「TAURI」でデータベースを使ってみよう

2024年5月10日(金)
大西 武 (オオニシ タケシ)
第15回の今回は「TAURI」でオープンソースのデータベース「SQLite3」を使用して、テーブル表に表示する解説をしていきます。

はじめに

ついに本連載も今回で最終回となります。第1回から前回まで付いてこられたのであれば、それなりのアプリは作れるようになったのではと思います。ある程度Webページの知識があることが前提ですが、Rustも基本的なことなら使えるようになったのではないでしょうか。

コンピューターは簡単に言えば「OS」+「アプリ」+「データ」でできています。そこで今回は、その中でもデータベースでデータを使用することを中心に解説していきたいと思います。データベースには、現在で最も普及していると言えるデータベースシステムの1つである、無料の「SQLite3」を使います。

恐らくThink ITの読者の方なら何らかのデータベースを使ったことがあるでしょうから、TAURIでもRustのクレートを使えばデータベースが扱えるという例を紹介したいと思います。

図1:完成した画面

TAURIプロジェクトの作成

それでは、いつものようにTAURIプロジェクトを「$ cargo create-tauri-app database」のように新規作成し、カレントディレクトリを「database」フォルダに変更します。

TAURI用のデフォルトのクレートに加えて、SQLite3を扱う「sqlite」クレートを追記します。ググると「rusqlite」クレートの方が人気があるようですが、より他のプログラミング言語と似ている「sqlite」クレートを使います。

・「src-tauri」→「Cargo.toml」ファイルのサンプルコード
01[package]
02name = "database"
03version = "0.0.0"
04description = "A Tauri App"
05authors = ["you"]
06license = ""
07repository = ""
08edition = "2021"
09 
10[build-dependencies]
11tauri-build = { version = "1.2", features = [] }
12 
13[dependencies]
14tauri = { version = "1.2", features = ["shell-open"] }
15serde = { version = "1.0", features = ["derive"] }
16serde_json = "1.0"
17sqlite = "0.34.0" # SQLite3
18 
19[features]
20custom-protocol = ["tauri/custom-protocol"]

HTMLのコーディング

まずはWebページを準備します。今回のWebページは第14回とよく似ています。JavaScriptのプログラムも第14回とよく似ています。

テンプレートの「index.html」ファイルの内容を削って、本文(body)で「table」タグを追加してテーブル表を表示するだけです。

・「src」→「index.html」ファイルのサンプルコード
01<!DOCTYPE html>
02<html lang="en">
03  <head>
04    <meta charset="UTF-8" />
05    <link rel="stylesheet" href="styles.css" />
06    <title>Tauri App</title>
07    <script type="module" src="/main.js" defer></script>
08  </head>
09  <body>
10    <table></table>
11  </body>
12</html>

【サンプルコードの解説】
tableタグにテーブル表を表示します。

JavaScriptのコーディング

今回はtableタグ内にヘッダーの「th」タグも使います。thタグはデフォルトでは文字のアライン(整列)が中央寄せで太字(bold)です。テーブル表にはデータベースの「ID」「動物名」「動物の種類」のヘッダーと一覧を表示します。まだデータベースを読み込んでいないため「$ cargo-tauri dev」コマンドを実行しても何も表示されません。

・「src」→「main.js」ファイルのサンプルコード
01const { invoke } = window.__TAURI__.tauri;
02// tableタグ
03let table;
04// テーブル表を表示
05async function setTable() {
06  let data = await invoke("select");
07  let html = "<tr><th>ID</th><th>動物名</th><th>動物の種類</th></tr>";
08  data.forEach(d =>
09    html += "<tr><td>"+d[0]+"</td><td>"+d[1]+"</td><td>"+d[2]+"</td></tr>"
10  );
11  table.innerHTML = html;
12}
13// index.htmlのDOMが読み込まれた場合
14window.addEventListener("DOMContentLoaded", () => {
15  table = document.querySelector("table");
16  setTable();
17});

【サンプルコードの解説】
「setTable」関数でテーブル表を表示します。
DOMが全て読み込まれたら、tableタグを取得して「table」変数に代入し、setTable関数を呼び出します。

スタイルシートのコーディング

tableタグのセル(th,td)に枠線(border)を装飾します。ヘッダー(th)は黒い背景色に白字です。

・「src」→「styles.css」ファイルのサンプルコード
01th {
02  background-color: #000;
03  color: #fff;
04}
05th,
06td {
07  padding: 5px 10px;
08  border: 1px solid #000;
09  min-width: 200px;
10}

【サンプルコードの解説】
thタグは黒背景、白文字です。
thタグとtdタグのセルの全てを、余白を空けて黒い枠線を書いて最低200ピクセルの幅にします。

著者
大西 武 (オオニシ タケシ)
1975年香川県生まれ。大阪大学経済学部経営学科中退。プログラミング入門書など30冊以上を商業出版する作家。Microsoftで大賞やNTTドコモでグランプリなど20回以上全国区のコンテストに入賞するアーティスト。オリジナルの間違い探し「3Dクイズ」が全国放送のTVで約10回出題。
https://profile.vixar.jp

連載バックナンバー

開発言語技術解説
第15回

「TAURI」でデータベースを使ってみよう

2024/5/10
第15回の今回は「TAURI」でオープンソースのデータベース「SQLite3」を使用して、テーブル表に表示する解説をしていきます。
開発言語技術解説
第14回

「TAURI」で気象庁の「CSVデータ」を解析する

2024/5/1
第14回の今回は気象庁のWebサイトから指定した地域の1年間の気象データをダウンロードして「TAURI」で解析していきます。
開発言語技術解説
第13回

「TAURI」で「簡易RSSリーダー」を開発してみよう

2024/4/16
第13回の今回は「TAURI」で「RSSフィード」を読み込んでWebページに一覧表示し、リンクのページを開くための新規ウィンドウを作成するところまでを解説します。

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています