デスクトップ仮想化(VDI)とシンクライアントはどう違う?
画面転送型には3つの実装方式がある
次に、画面転送型の3つのタイプについてご紹介しましょう。
サーバーベース方式
サーバーにアプリケーションをインストールし、複数のユーザーで共同利用します。アプリケーションが、マルチユーザーアクセスに対応している必要があります。幸い、一般ユーザー向けアプリケーションの多くは、Microsoft Officeを含めて共同利用が可能です。CPUやメモリーを共有しているので、利用者の誰かが重い処理を動かすと、同時アクセスしている他の利用者にも影響を与えてしまいます。
ブレードPC方式
ブレードPC方式は、それぞれのユーザーに「ブレードPC」と呼ぶ物理PCを割り当てる方式です。利用者は、自らに紐づけられたブレードPCをネットワーク経由で操作します。1人のユーザーが、CPUやメモリーを独占できるので、アプリケーションの制約や、他の利用者の影響を免れられます。ただし、基本的にユーザーの分だけ、ブレードPCを用意する必要があるため、コストがかかります。
VDI方式
サーバーベース方式とブレードPC方式のメリットを兼ね備えるのがVDIです。ブレードPC方式と同様、ユーザー単位でPCを用意します。ただし、割り当てるのは仮想マシンです。1台の物理サーバーに複数台の仮想マシンを集約できますから、ハードウェアコストがブレードPCほど大きくありません。アプリケーションが制限されることも、他ユーザーの影響を受けることもありません。
画面転送型の3つのタイプのうち、現在主流となっているのはVDI方式です。市場環境の変化、新たなニーズの対応、ITインフラの仮想環境へのシフトなどの要素が、VDIの採用を後押ししています。ただ、初期投資コストの観点では、サーバーベース方式がVDIに勝ります。コスト抑制のために、サーバーベース方式と、VDI方式をハイブリッド導入する企業も一定数存在します。