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話題の「フォグコンピューティング」、エッジコンピューティングとどう違う?

2016年8月13日(土)
ReadWrite Japan

IoTの成長につれて、「フォグコンピューティング」と「エッジコンピューティング」という単語を頻繁に耳にするようになった。

フォグコンピューティングという言葉は比較的最近になって出てきた言葉である。クラウド(雲)よりもデバイスに近いところに位置しているためにフォグ(霧)と表現されていて、IoTを実現する仕組みとしてCiscoなどが提唱、世界的な普及を目指しているものだ。一方、エッジコンピューティングという言葉は、クラウドとデバイスの境界を表すものとして早くから使われてきたものである。

なぜ今、この2つの言葉が頻繁に聞かれるようになっているのだろうか。それには、「クラウドコンピューティング」の限界が大きく関わっている。

クラウドにおいて、データを処理しそれをエンドデバイスに送信できるサーバへの接続がいつでも確保できるのであれば、クラウドコンピューティングは素晴らしいソリューションと言える。

だがしかし、IoTデバイスはたとえサービス障害が出ている場面でもタスクを実行できる信頼性が必要であり、ローカルで処理能力やストレージを持っておくことは今後ますます重要なことになってくる。そこで登場するのがフォグ/エッジコンピューティングだ。この2つの単語は業界で一緒くたにされ使われているが、いくつかの重要な違いも存在する。(見方によって見え方が違うのはもちろんだが。)

これらの方法がどのように違うのかを説明するために、スマート掃除機といったものを考えてみたい。それはゴミを発見したら早急にそれを片付けるタスクを与えられた掃除機であり、家中に張り巡らされたセンサーがゴミを検知した瞬間に起動するといった例だ。

フォグコンピューティング

まず「フォグコンピューティング」は、処理能力をIoTデバイスのあるLAN内に置くといったものだ。そのネットワーク内のIoTゲートウェイ、あるいはフォグノードにデータが集められ、処理、貯蔵される。さまざまなソースから情報がこのゲートウェイに集められ、処理されたデータはそれを必要とするデバイスに送り返される。

フォグコンピューティングは処理能力が高い単一のデバイスがさまざまなエンドポイントから情報を受けとり、処理された情報を必要とするところへ送り届けるという特徴がある。クラウドコンピューティングと比べてレイテンシーも短い。

エッジコンピューティングと比較すると、フォグコンピューティングはよりスケーラブルである。集中的な処理装置を持ち、さまざまなポイントからデータが送られてくることから想定されるネットワークは大きなものである。

フォグコンピューティングでは、処理能力の有る無しできっちり分かれている必要はない。デバイスによってはその能力に応じて何らかの限られた処理を行うこともできるだろうが、より複雑なことをやろうとするとアクティブな接続が必要となってくる。

これを掃除機の例に例えると、集中化されたフォグノード(あるいはIoTゲートウェイ)が継続的に家中のセンサーから情報を集め、ゴミを検知したら掃除機を起動するという感じになる。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングは、フォグコンピューティングの「処理能力をLAN内に持つ」という考えをさらに推し進めたものであり、処理能力はよりデータソース寄りになっている。中央のサーバでまとめて処理をおこなう代わりに、ネットワーク内の各デバイスが処理をおこなうといったものだ。

これは、センサーをプログラマブルオートメーションコントローラ(PAC)に接続し、処理や通信をハンドルすることによって可能となる。

フォグコンピューティングと比べた利点としては、その性質から来る単一障害点の少なさだ。それぞれのデバイスが独立して動き、どのデータをローカルで保存するか、クラウドに送るかを判断できる。

掃除機の例でいうと、エッジコンピューティングのソリューションではセンサーそれぞれがゴミがあるかどうかを判断し、掃除機を起動する信号を送るという感じになる。

これら2つのソリューションがもたらすものは似ているところがあるが、データの収集、処理、通信のやり方は確実に異なる。それぞれに長所と短所があり、さまざまなケースにおける向き不向きも出てくるだろう。IoTが我々の生活にますます広がって行くことから、将来さらに耳にする機会は増えていき、データを記録するだけのセンサーは過去のものとなるに違いない。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]

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