フラッシュストレージが注目される理由と4つのソリューション
2014年2月6日(木)
フラッシュメモリの欠点
ムーアの法則に従う性能が提供できるストレージメディアとして注目が集まるフラッシュメモリは、性能が磁気ディスクに比べて、非常に速いという以外に、可動部、モーターなどを必要としないため故障率が低く、低消費電力など多くの長所を持っています。しかしながら、ビットを1つずつディスクに書き込んでゆく従来の磁気ディスクとは異なり、以下のような取り回しのしにくさを抱えています。
- データの上書きはできない(書き込む前に消去が必要)
- データの書き込みはページ単位で可能だが、データの消去はブロック単位で実施しなくてはならない(通常4KBのページが128ページで1ブロックを構成する)
- データの保全(ガーベージコレクション)のため、必要以上の書き込み操作(ライトアンプリフィケーション)が必要となってしまう。
- データの書き込み回数に上限がある。
図2:フラッシュメモリへのデータ書き込み(クリックで拡大)
磁気ディスクではディスク上のデータへのアクセスを実現するため、データの保存されている場所を示すデータ(メタデータ)をディスクの様々な場所に配置し、実際のデータ領域を探し出す手がかりにしています(ファイルシステム)。
フラッシュメモリは上記のような取り回しが必要になるため、従来の磁気ディスクで培ってきたテクノロジーをそのまま利用すると、頻繁にフラッシュメモリ上に配置されたメタデータを更新することになり、ガーベージコレクションとライトアンプリフィケーションを頻発させてしまいます。書き込みの回数に上限のあるフラッシュメモリにとっては、これは寿命を著しく縮めてしまうことになります。
図3:ガーベージコレクションとライトアンプリフィケーション(クリックで拡大)
また、フラッシュメモリの高速な書き込み性能が最も発揮されるのは、フラッシュメモリに対する書き込みが連続した空き領域に対して行われるタイミングです。従来の磁気ディスクのために開発されたファイルシステムではメタデータを更新しながらデータを書き込むため、フラッシュメモリの本来の性能を実現できなくなってしまいます。
この問題を解決するため、各社がフラッシュメモリのコントローラーの改良、フラッシュメモリのためのファイルシステムの設計、フラッシュメモリを有効活用するためのソフトウェア開発など、様々な観点でしのぎを削っています。
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