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連載 :
  インタビュー

コピーデータストレージのアクティフィオ、DevOpsの陰に光を当てる。

2015年6月12日(金)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

DevOpsは開発と運用を細かいサイクルで回して切れ目のない開発そして実装を目指したWebの時代の新しいシステム開発スタイルと言っていいだろう。DevOpsの推進者であり、Puppet Labの共同創業者、そして今はPivotalでシニアディレクターを務めるアンドリュー・クレイシャーファー氏によればDevOpsの先進的な企業である「アマゾンは11秒に1回、本番環境にコードをデプロイしている」という。

【参考記事】Pivotalの強みはビッグデータ分析とアジャイル開発のタイトな連携

その際にアプリ開発の土台となるPaaSや構成を自動化するツール、オーケストレーションを行うツールなど様々なCIツールが注目されている。しかし米国のベンチャー、アクティフィオが提供するツールはDevOpsの開発ツールに隠れて陰になっている部分に光を当てるものだった。

今回、アクティフィオ本社からシニアバイスプレジデントで製品を統括しているディビッド・チャン氏が来日し、ThinkITのインタビューに応えた。アクティフィオはマサチューセッツのウォルサムで2009年に創業されたコピーデータストレージのベンチャー企業でこれまで主にバックアップやディザスターリカバリ—の観点から企業内の仮想サーバーのバックアップやSAPやOracleに存在する基幹データのディザスターリカバリ—に利用されるアプライアンスを開発販売してきた。今回は、そのバックアップストレージと同じ特許技術を使った「データ仮想化ソリューション」の販売を始めるという。

サーバーやデータベースのバックアップアプライアンスとDevOpsがどう関係してくるのか、チャン氏はDevOpsにおける開発サイクルの課題から説明を始めた。

チャン氏:
米国における調査では、DevOpsは米国のCIOにとってビジネスが変化するスピードに対応するために主要なツールと位置付けています。これはIDCの調査結果ですが、他にもベライゾンは実施した調査でも88%の開発チームがアジャイル開発を取り入れていると回答しています。つまりDevOpsは企業におけるシステム開発の主要な方法論として浸透してきたと言えるでしょう。

ただしそこにはまだ問題があります。それは開発のための仮想サーバーの割り当てでもアプリケーション開発の構成管理ツールでもありません。もっと違うレイヤーに存在します。

———その問題とはなんですか?

チャン氏:
それは開発に利用されるテストデータの問題です。我々の経験ではあるアプリケーションを開発する時に必要とされるデータ、例えば顧客マスターでも商品マスターでも良いですが、それを利用してテストデータを展開することを考えた時にデータをコピーしてサーバーとストレージを用意して、開発に不要なプライバシーに相当するような部分をマスキングして、それからやっと開発環境にデータが用意されるわけです。その部分に多くの時間がかかります。更に時間だけではなくそれらのコピーされたデータを保存するストレージも必要となるのです。

例えば本番データではなくダミーデータで開発を行う場合、最終的な段階でバグが発生したとするとそれを修復するコストは非常に多くなります。それを回避するために開発チームはなるべく本番データに近いもので開発を行おうとするのです。

またある顧客は、本番データをそのまま社内のネットワーク越しに開発環境にコピーすることが出来ません。いまだにサーバーから磁気テープに取り出し、人間がそれを手で持って運んで開発用のサーバーにリストアするという作業を行っています。これは20年前ではなく現時点での話なのです。それぐらいに人的労力が今の時代でも使われているということです。これを解決しないといけないと我々は考えたのです。

———つまり開発サイクルに合わせて素早く本番データからコピーを作成して開発環境に用意するというステップが必要であるというわけですね?

チャン氏:
そうです。しかもそれを複数個コピーすれば単純にサイズが倍増します。そこでそれを解決する方法として「DevOpsのためのデータ仮想化」という考え方を提唱しています。今回はそれを実現する製品として「Virtual Data Pipeline 6.1.2」という製品を発表したわけです。

———これはアクティフィオが持っているバックアップのためのアプライアンスと同じ発想でマスターデータのコピーを用意する処理をDevOpsのプロセスに組み込んでみるとアジャイル開発において効果が出るということを提案しているということでしょうか?つまりコードの開発だけではなくそれに必要なデータの複製やマスキングなどの管理を単純なコピーではなく効率的に進めるためのソリューションであると?

チャン氏:
その通りです。我々は本番データのゴールデンコピーと呼んでいますが、実データはひとつだけであとは差分を保存するだけなので、色々なバージョンのコピーデータを作ってもサイズ的には元データの1.5倍程度にしかならないのです。その部分に我々の特許技術が効いています。限りなく本番データに近いテストデータを使って素早く開発サイクルを回すことがDevOpsには求められているということです。

———日本の事例(富士通、ニフティ、パナソニック)をみるとDevOpsではなくどれもVMware環境でのバックアップやディザスターリカバリ—ですね?これからDevOpsに力を入れていくということなのでしょうか?

チャン氏:
そうですね。今回、バージョン6.1.2という製品ではRESTのAPIを使うことが可能になりましたので、Webに特化したDevOpsな開発環境にはマッチするのではと思います。

———今回は大きな機能追加であり、日本でも本格的に展開するということだと思いますが、どうして「Virtual Data Pipeline 6.1.2」という中途半端なバージョン番号なんでしょう?

チャン氏:
あぁぁ(笑)それは良い指摘ですね、マーケティングの担当に伝えておきます(笑)。

———ところでデータの複製のソフトウェアということで利用のためのコスト、つまりライセンス価格はサーバーの数や複製の回数、データのサイズなどで変化するのでしょうか?プライシングについて教えてください。

チャン氏:
価格は非常にシンプルです。つまりコピーされるオリジナルのマスターデータのサイズに応じた価格となっています。それがバックアップのためにコピーされるのか、DevOpsの開発のためにコピーされるのかは関係ありません。何回コピーしても価格は変わりません。「ラジカルなほどにシンプル」というのが私たちの目指す方向なのです。

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DevOpsがもてはやされる現在、PaaSやChefやPuppet、Jenkinsなどのツールには様々なユースケースがあり、企業内のエンジニアもシステムの効率化、自動化、コード化として役立てているだろう。自社が保有するデータを開発に利用する時に例えば個人名をマスキングしたりする処理はあえて学ぶほどにもないくらいに基本的な処理なのかもしれない。データが爆発的に増大している状況でそれらのデータを如何に効率的にストレージの容量を抑えて開発に利用するというのはツールばかりが陽の目を見るDevOpsの裏にある陰の部分だ。アクティフィオが注目しているその陰の部分は解消されるのか、これから日本での展開を注視していきたい。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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