コピーレフト型と非コピーレフト型OSSライセンスの違いとは?
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準コピーレフト型のライセンス
準コピーレフト型のライセンスに共通する特徴としては以下が挙げられます。
- ライセンステキストの添付が必要
- 改変した(コピー&ペーストも含む)ソースコードの開示
LGPLがリバースエンジニアリングを認める理由
GNU Lesser General Public License(以下LGPLとします)はGPL同様、FSFによって作成されたライセンスです。LGPLは、その名の通りGPLから条件を少し弱めたライセンスです。
元々"GNU Library General Public License"として公開されましたが、後にGNU Lesser General Publicと名前を改められました。最初のLGPL 2.0では"Library"という単語をライセンス名に入れてしまったために、FSFの意図から外れてライブラリとして利用される多くのOSSに適用されてしまったためです。その辺りの経緯を記述したリチャード・ストールマンによるドキュメントが「あなたの次回のライブラリには劣等GPLを使うべきでない理由」です。
LGPLの基本的な考え方はGPLと同じですが、組み合わせて利用した場合でも対応するソースコードの開示を要求しないという点が異なります。ただし、以下を順守する必要があります。
- リバースエンジニアリングを禁止してはならない
- LGPLのライブラリを利用する著作物のオブジェクトコードの開示
なぜこのような条件が適用されるかは、このライセンスの思想を考えると理解しやすくなります。前述した「自由ソフトウェアとは?」を思い出していただきたいのですが、LGPLのライブラリとリンクしたソフトウェアを受け取った人に自由を与えるためには、リバースエンジニアリングの許可とそれを実行するためのオブジェクトコードが必要になるという訳です。
ユーザー自作部分を区別するMPL
Mozilla Public License(以下MPLとします)は、1999年にVersion 1.1がリリースされました。2012年に2.0がリリースされたばかりですが、影響力のあったのはVersion 1.1の方です。なぜならこのライセンスを元に作成された有力なライセンスが複数あるからです。
MPLを元に作成されたライセンスの例としてCDDL(Common Development and Distribution License)、CPAL(Common Public Attribution License)が挙げられます。MPL自体はMozilla Projectの有名なFirefoxやThunderbirdに適用されている以外にはあまり見かけませんが、上記で挙げたようにMPLの派生ライセンスのOSSはたくさんあるため、MPLについて理解しておくことが重要になります。
MPLのライセンスの背景には「オープンソース(MPL)由来のソフトウェア部分についてはすべてソースコードを開示してください」という思想があります。逆に言うと、それ以外の部分(ユーザー自作部分)のソースコードの開示は要求しない、ともいえます。コピーレフト型のライセンスのように組み合わせた部分までソースコードを開示する必要はありませんが、ユーザーが改変したソースコードは開示が必要になる点が特徴です。
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