話題のフレームワークRuby on Railsに対応した「Rails技術者認定試験」で高収入プログラマーを目指そう!
Webアプリケーション開発におけるRailsエンジニアの求人が増加
軽量プログラミング言語であるRubyをベースとし、Webアプリケーション開発に特化したオープンソースのフレームワーク「Ruby on Rails」(以下Railsと表記)。少人数・短期間での案件はもちろんのこと、ここ最近では生産性の高さを活かして食べログやクックパッドをはじめとした大規模なWebサービスでも採用されているという、注目の開発環境となっている。
「求人検索サイトIndeedによると、国内におけるRubyエンジニア(Railsエンジニアを含む)の求人数は増加しており、昨年5月の時点ですでに6000件を超えています。これは前年比の140%以上にあたる成長率です。またその求人のうち、8割以上が年収800万円以上の募集となっています。求人年収額はあくまで目安ではありますが、Railsの市場が拡大していることに加えて、高額な給与に見合うビジネスが成立するようになってきたことを意味していると考えられます」と指摘するのは、Rails技術者認定試験運営委員会の共同委員長を務める吉政忠志氏だ。
【今回取りあげる資格・試験】
『Rails 4技術者認定シルバー試験』(Rails技術者認定試験)
Rails4技術者認定シルバー試験はCBT試験(コンピュータの画面に表示される問題にコンピュータを使って解答する)としては最上位の難関試験です。本試験の合格者はRuby on Railsの実務コーディング力を持つことが認定されます。
●Rails技術者認定試験運営委員会公式サイト
URL: http://www.railscp.org/
●試験要項
名称 : Rails4技術者認定シルバー試験
試験時間: 60分
問題数 : 40問
出題形式: CBTによる選択問題
合格基準: 7割以上正解
受験料 : 12,000円(税抜)
●シルバー試験の想定対象者
Ruby on Railsの実務コーディング歴1年以上
Rails3技術者認定ブロンズ試験合格者
Rails4技術者認定ブロンズ試験合格者(試験開始時期は未定)
「ただしRailsを学んでいるエンジニアの方は数こそ少なくないものの、そのスキルに大きな開きがあり、仕事が集中する人とまったく仕事が来ない人に二極化されているという現状があります。企業が求める実践的なスキルを備えたRailsエンジニアの数は、決して多くありません」
そこで同団体では2011年よりRailsのエンジニア育成を目的として、「Rails技術者認定試験」を実施している。アップデートに対応するため、1年単位で見直される試験問題や教材の作成にあたっては、業界やコミュニティの一線で活躍するエンジニアをテクニカルアドバイザーとして招へいし、実務で役立つ内容とすべく議論を重ねていると吉政氏。
シルバー試験では長文のコード読解で実践的なスキルを身につける
Rails技術者認定試験は、現時点(2015年1月)において「Rails3技術者認定ブロンズ試験」、「Rails4技術者認定シルバー試験」、「Rails4技術者認定ゴールド・デベロッパー」の3つが設けられている。うち、Railsの基本知識を問うブロンズ試験に関しては、今年の春にRails4に準拠した内容への改訂が予定されており、ベータ試験に向けた準備が進められている段階だ。新試験では、企業における新人研修などでの利用を前提に難易度の引き下げが行われ、はじめてプログラミングに触れる人が1か月程度の学習で75%の合格率となるよう調整されるという。
対するシルバー試験は長文のコードを読み込む内容となり、実践的なコーディング力が問われている。受験にあたり必ずしもRubyを習熟している必要はないが、Rubyに関する基礎的な知識と、PHPやJavaなどのWeb系開発環境で2年以上の実務経験を持つエンジニアを対象としている。
吉政氏は「シルバー試験は、Railsのエンジニアとして必要不可欠な能力を判定するもの。そのためにも、実務で使われない重箱の隅をつつくような問題は、極力排除しています。内容としては『Ruby Association Certified Ruby Programmer Gold version 2.1』や『PHP5技術者認定上級試験』とほぼ同レベルと考えていただいて良いでしょう。まったくの未経験者でない限り、3か月ほどしっかりと勉強すれば合格できるのではないでしょうか」と語る。
ただし40問を60分の短時間で解く必要があるなど、決して簡単というわけではない。合格ラインは7割の得点獲得だが、過去の合格率が30%を下回るなど、かなりの難関試験といえるだろう。なおシルバー、ブロンズの試験はCBT方式(コンピュータで受験する方式)により実施され、いずれも選択式の問題となっている。
「Rails4技術者認定ゴールド・デベロッパー」に関する詳細は未定だが、シルバー試験の上位資格として今年前半の実施が検討されている。ゴールド・デベロッパーのみ、受験にあたってシルバー試験の合格が必須とされるが、Railsの開発者育成に貢献するという理念に基づく特別な認定プログラムのため、審査料金などは必要ない。
「実際の試験では、課題に沿って作成されたプログラムをオープンソースとして公開し審査する『OSS公開判定方式』による評価を予定しています。単にRailsに関する知識を持っているだけでなく、実際にコードを書く能力を証明することを目的とした資格です」と吉政氏。また1年に1回、ゴールド・デベロッパーの合格者から「Rails4技術者アワード」を選出し、運営委員会より表彰することも考えられている。
初学者はRubyからしっかり学ぶのが近道。教材やスクールが整いつつある
ではこれからRailsの資格取得に挑戦したいと考えているエンジニアは、何から取り掛かれば良いのだろうか。他のプログラミング言語を習得する場合と同様に、まずは「Ruby on Rails ガイド」(Rails技術者認定試験推奨コンテンツ)などのリファレンスを読み込み、とにかく手を動かしてコードを書くことが重要だと吉政氏は断言する。
「入門者でも学習が容易なPHPとは異なり、Railsの基となるRubyはプログラミング言語としての難易度が高く、どちらかといえば経験者向きの言語といえます。そのためRubyの基礎を学んだうえでRailsに進むことが、合格の最短距離となるでしょう。ただし最近では、他の言語から直接Railsに取り組む方も増えています」と吉政氏。
なおRails技術者認定試験では、認定スクールと提携して試験対策コースを実施するほか、各種認定教材の提供も行っている。Railsのバージョン4.0に関する最新の情報は、これまで英語のコンテンツが主流となっており、日本語で読めるドキュメントが少ないという問題があったが、独学で学習を進める環境が整いつつあるといえるだろう。
さらに昨年12月より実施されている「Rails4シルバー試験スタートアップキャンペーン」では、人数限定で受験チケット購入時に公式問題集を配布。万が一、不合格となっても1回のみ無料での再受験が可能となっている(6月まで)。
市場の成長が期待されるRailsの習得で転職が有利になる
Rails技術者認定試験を受け、資格を取得することの具体的なメリットについてはどうだろうか。吉政氏が注目するのは、エンジニアとしての将来性だ。
「米国ではすでに、Javaの求人件数がマイナス30%の成長となり、エンジニアの年収は2年間で60万円下がっているというデータがあります。これはJavaのエンジニアを大量に育成し、大きな組織でシステムを構築する時代が終了しつつあることを意味しています。これからは逆に、アジャイル開発の普及により、ミッションクリティカルな業務システムであっても生産性の高いRailsを採用する例が増えていくのではないでしょうか」
必ずしも米国と同じ状況になるとは限らないが、実際、前述のようにRailsエンジニアの求人は高待遇かつ増加傾向にある。
もちろん、採用にあたって現場での実績や経験年数が評価基準となる点は他の言語と変わらないが、認定試験に合格することでその障壁を下げることが可能だと吉政氏は強調する。つまり資格取得のポイントをあらためてまとめると、
- 資格取得の勉強を通じて、Railsの最新かつ実践的な知識を、体系的に学ぶことができる
- 大規模な開発案件においても採用されているRailsの習得により、エンジニアとしてのスキルの幅を広げることができる
- 就職・転職で有利に働く、実践的なスキルの証明
といったところだろうか。
「少人数で行われるアジャイル開発では、プログラミングだけではなく、プロジェクトマネジメントや企画など一人で何役もこなすことが求められます。これらのスキルを、大規模な開発プロジェクトで身につけることは難しいでしょう。5~10年後にRailsがどうなっているかはわかりませんが、Railsによるアジャイル開発の経験を積むことが、エンジニアとしての糧となることは間違いないはず」
就職・転職における新たなスタンダードとなるのか、これからのRails技術者認定試験に注目したい。
【関連書籍紹介】
IT技術者資格の試験対策書として定評のある『徹底攻略』シリーズから、注目のRuby on Railsの新試験「Rails4技術者認定シルバー試験」完全対応の公式問題集が登場!
1問ごとの解説量が豊富で、単なる問題解説にとどまらず、試験対策情報やサンプルコードを盛り込み、スキルアップしながら合格に必要な知識が身につく効率のよい構成となっています。巻末には本試験と同レベルの模擬問題を2回分掲載、学習の総仕上げが実践的に図れるようになっているほか、充実した索引はリファレンスとしても活用でき、試験対策のみならず、いつでも手元においておきたい一冊となっています。
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