Herokuのアドオンと外部サービスを活用しよう

2011年4月1日(金)
安達 輝雄(あだち てるお)

Hoptoad

Hoptoadは、Webアプリケーションで発生したエラーを検知し、それらのエラー情報をHoptoadのWebサービス上で管理/確認できるサービスです。

また、Webアプリケーションでエラーが発生した際に、登録しているユーザーに対してエラー通知メールを送信するサービスも提供しています。

Ruby On Railsフレームワークを利用したWebアプリケーション以外にも、PHP、.Net、Java、Ruby、Python、Perl、Merb、ColdFusion、Erlangなど多くの言語/フレームワークに対応しています。なお、最近ではiOSアプリケーションにも対応したようです。

Webアプリケーションで発生したエラーは、すべてHoptoadに通知されます。このため、エラーの一括管理が可能となり、さらにそれぞれのエラーは対応状況のステータスを持つため、対応したかどうかの管理もできるようになっています。

図2: hoptoadの画面

図2: hoptoadの画面(クリックで拡大)

SonicGardenでは、以前はWebアプリケーションごとに、エラー発生時にメールで通知するライブラリを組み込んでいました。こうして検知したエラーを、Redmineのような課題管理ツールに登録して、対応状況のステータスを管理していました。

しかし、扱うWebサービスが多くなってくると、Webアプリケーションごとにエラー・ハンドリングの仕組みを導入するのが面倒になったり、課題管理ツールに登録するのが面倒になったりしたため、Hoptoadを採用しました。

ほかにも、Hoptoadの利用によって以下のようなメリットがあるため、SonicGardenが提供している全Webサービスで利用することにしました。

  • エラー通知メールのテストが容易
  • cronなどのバッチ処理におけるエラー・ハンドリングも容易に実現可能
  • 過去に発生した類似エラーが参照できる仕組みになっている
  • エラーごとにステータス管理(resolved/unresolved)が可能
  • 環境(本番環境/テスト環境)ごとにエラーの表示が異なり、見やすい

HoptoadをHerokuで利用する

HoptoadをHerokuで利用する場合は、以下のコマンドを発行するか、HerokuのWebサービスにログインして、利用アドオンに追加します。

$ heroku addons:add hoptoad:basic

アドオンを追加したあとは、こちらのようにWebアプリケーションに設定をするだけで利用可能になります。

第2回で触れた通り、上記で紹介したNewRelicとHoptoadなどの外部サービス以外にも、SonicGardenではいくつもの外部サービスを利用しています。

変化を柔軟に受け入れ、迅速に逐次改修を加えていくことができるよう、Webサービスの本質でないところに関しては外部サービス(SaaS)をうまく活用しています。SaaSの活用によって、開発/リリースのサイクルを短くし、スピード感を持ったサービス提供を実現しています。

世界には、数多くのWebサービスが存在します。それらクラウド(SaaS)のさらなる活用によって、生産性をもっと向上させることができるかもしれません。

まとめ

これまでの4回の連載により、ARCを実践するための基礎知識を十分に理解できたと思います。

連載の前半では、ARCを活用した事例をもとに、そこでの開発体制や開発環境、マネージメントのポリシーや価値観などについて解説し、連載の後半では、実践編として、RubyのPaaSである「Heroku」の活用方法や、外部サービスの活用について解説しました。

これまでに解説した内容をもとに、読者の皆さまも、ぜひ、ARCにチャレンジしてみてください。"ユーザーにとっても開発者にとっても"幸せなソフトウエア開発ライフを送れるようになります。

著者
安達 輝雄(あだち てるお)
TIS株式会社

TIS株式会社の「SonicGarden」にて、Ruby On Rails製の社内SNS「SKIP」の開発や、youRoomをはじめとするSonicGardenが提供するウェブサービス全般の運用/保守を手がける。
主な著作:クラウドAmazon EC2/S3のすべて(2009,日経BP社)など。ブログはこちら  
Twitter:@interu(http://twitter.com/interu
 

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