フラッシュストレージが注目される理由と4つのソリューション

2014年2月6日(木)
三好 哲生

はじめに

 近年フラッシュメモリを活用するソリューションが多く登場し、市場を賑わせています。Violin Memory社のIPO。Cisco Systems社によるWHIPTAIL社の買収。従来から磁気ディスクを利用したストレージを提供してきた各社ベンダーも、フラッシュメモリで構成されたディスクドライブSSDを搭載するラインナップを追加したり、フラッシュメモリを活用する独自のアーキテクチャのラインナップを追加したりするなど、フラッシュメモリに関するニュースはIT関連ニュースメディアに毎日のように登場します。

 一体なぜこのようにフラッシュメモリに注目が集まるのでしょうか?

 

フラッシュメモリとは?

 

 フラッシュメモリの登場は1984年にまでさかのぼります。半導体(シリコン)にデータを記録するタイプの記憶メディアで従来はFlash ROM(Read Only Memory)として読み取りを前提としたメディアとして登場しています。その後、読み取りだけではなく、書き換えを前提とした利用にも耐えうる構造を実現し、Flash RAM(Random Access Memory)として活用されるようになります。

 市場に登場した当初のフラッシュメモリはそのデータ記憶容量も小さく、単位記憶容量に対するコストも非常に高かったため、同じ頃に登場し、すでに主流となりつつあった磁気ディスク(HDD)と比べて、非常に限定的な利用にとどまっていました。しかしながら、昨今、低消費電力性、現実的な記憶容量が実現できてきたことなどから、携帯電話、音楽プレイヤーなどへの大量採用で需要とともに生産のラインも安定し、価格もリーズナブルに提供されるようになってきています。

 

データセンタにおけるフラッシュメモリ

 

 今日のニュースを賑わせているフラッシュメモリに関するニュースは、フラッシュメモリをデータセンタ内で活用するソリューションに関するものです。この背景には、データセンタ内のアーキテクチャがこの数年で大きく変革されたことに端を発しています。

 18ヶ月で半導体の集積密度は倍になり、価格は半減するというムーアの法則にしたがい、コンピュータの処理速度は著しく向上してきました。そのコンピュータの処理速度の中心となるCPUは、いったんは半導体からの発熱のために集積密度を上げることが難しくなった時期もありました。

 しかしながら、発熱の問題を抑えながら、集積密度を上げていくマルチコアアーキテクチャを採用することで、この問題を解決し、今現在もムーアの法則にしたがって性能を向上しています。この結果、今日のCPUは単一のアプリケーションが要求する性能を大きく超えた処理速度を実現しており、1台のサーバ上で複数の仮想サーバを並立で動作させる仮想化テクノロジーを採用するアーキテクチャが現在のデータセンタインフラストラクチャの現実的な選択肢となっています。

 仮想化テクノロジーを採用したデータセンタではシステムの冗長性を確保するため、バックアップ、レプリケーションなどの様々なデータサービスを提供するため、共有ストレージが採用されています。

 従来からこの共有ストレージには磁気ディスク(HDD)が採用されていましたが、CPUの高速化に伴って仮想化サーバの集積密度が上がった結果、従来の磁気ディスク(HDD)のテクノロジーやその磁気ディスクを並列化し性能を向上しようというRAIDテクノロジーでは、求められている性能に対応ができないというケースも多くでてきました。

 磁気ディスクのデータ記憶容量は毎年倍増しますが、そのディスクへのアクセス速度の性能は15年間でおよそ100倍程度にしかなっておらず、ムーアの法則にしたがって向上していく半導体であるCPUの性能に全く追従できていません(図1)。

ムーアの法則とディスクへのアクセス速度
図1:ムーアの法則とディスクへのアクセス速度(クリックで拡大)
 

 そこで、ムーアの法則に従う性能を提供できるストレージとして、CPUと同じく半導体を採用したフラッシュメモリに注目が集まることになりました。

 
株式会社ネットワールド
株式会社ネットワールドで仮想環境・クラウド環境製品を4年間にわたって担当。
趣味はスキューバダイビングで、夢は世界中の海で潜ること。
最近のマイブームは子供と一緒に遊ぶこと。

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