データや画像の検出と埋め込み

2014年10月6日(月)
西方 夏子(にしかた・なつこ)

[ソースコード33] 属性付きテキストを使用してリンクを埋め込む

NSURL *url = [NSURL URLWithString:@"http://www.apple.com/"];
NSAttributedString *linkText =
[[NSAttributedString alloc] initWithString:@"link to apple website"
                                attributes:@{NSLinkAttributeName: url}];

上記コードの通り、NSLinkAttributeNameを用いて、リンクを埋め込みたいテキストに対して特定のURLを関連付けることができます。
また、属性を使用して埋め込むリンクは、UITextViewがデフォルトで検出可能なデータタイプに限定する必要はありません。例えば、「メッセージ」アプリは、スキーム「sms」で開くことができるため、メッセージ送信のリンクを埋め込むことも可能です(ソースコード34)。
下記コードで、「Send SMS message」がリンクとして検出され、タップすると「メッセージ」アプリが起動します。

[ソースコード34] メッセージ送信のためのリンクを埋め込む

NSURL *smsUrl = [NSURL URLWithString:@"sms:090-1234-5678"];
NSAttributedString *sendSmsText =
[[NSAttributedString alloc] initWithString:@"Send SMS message"
                                attributes:@{NSLinkAttributeName: smsUrl}];

なお、NSLinkAttributeName属性を指定して埋め込んだリンクも、UITextViewのlinkTextAttributesに設定されているアピアランスが適用されます。また、UITextViewのデリゲートが設定されていれば、タップ時にtextView:shouldInteractWithURL:inRange:メソッドが呼ばれます。

続いて、属性付きテキストを用いてテキスト内に画像を埋め込む方法を解説します。
NSAttachmentAttributeName属性を用います。値はNSTextAttachmentオブジェクトで指定します。例えば、テキストの先頭に画像を埋め込むには、属性付きテキストを生成します(ソースコード35)。属性付きテキストの生成には、NSAttributedStringのattributedStringWithAttachment:クラスメソッドが利用できます。

[ソースコード35] 属性付きテキストによる画像の埋め込み

// 画像を元にNSTextAttachmentを生成
NSTextAttachment *textAttachment = [[NSTextAttachment alloc] init];
textAttachment.image = [UIImage imageNamed:@"apple"];

// 画像の位置とサイズを調整
textAttachment.bounds = CGRectMake(0, -2, image.size.width, image.size.height);

// 画像を表示する属性付きテキストを生成 
NSAttributedString *attachementText =
[NSAttributedString attributedStringWithAttachment:textAttachment];

// 属性付きテキスト内に画像を埋め込み
NSMutableAttributedString *imageText =
[[NSMutableAttributedString alloc] initWithString:@"Apple  リンゴ"];
[imageText insertAttributedString:attachementText atIndex:6];

上記コードで画像を埋め込んだ表示結果を示します(図15)。

図15: 属性付きテキストによる画像の埋め込み

画像の表示位置は、テキストのベースラインが画像の左下になるように調整されます。表示位置やサイズを変更したい場合には、NSTextAttachmentのboundsプロパティを利用します。

属性付きテキストを利用して埋め込んだ画像は、タップが検出されると画像のコピーもしくはカメラロールへの保存が促されます(デフォルト処理)。この処理のカスタマイズは、リンクやデータ検出時と同様に、UITextViewDelegateのメソッドを利用します(ソースコード36)。

[ソースコード36] 画像タップ時の処理をカスタマイズ

- (BOOL)textView:(UITextView *)textView shouldInteractWithTextAttachment:
           (NSTextAttachment *)textAttachment inRange:(NSRange)characterRange
{
    // 画像タップ時の処理
    return YES; // YES:デフォルトの処理をする、NO:デフォルトの処理をしない
}

なお、属性付きテキストによる画像の埋め込みは、UITextView以外のオブジェクト(UILabelなど)でも使用可能です。ただし、画像タップの検出はUITextView上の表示のみです。

この記事のもとになった書籍
UIKit徹底解説 iOSユーザーインターフェイスの開発

西方 夏子 著/丸山 弘詩 編
価格:3,800円+税
発売日:2014年06月13日発売
ISBN:978-4-8443-3608-2
発行:インプレスジャパン

UIKit徹底解説 iOSユーザーインターフェイスの開発

ユーザーインターフェイス(UI)を制御するUIKitは、iOSアプリの中心的役割を担います。UIKitを深く理解することが、アプリ開発での多くの問題解決に繋がります。本書では、アプリの起動から画面表示、画面レイアウト、イベントハンドリングと、常に稼働しているUIKitの機能を丁寧に解説します。メインとなるコンテンツの表示からステータスバーを含むバーの制御、フォントやテキストの改良など、ビューやテキストの「外観」(アピアランス)を改善する内容も充実させています。使用頻度の高いテーブルビューとコレクションビュー、そしてユニバーサルアプリ化に有益なカスタムコンテナビューコントローラに関しては、チュートリアル形式で解説します。また、StoryboardやAuto Layoutも今後のアプリ開発でさらに重要となる状況を見越して、詳細解説に留まらず同じくチュートリアルで多くの具体例を紹介します。

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著者
西方 夏子(にしかた・なつこ)

ソフトウェアエンジニア。大手電機メーカーにおける組込みソフトウェアの開発を経て、現在は個人でiOS向けのアプリケーションを開発している。代表作であるローン計算アプリ「iLoan Calc」は、個人の方のみならず、多くの不動産業、金融業の方からも愛用されている。『iPhoneアプリ開発エキスパートガイド iOS6対応』(共著・インプレスジャパン刊)、『上を目指すプログラマーのためのiPhoneアプリ開発テクニック iOS 7編』(共著・インプレスジャパン刊)などの執筆にも携わり、現在は執筆業を中心にアプリ開発と育児を両立中。

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