仮想化環境での運用監視とは?
仮想化環境の効率的な監視方法
これまで仮想化環境での構成要素について説明してきましたが、仮想化専用の管理ソフトウエアとハードウエア専用の管理ソフトウエアの両方を操作することは煩雑な運用方法ですので、一つのインターフェースで仮想化環境を監視できることが重要です。
IBM Systems Directorには、Virtualization Managerという仮想化環境監視に特化した機能があり、IBM Systems DirectorとVMware vCenter Serverとの連携が可能です。この機能により、IBM Systems Director Webインターフェースから物理マシンとその上で稼働するゲストOSを一元的に監視することができます。
日常的な操作では、図3のIBM Systems Director Webインターフェースを利用して、「物理マシン」であるサーバーのハードウエアの状況を確認すると同時に、各ゲストOSの状況を確認することができます。
障害発生時、ハイパーバイザー/ゲストOSからIBM Systems Director Serverにイベントの通知は行われるものの、詳細な問題判別まで行うには、IBM Systems Director Serverだけでは十分ではない場合があります。そのような場合にのみ、仮想化ソフトウエアが提供する管理画面にアクセスし、問題判別を行うという運用が考えられます。
複数のインターフェースを常に監視するのではなく、管理者の手間を削減しつつ、適材適所にソフトウエアを活用していくことが、仮想化環境の監視では重要な方法の一つとなります。
また、仮想化専用の管理ソフトウエアとハードウエア専用の管理ソフトウエアが連携できると、次のような仮想化環境特有の運用方法も活用されます。
(1)あるブレードサーバー上でPFA(事前障害予知)イベントが発生
(2)PFAイベントがIBM Systems Directorに通知
(3)対象ブレードサーバー上で稼働しているゲストOSを他サーバー上にマイグレーション(VMotionなど)
その結果、サーバーがダウンする前にゲストOSを移動できます。
仮想化専用の管理ソフトウエアだけでは、ハードウエア障害監視において十分な機能を保有しているわけではありません。そのため、1台の物理マシン上で稼働するゲストOSが複数存在する、仮想化環境のハードウエア障害とその対応が連携できることは、業務継続の観点で大きな意味を持つことになります。
まとめ
今回は、物理環境と仮想化環境との運用監視方法の違いや、IBM Systems DirectorのVirtualization Managerのメリットについて説明してきました。理解を深めていただくためにも、冒頭でふれた疑問点について、最後にとりまとめておきます。
Q:ハイパーバイザーが増えたが、何か監視する必要があるのか。また、新しい管理ソフトウエアが必要になるのか?
A:仮想化製品が提供する専用の管理ソフトウエアによる監視が必要です(VMware vCenter Serverなど)。
Q:物理環境で行っていたリソース監視やプロセス監視は同じ運用で大丈夫か?
A:物理環境で利用していた監視ソフトウエアが仮想化環境でサポートされている場合には、同じ運用が可能です。
Q:あのOSは今どのサーバー上で稼働しているだろうか?
A:IBM Systems DirectorのVirtualization Managerの活用により、確認可能です。
Q:物理環境と同じ管理インターフェースで仮想化環境を管理することができないか?
A:IBM Systems DirectorのVirtualization Managerを活用すると、同一の管理インターフェースでの管理が可能です
今回ご説明した仮想化環境における構成要素や、効率的に仮想化環境を監視するIBM Systems Director のVirtualization Managerの監視方法が、仮想化環境の運用監視を考える際の参考になれば幸いです。