正しいシステム運用のための監視要件定義

2014年5月19日(月)
株式会社アールワークス

サービスを提供するために必要な要素は何か

前項で定義した監視項目を構成する要素を、1つずつピックアップする方法としては、サービスの定義から演繹して、要素を挙げていくことになる。

具体的には、Webサービスをインターネットから閲覧可能にするために必要なものは何か、を考える作業となる。

Webサービスを表示させるには、「Webサーバー」が必要である。しかし、「Webサーバー」単体では「Webサービス」を表示できない。「Webサーバー」が「Webサービス」を表示するためには、「Webプロセス」が必要になるからである。

それでは、「Webプロセス」が存在していればサービスは継続できるのかと言えば、そうではない。「Webサーバー」は、「DBサーバー」からデータを取得しないとコンテンツが表示できない。すると、「DBサーバー」の監視も必要になる。この「DBサーバー」単体でもDBサービスは提供できない。サービス提供のためには、「DBプロセス」が必要になるからだ。以降は、図5を参照していただきたい。

このようにして、Webサービスを提供するために必要な要素をピックアップし続けたものが、表1になる。

表1 Webサービスを提供するために必要な要素の一覧
  内容
監視の種類 監視対象 具体的な項目
サービスの監視 URL応答監視 URL応答 応答コード、応答文字列、 応答時間
画面遷移監視 画面遷移 画面遷移(シナリオ)の正常性、 応答時間
インフラの監視 ハードウェア監視 ハードウェアステータス pingによる疎通確認、物理HDD状態、論理HDD状態、電源状態、CPU状態、メモリー状態、ファン状態、温度状態
リソース監視 メモリー メモリー利用量情報(total_real, total_swap,total_use,process_ use)
ネットワーク トラフィック 送受信byte/sec
CPU関連 ロードアベレージ、CPU使用率(idle,iowait,irq,nice,softirq, system,user)
ディスク ディスク空き容量、ディスク使用率、 ディスク使用量、ディスク容量
プロセス監視 プロセス存在 syslog,crond,ntpd,xinetd,sshd, httpd,mysqld,postmaster, portmap,nfs,rpc.mountd,named など
プロセス稼働 インターネット経由httpd応答監視、httpd応答監視(サーバーローカル)、smtp応答監視、Oracle応答監視など
セッション数 httpdセッション数
ログ監視 ログ messages監視、Oracleログ監視、tomcatログ監視、アプリケーションログ監視など

ここで挙げた例は、ほんの一例である。ここから更にDBの応答に問題があると思われる事象が発生すると、「DBサービスの内部リソースはどうなっているか」「WebからDBへとデータ取得する時間」などの運用のなかで発生した問題を監視に取り入れ、監視の網の目を密にしていかねばならない。無論、密になりすぎて過敏になった監視項目は、疎にする調整も必要であるが…。

著者
株式会社アールワークス
1985年に株式会社アステックとして創業。2000年10月の株式会社アールワークス設立を経て、2005年6月より現在の1社体制に移行。同時に、社名を(株)アールワークス(Rworks, Inc.)に変更。
設立以来、IDC事業やITマネージドサービスを行い、そこで培ったネットワークインフラの運用ノウハウや、さまざまなソフトウェアを開発した技術力を結集し、現在、ITシステムのリモート運用サービスをはじめとして、インフラ構築、ハウジングやホスティングサービス、SaaS/ASP型のシステム監視基盤の提供を行う。単純なオペレーターではない技術提供をベースにした24時間365日の統合的なフルマネージドサービスを提供している。

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