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ネットワーク全体から見る「VoIP入門」

2010年2月25日(木)
三上 信男(Nobuo Mikami)

ネットワーク全体におけるVoIPの位置づけ

本連載もいよいよ最終回です。これまでは、ネットワークの根本技術であるスイッチとルーターを、ネットワーク全体を俯瞰(ふかん)しながら解説しました。今回は、それらの技術をベースにVoIP(Voice over IP)の基礎技術を解説します。

VoIPとは、インターネット網やIP-VPN網といったIPネットワークの上で音声伝送を行う技術の総称です。通話の際、電話機が送出する音声信号をデジタル変換し、パケットの形にしてIPネットワーク上に伝送します。最終的に相手へ伝送されたデータは、相手側の電話機で再び元の音声信号へと復号されます。

VoIPの具体的な話に入る前に、ネットワークの全体像から押さえていきます。前回までの連載で解説してきたネットワークの全体図に、VoIPの構成要素をプロットします(図1-1)。VoIPを実現するために必要な構成要素として、具体的に以下の3つが必要です。

  1. 端末
  2. サーバー
  3. IPネットワーク

(1)VoIP環境における端末とは、IP電話機、ソフトフォン、VoIPゲートウエイなどを差します。端末の機能は、音声であるアナログ信号をIPパケットへ変換し、端末間を接続するための信号を制御します。

(2)2つ目は、サーバー(音声サーバーとも言う)です。VoIP環境では、IP-PBX(PBXは構内交換機)やソフト・スイッチのことを差します。サーバーの機能は、端末を認証することです。また、電話機が発信する電話番号をIPアドレスに変換するアドレス変換機能も提供します。

(3)最後はIPネットワークです。VoIP環境向けに必要な機能は、音声パケットの優先制御や帯域保証などです。音声品質を保証するのが狙いです。

VoIPの構成要素

以下では、VoIPの構成要素をもう少し深掘りして、より現実的に実態をとらえます。

(1)端末には、図1-2のように、IP電話機、ソフトフォン、VoIPゲートウエイなどがあります。

IP電話機は、IP機能を持った電話機です。IPネットワーク網へ直接接続できます。現場ではソフトフォンと区別するためにハードフォンとも呼ばれています。

ソフトフォンは、PC上で動作するソフトウエアです。PCをIP電話機として使用できるようにします。PCにヘッドセットやマイクを接続して使うこともできます。

VoIPゲートウエイは、アナログ電話機をIPネットワーク網へ接続するための装置です。IP機能を持たない既存のPBXをIPネットワークに接続する用途などで使います。

VoIPゲートウエイと組み合わせる装置として、IP機能を持たないアナログ電話機があります。アナログ電話機は、ホーム・センターや家電量販店で売っている一般家庭用の電話機と同等の機能を持ちます。アナログ電話機は、VoIPゲートウエイを経由してIPネットワーク網へ接続します。

(2)サーバーには、IP-PBXやソフト・スイッチがあります。

IP-PBXは、IPベースのPBXです。従来の内線電話網とLANをIPネットワークに統合し、音声のサービスを提供します。また、業務アプリケーションとの連携も可能です。

ソフト・スイッチは、サーバー上で動作するソフトウエアの形で提供されているIP-PBXです。通常のIP-PBXがベンダーの専用OSで動作し、主にハードウエア一体型で提供されているのに対して、ソフト・スイッチは汎用OS上で動作します。

(3)IPネットワークには、データ通信用途と同様に、各種のネットワークがあります。LANはもちろん、WANであれば、広域イーサネットやIP-VPNなど、各種のインフラ・サービスがあります。

次ページからは、VoIPの仕組みや動作原理を解説します。

著者
三上 信男(Nobuo Mikami)
現在、NECネッツエスアイ株式会社に勤務。パケット交換機やフレームリレー交換機、ATM交換機、FRAD、ルーター、VOICEゲートウエイ等のエンジニア経験を経て、2002年CCIEを取得。その後、人材育成部門にて講師をする傍ら、ラボ環境やeラーニングシステムの企画開発、運営管理を行う。現在は、社内教育の企画立案、運営管理に従事。週末は趣味の手品と家族サービスに没頭。

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