エンタープライズWeb開発の最新動向 4

IBM WebSphere Virtual EnterpriseによるWebシステムの仮想化

IBM WebSphere Virtual EnterpriseによるWebシステムの仮想化

クラウド・コンピューティングがサーバー構築を最適化することを目的とした仮想化技術の活用であるとするならば、「IBM WebSphere Virtual Enterprise」(WVE)による仮想化は、Webシステムの運用を最適化することを目的とした製品です。

WVEでは、Webクライアントからのリクエストをオンデマンド・ルーター(ODR)という独立したプロセスでハンドリングし、インテリジェントな分散処理を行うことにより、より高いレベルのWebアプリケーション環境を提供します。

バックエンドのアプリケーション・サーバーを仮想化し、あらかじめ定めたポリシーとアクセス負荷に応じて、アプリケーションを実行するサーバー数を動的に増減します。また、一時的にアクセスが集中し、バックエンドのサーバーに過剰な負荷がかかった場合には、リクエストを優先度に応じてキューイングし、重要なリクエストを確実にこなします。これらの機能により、アクセス負荷の増加に耐性のあるWebシステムを構築できます。

WVEには、あらかじめ定められたヘルス・ポリシーに応じてアプリケーション・サーバーの実行状況を監視し、メモリ・リークなどの異常な状況を検知した場合に自動的に該当サーバーへのリクエスト送信を停止する機能もあります。異常が発生したサーバーのダンプを取得したり、正常化のために再起動処理を実施するいった操作も自動化できます。これらの機能はサーバーの運用負荷を大きく下げます。

また、ODRには、運用にあたって有用な機能が多数あります。例えば、管理者の操作によって特定のサーバーへの新規ユーザーのリクエスト(あるいはすべてのリクエスト)の転送を止める機能や、同一アプリケーションの複数バージョンを同時実行してクライアントの種類によって振り分ける機能などがあります。サービスを止めることなくサーバー構成を変更したりアプリケーションを更新することも可能です。

終わりに

以上、4回に亘ってエンタープライズ向けWeb開発の最新動向と、それを実現するためのIBM製品について解説しました。

エンタープライズ向けの製品は、より高機能なWebアプリケーション環境をより簡単に構築できるよう、日々進化しています。

IBMでも、WebサイトやTwitter(@websphere_japan)などで情報を発信し続けています。ご注目ください。

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