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どれくらいの人が情報アクセスのハンディを持っているのか
さて、まずは、見ること(視覚)に焦点を当てて考えてみます。統計的に見ると、メガネやコンタクトレンズを利用している人は、日本国内に概算で7000万人いると言われています。ちなみに老眼の人の数も7000万人。日本の人口比率で換算すると、約55%が該当します。それだけ多くの人たちが見る行為に不安を抱えているわけです。
とはいえ、メガネやコンタクトレンズで矯正可能な人々もたくさんいます。それらでも視力が上がらないロービジョン(矯正視力0.5未満)と失明(矯正視力0.1未満)の人たちに限ると2007年に164万人います(日本眼科医会の発表資料)。2030年には200万人を突破すると言われています(2013年は170万人当たり)。
視力ではなく、色に違和感を持つ人たちもたくさんいます。いわゆる“色弱者”と呼ばれる人々です。これらの人々は、一部の色の組み合わせについて、一般の人々と違った感じ方をします。WEB上のボタンの配色や文字の色によっては、操作がしづらく、情報取得に著しい問題を引き起こす場合があります。
日本での色弱者の割合は、男性の場合、約20人に1人、女性の場合、500人に1人。約320万人が該当する計算です。欧米では、男性の場合、約8人に1人の割合に増えます。世界の人口で換算すると、約2億人が色弱者となります。
さらに、視覚になんらハンディが無いにも関わらず、文字が読めない人たちもがいます。読字障害、またはディスレクシアと言われています。日本障害者リハビリテーション協会が提供する情報サイト(DINF:障害保健福祉研究情報システム)によると、ディスレクシアとは、“知的な遅れはないが、読んだり書いたりすることが苦手な人”と定義されています。
Dyslexia: ディスレクシア(ディスレキシアとも呼ばれる)のdysは、ギリシャ語の「困難」「欠如」という意味、lexiaは「(文章を)読む」という意味を表します。
ディスレクシアは、一般に学習障害(LD: Learning Disabilities)に包含されていますが、LDをLearning Difficultiesと称し、学習困難者と呼ぶ人たちもいます。日本でのディスレクシアの割合は、6.5%と言われおり、約800万人が該当します。米英では、日本よりも多く約10%と言われおり、俳優のトム・クルーズさんや、映画監督のスティーブン・スピルバーグさんも自身がディスレクシアであることを公表しています。
その他、情報アクセスに関連するハンディとしては、身体障害(特に、上肢の機能障害)と知的障害があり、これらの障害を持っている人たちを合計すると、約130万人となります(厚労省基礎調査、内閣府障害者白書より)。