VMware Virtual SANで実現するストレージ仮想化:Part1 構成とストレージポリシー
2014年4月3日(木)
VSANのストレージポリシー
VSANデータストアを使用するにはストレージポリシーを設定する必要があります。ストレージポリシーを適応することで冗長化、データの配置方法、データ保存領域の予約など、様々なポリシーを設定することができます。以下にVSANのストレージポリシーで設定可能な内容について解説します。
1. 許容される障害数(デフォルト:1 最大:3):冗長化
1つのストレージオブジェクトについて許容されるホスト、ネットワーク、およびハードディスク障害の数。n(ストレージオブジェクト)+1のレプリカが作成される。
2. ストライプ数(デフォルト:1 最大:12):キャッシュレス時に性能向上
単一の仮想ハードディスクをストライピングして書き込むハードディスクの数。読み込みもストライピングされたハードディスクから読み込む。
3. 領域の予約(デフォルト:0% 最大:100%):シックプロビジョニング
VSANのデフォルトはシンプロビジョニング。設定した値(割合)分が仮想ハードディスクに対してVSANデータストア内で予約される。
4. Flash Read Cacheの予約(デフォルト:0% 最大:100%):性能の担保
読み取りのキャッシュ用に予約したい場合に指定。
5. 強制的なプロビジョニング(デフォルト:無効)
有効にするとVSANDatastoreがポリシーの要件を満たさない場合でも、オブジェクトがプロビジョニングされる。
上記の5つからVSANのストレージポリシーを設定します。これらのストレージポリシーを駆使することでESXiホストが障害でダウンした場合でもデータオブジェクトを保護することができます。例えば以下のようにストレージポリシーを適応すると、仮想マシンを展開した際にどのようにデータが分散され保護されるでしょうか。
ストレージポリシー◎ストライプ数(データ分散量書込)=2◎許容障害台数(レプリカの数)=1
図4 VSAN環境におけるデータの保護(クリックして拡大)
ストライブ数を2に設定することで仮想マシンの仮想ハードディスクを2つに分散し、フラッシュデバイスを経由して最終的に物理ハードディスクにデータが保存されます。これは他の仮想マシンがフラッシュデバイスのキャッシュ容量を使い果たし、キャッシュが有効にならなくなってしまった場合、ストライプ数を1以上設定することでハードディスク自体のIOPS(Input/Output Per Second)を活用しパフォーマンスを高めることができます。フラッシュデバイスの容量が潤沢にない環境においては効果を発揮することができると言えます。レプリカの数を1に設定することで同じデータをもう1台のESXiホストに複製し耐障害性を確保します。これによりESXiホストが障害でダウンしたとしても仮想マシンのデータは保護されます。
このようにVSANのストレージポリシーを利用することで冗長化やデータのストライプ(分散配置)を設定することができます。保護のレベルが高い仮想マシンは許容障害台数を1以上に値を設定し、シックプロビジョニングで仮想ディスクを構成したい場合には領域の予約を設定することで実現できます。
次回は、VSANにおけるデータの読み込みと書き込みの動作、VSAN環境の障害時の挙動、そしてVSANのFAQについて解説します。
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。