IT災害復旧計画を策定してみる

2011年6月30日(木)
小野寺 章

ステップ2:ビジネス影響度分析(BIA)

対象ITシステムが停止してしまった場合のビジネスへの影響度と復旧する際の優先順位、そして目標復旧時点(RPO)/目標復旧時間(RTO)の検討におけるたたき台となる目標値をそろえる。

まずDRPの対象となるITシステムごとに、復旧要件であるRTO、RPOと目標復旧レベル、重要度を決定する。

メインの業務であるオンライン受注システムの場合、24時間稼働していて年間100億円の売り上げがあるので、1日システムが停止することによる想定損失金額は単純計算で 100億円÷365日≒3000万円/日と計算できる。システムの処理能力はピーク時の2倍の処理能力を持っているので、単位時

間当たり2倍のトランザクションデータは処理できる。

つまり停止時間が1時間以内であれば、業務再開時にそれまでの滞留した1時間分のトランザクションが流れてきても再開後1時間以内には全て処理可能である。このことから最大許容停止時間は1時間と設定することができる。

「災害発生直前までの受注データを失うことは、競合他社へのユーザー流出を招くのでシステム停止直前までのデータを全て有効としたい」という要件を満たすRPOはゼロとなる。RTOは最大許容停止時間以内である1時間と設定する。

注意したいのは、ここで設定する許容停止時間やRPO/RTOはあくまでも理想的な値であり、後に実装手段を検討する際の参考値であるということだ。

表2は、システムごとに分析した結果をまとめたものである。

表2:ビジネス影響度分析結果
サイオステクノロジー株式会社 顧問

国産汎用機メーカーに入社、SEとしてミッションクリティカル業務のHAシステムを多数構築。2001年ノーザンライツコンピュータ(現サイオステクノロジー)に入社、HAクラスター製品LifeKeeperの技術担当責任者として国内での開発ならびにサポート業務に従事。2011年4月技術顧問に就任。

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