣接RBridgeとの間でファブリック・パラメータの交換を行う。FCでいうと、Exchange Fabric Paramter(EFP) に相当するプロトコルである。

同じファブリックに所属することを確認すると、次のPrincipal RBridge Selectionのフェーズに移行する。ここもFCのPrincipal Switch Selectionと同じである。つまり、ファブリック内でのRBridge IDの固有性を担保するPrincipal Switchを選択する。選択の基準は、それぞれのRBridgeが持つプライオリティ、RBridgeが持つWorldWide Name、RBridgeのアップ・タイムなどである。

図2: Brocade Fabric Link Discovery Protocol

図2: Brocade Fabric Link Discovery Protocol(クリックで拡大)

RBridge間で複数のInter-Switch Linkが構成されている場合は、自動的にTrunkリンクが構成される。トラフィックは、フロー単位ではなく、フレーム単位でTrunkリンクに分散される。2010年2月に掲載した連載の第3回でも説明したが、このISL Trunkingと呼ぶ技術を用いて8本のリンクを張ると、本当に80Gbpsのリンクとして使用できる。

この後、FCで使われているFabric Shortest Path First(FSPF)と呼ぶルーティング・プロトコルを用いて、リンク・ステート・データベースを構築する。FSPFは、OSIルーティング技術のIS-ISやL3ルーティング・プロトコルの1つであるOSPFなどと同様に、Dijkstraアルゴリズムで経路表を構成する。この後、フローを等価コスト・パスにマッピングすることによって、フレームのフォワーディングが開始される。

下記のようなトポロジを構築したとしよう。この絵には、2つのループが存在している。Ethernetのフレーム転送とは異なり、FSPFを使ったVCSのルーティングでは、ループは起こらない。これは、RBridge IDと呼ぶ"L3"に相当するレイヤーが追加されているためである。ルーティングは、Frame-in-port、destination RB、Frame-out-portの組み合わせで実施する。

図3: 参考トポロジとルーティング

図3: 参考トポロジとルーティング(クリックで拡大)

冒頭で説明した通り、仮想化やLAN/SAN統合などによって、複数レベルでトラフィックの集約が行われる。ここで、複数の同じコストのパスを同時に使用できれば、データセンターのスループット向上に大変役立つ。それでは、どのようなポリシーで、複数のパスを切り分けるのだろうか。現在のVCSでは、パスの割り当て基準は、トラフィック・フローのハッシュ値によって決定している。

図4: パス選択の基準

図4: パス選択の基準(クリックで拡大)

ISL Trunkingによって帯域を広げている場合、個々の帯域幅の考慮によって、パスの使用効率を非常に高くすることができる。ISL Trunkingは、通常のLink Aggregationとは異なる。2010年2月に掲載した連載の第3回でも説明したが、フレーム単位で各リンクにトラフィックを分散するというファブリック広帯域化にとって、必須の技術である。FCにおいては2001年の時点で実現されている技術であり、10年の実績がある。

ISL Trunking は複数のリンクを集約し、論理的に単一のリンクを構成する技術である。特徴は、フレームの順序配信を保証しつつ、フレームレベルでリンクにトラフィックを分散する技術である。FC で既に実績のあるこの技術により、Trunk リンクの使用率をほぼ100%にすることを可能にしている。フレームレベル分散ができない場合、特定のリンクがホットリンクになり、リンクの帯域が有効に活用できない場合がある。

図5: ISL Trunkingの仕組み

図5: ISL Trunkingの仕組み(クリックで拡大)

ISL Trunkingの利点は、広帯域化だけではない。FCにおけるISL Trunkingでは、リンク・ステートを交換するためのマスターリンクが無くなっており、複数のリンクを分散して利用することで可用性を高めている。VCSにおいても、将来この技術が搭載されることになるだろう。

このように、VCSでは、Ethernet Fabric、ISL Trunking、パス選択方式など、FCで確立されたさまざまな高スループット化手法を活用している。これらの手法を用いたVCSにより、新しい世代のデータセンター・ネットワークの構築が可能になる。

ブロケードコミュニケーションズシステムズ
UNIXサーバメーカや運用管理ソフトウェアメーカでSEを勤め、2001年からブロケードに所属。主にFC-SANスイッチのプリセールスに携わり、2008年からは新技術、新製品の開発などの日本での技術サポートを行なう。現在は、ソリューション・マーケティングとして、FC-SANだけではなく、LAN/WANやI/O仮想化なども含めた広範なネットワークソリューションの提供に向け活動をしている。個人的にもストレージエリアネットワーク啓蒙のためのメーリングリストを主催している。
http://groups.yahoo.co.jp/group/san-tech/

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