今後のUnified Communications
ソーシャル・ソフトウエア
mixi/Facebook/Twitterに代表されるソーシャル・ソフトウエアは、コンシューマ(一般消費者)向けでは非常に注目されています。しかし、これらはコンシューマ向けのため、企業向けで必要になるセキュリティやポリシー制御の機能が省かれています。ソーシャル・ソフトウエアの機能を企業向けに提供することは、今後の重要な検討課題です。
企業内を見渡すと、メールやメーリング・リストが重要な位置を占めています。ところが、最近ではメールの数が多く、重要なメッセージを見落とすことが多いと思います。さらに、メーリング・リストはコピーして配るため、1通メールを出すと個々のユーザーそれぞれのストレージを消費してしまう場合があり、大変効率の悪いシステムとなっています。
コンシューマに目を転じてみると、メールやメーリング・リストに情報を流す行為は、ほぼ廃れています。TwitterやFacebookのような、メールよりも便利なサービス/アプリケーションが出てきたためです。
TwitterやFacebookのようなツールを、セキュリティやポリシーに気を使って企業向けに統合することが重要です。UCを導入済みの場合は、これらのツールをUCと連動させて、プレゼンス(存在確認情報)を表示したり、簡単に電話やチャットに招へい/参加したりできる必要があります。
検索機能も、今までと違ったアプローチが必要です。今までは、企業内のドキュメントが検索の対象でした。もちろんこれは重要ですが、今後は検索対象として人も必要になってきます。例えば、「UCを知っている人」を検索すると、「UCドキュメント」のリストと「UCの専門家」のリストが同時に表示される必要があります。
さらに、これらのツールは、最終的にWeb化される必要があります。今やコンシューマ分野では、サービスはWeb上で提供されるのが一般的です。Google Talkを見れば分かる通り、プラグインのインストールこそ必要ですが、すべての操作はWebブラウザ上で可能となっています。同じように、企業でもUCツールはWebベースになっていくと考えられます。
ビデオの進化
ビデオ(映像)の分野は、さらなる進化が見込まれます。家庭や個人の分野にテレプレゼンスが進出することはもちろん、実際の社内/社外のコミュニケーションの現場で、テキストだけでなくビデオを活用した情報発信が大きな地位を占めることになると予想されています。
地位の高い方は社長訓示などの場面で、すでにビデオを使っているかもしれません。しかし、実際に日々の情報を発信したいのは一般の社員です。この一般社員こそ、ビデオで情報を発信する必要があるのです。例えば、総務部門やIT部門の担当者は、日々、社内に対してさまざまな情報を発信したいと考えているはずです。
UCの進化によって、特権階級(上層部)のビデオを一般市民(社員)でも使えるようにしなければなりません。いわばビデオの民主化です。企業版のYou Tubeと考えるとイメージし易(やす)いと思います。簡単に使えなければなりませんし、プレゼンテーションと一緒に表示できる必要もあります。セキュリティやポリシーを適用できることも必須です。
ビデオを録画する場合は、PCに付いているカメラや、電話機、テレプレゼンス、携帯型のビデオ・カメラなどを使います。これらを使って、どこからでも録画ができる必要があります。携帯型の端末を使って現場の様子を撮影し、ダイレクトまたはPCを経由してアップロードする使い方が考えられます。
こうして録画したコンテンツは、検索の対象になります。この場合、ビデオへの見出しやタグ付けが必要です。今後は、音声認識技術と連動し、自動的に音声をテキスト化して検索対象にできるようになると考えられます。
このように、今後もUCは、その枠組みを広げながら発展していくと考えられます。
以上、4回にわたってUCの現在と未来を解説させていただきました。本連載を通じて、読者のUCへの理解が高まっていただいたのなら、幸いです。