VMware Virtual SANで実現するストレージ仮想化:Part2 データの読み書きと耐障害性

2014年4月10日(木)
染谷 文昭

VSAN環境のFAQ

 
 ここではVSANにおけるFAQについて記載いたします。VSANをこれから触る方や疑問点について解消されることを期待します。
 
【1】VSANクラスタ内のESXiホストすべてにフラッシュデバイスとハードディスクを用意する必要はありますか?
用意する必要はありません。CPUとメモリリソースのみ不足しているようであれば、ハードディスクを搭載していないESXiホストをvSANクラスタ内に作成または追加することでvSANデータストアを利用することができます。
 
【2】ハードディスクの増減は無停止で可能ですか?
はい、可能です。ディスクグループ内にあるハードディスクを減らす場合、ディスクグループをメンテナンスモードにしないでハードディスクを削除しますとそのハードディスクに含まれているデータは失われますのでご注意ください。ディスクグループにあるデータを退避するにはディスクグループをメンテナンスモードにする必要があります。
 
【3】ハードディスクの容量よりサイズの大きい仮想ハードディスクを保存することはできますか?
はい、可能です。通常、VSANのストレージポリシーでストライプ数を1に設定した場合、1つのハードディスクにデータが格納されます。36GBのハードディスクを4本搭載したESXiホストがある場合、72GBの仮想ハードディスクを作成するのはポリシー違反となり、本来であればデータを保存することはできませんが、VSAN側で自動的にストライプ数を増やしデータを分散して保存します。
 
【4】フラッシュデバイスの容量はどのようにサイジングすれば良いですか?
ディスクグループにあるハードディスク合計容量の10%の容量を持ったフラッシュデバイスをご用意いただくことを推奨しています。
 
【5】フラッシュデバイスのキャッシュ領域は、読み込みと書き込みの割合はどのように割り当てられていますか?
フラッシュデバイスの全容量のうち読み取りキャッシュ領域が70%、書き込みキャッシュ領域が30%に設定されています。
 
【6】VSANデータストア内にある仮想マシンはvFRCを利用することはできますか?
vFRCは物理ストレージを利用する時に有効となるため、vSANデータストアに保存してある場合は利用することができません。両方の機能を有効化し、それぞれの機能を利用することは可能です。
 
 今回は6つのFAQを挙げさせていただきました。疑問点は払拭されましたでしょうか。参考にしていただけると幸いです。
 
 VSANはESXiホストを増やすことで共有ストレージ容量の拡張、性能をスケールアウトするだけでなく、コスト面、運用面、そして可用性も備えた設計がされていることがお分かりいただけたかと思います。これまで共有ストレージが抱えていた展開におけるハードルとなっていた仮想デスクトップ環境においてもVSANであれば構築が容易であり、かつ展開の高速化を図る1つの手段となりえる可能性があると考えられます。
 
 次回はESXiホストにフラッシュデバイスを搭載させ、読み込みと書き込みキャッシュ機能を有して物理共有ストレージへのアクセス高速化を図るPernixData FVPについて紹介します。
 
株式会社ネットワールドに新卒入社し仮想化業務に携わること5年。
vExpert2014-2015取得。
最近のマイブームはVDI環境での3Dベンチマーク。
軟弱モーターサイクリスト。愛車はトライアンフのスクランブラー(今のところ)。

 

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