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連載 :
  インタビュー

SurveyMonkeyのVP、悲劇の後のビジネスとカルチャーについて語る

2015年11月2日(月)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

シリコンバレーの一角、パロアルトのカルトレインの駅の真ん前にSurveyMonkeyの本社がある。今回、SurveyMonkeyのVice President, Marketing Communicationであるベネット・ポーター氏にインタビューを行った。SurveyMonkeyはインターネットを活用したマーケットリサーチのトップベンダーだが、2015年5月に不慮の事故で前CEO、デイブ・ゴールドバーグ氏がこの世を去り、7月に元HPの幹部、ビル・ベクティ氏が新CEOに就任したばかりだ。

日本ではインターネットを活用したマーケットリサーチではMacromillが先行しているが、米国ではFortune 500の99%がSurveyMonkeyを使用しているという。約1年半前の2014年4月に東京で行われた記者会見では、モバイルアプリやパートナーシップの発表があったが、それ以降のビジネスなどについてポーター氏に話を聞いた。

Vice President, Marketing Communicationsのベネット・ポーター氏

図1: Vice President, Marketing Communicationsのベネット・ポーター氏

ーーーまず約1年半前に日本での記者会見があったわけですが、それ以降のビジネスやニュースについて教えて下さい。

まずは、ビジネスというよりも経営にとって大きな変化がありました。悲しい変化、でしたけれども。デイブが亡くなって、我々社員や家族、シリコンバレーの友人たちから様々な暖かな支援を頂きました。そんななかでシリコンバレーのベテランであり、デイブとは30年来の友人であるビルがCEOに就任してくれたことは素晴らしいニュースだったと思います。実際にはデイブとビルはハーバード大で一緒に学んだ間柄ですし、これまでもずっとデイブとはビジネスの話をしていました。ですので、CEOとしては何も知らない人にイチから教える必要が無かったことがラッキーでしたね。

ビジネスの部分ではSurveyMonkey Benchmarksというサービスの提供を始めました。これはデイブがSurveyMonkeyに移ってからずっとやりたいと思っていたサービスだったのです。従来の大掛かりな個別のマーケットリサーチではなく、顧客満足度調査や社員満足度調査など自社で行ったアンケート調査の結果をビッグデータとして活用し、同業他社や業界大手などの他の会社と比較するサービスになります。元々これを作りたいと言っていたデイブでしたが、発表した直後にあの事故があったのです。ですので、我々としてはデイブの遺志を受け継いでこのサービスをちゃんと立ち上げてビジネスしていくという課題があるのです。

ーーーいわゆるマーケターにとってマーケットリサーチはいつも遅い、お金がかかる、わかっていることを大げさに報告される、とあまり好かれていないのではと思いますが、それに関してはどうお考えですか?私個人の元ソフトウェア会社のマーケティング担当という経験からの偏見かもしれませんが(笑)。

いわゆる大規模なリサーチほど時間とお金がかかる割には大したことがわからないという印象を持つマーケターも多いとは思いますが、SurveyMonkeyのリサーチはよりコンパクトで手軽に始められるものですので、そういう印象を少しでも払拭できると良いと思います。よりカスタマイズされたリサーチを行うのは大手コンサルティング会社やリサーチ会社に任せて、我々はプラットフォームを提供することに専念したいと思っています。

モダンなのに暖かみのあるオフィス。個人の名前はバナナのカードに

図2: モダンなのに暖かみのあるオフィス。個人の名前はバナナのカードに

ーーー実際にはマーケットリサーチはキライでもWebのアクセス解析は重要視しているマーケターは多いと思います。これは実際に数値でリアルに理解できるからだと思いますが、そのギャップを埋めることは可能なんでしょうか?

わかります。いわゆるマーケットリサーチが好かれないのは、往々にして「遅い、面倒くさい、高い」などの形容詞でも言い表されるようなモノだからでした。それに引き換えWebアナリティクスは多くのデータを即座に見ることができます。ただし、Webアナリティクスの場合は最終的に何が起こっているのかを推測するしかありませんでした。例えば商品購入の最後の段階で離脱してしまったユーザーに何が起こったのかはわかりません。それに引き換えサーベイの形式で直接ユーザーに尋ねることができたらもっと理解を深めることができます。ですのでWebアナリティクスによってわかる暗黙(Implicit)な情報とサーベイによって集められる自明(Explicit)な情報を組み合わせることでより理解を進めることが可能になると思います。すでにSalesforceとは連携を実現していますので、GoogleやAdobeなどのWebアナリティクスのベンダーともパートナーシップを作っていきたいと思います。

オフィスにはリラックスするための設備も。なおバンド演奏は5時以降のみ解禁

図3: オフィスにはリラックスするための設備も。なおバンド演奏は5時以降のみ解禁

ーーー日本でのビジネスがまだ立ち上がっていませんが、海外でのオペレーションはどうなっているのでしょうか?

昨年から本格的に北米以外でのビジネスを立ち上げました。まずは英語圏であるイギリスとオーストラリアにセールスオフィスを作りましたので、これから本格的にビジネスを拡大していく予定です。日本においてもパートナーを通じてビジネスを進めていますし、拠点に関しても慎重に検討を重ねているというところです。

いたるところにサルのぬいぐるみが

図4: いたるところにサルのぬいぐるみが

ーーー最後にSurveyMonkeyの企業としてのカルチャーを教えて下さい。

このオフィスを見てもらえば分かる通り、いたるところがガラス張りになっていますよね。組織としてオープンで透明度が高い、つまりトランスペアレントであること、それに民主的であること、お互いが繋がっていること、というのが文化といえるかもしれません。それにいつもコラボレーティブ、助け合う姿勢でいること。よくいうのですが、もし誰かがこのオフィスに働きに来て周りの人が最初に掛ける言葉は「How Can I Help? (なにかお手伝いをすることはありませんか?)」だと思います。それぐらいにお互いに助け合うことを頭において仕事をしていると思いますね。単にオープンであるだけでなく失敗に対してもオープンであること、それを共有すること、も特徴的だと思います。実はCEOのビルが仕事を始めた時に社員にサーベイを送りました。そうやって社員の意識を理解して民主的に仕事を進めようとしたんですね。その意味でもSurveyMonkeyには最適のCEOだと思います。

屋上にはパティオスペースがあり、リラックスして仕事ができそう

図5: 屋上にはパティオスペースがあり、リラックスして仕事ができそう

土曜日の午前中にも関わらずオフィスツアーとインタビューに応えてくれたポーター氏だが、VPという肩書には似つかわしくないほどカジュアルに対応して頂き、不躾な質問にも明確に答えて頂いた。感謝したい。ちなみにSurveyMonkeyという名前は「最も好奇心が強い動物は何か?」を考えている時に有名な絵本のCurious Georgeの猿を思い浮かべて付けたという。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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