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元IBMが挑むIoTを活用した農業の課題とは

2017年11月29日(水)
ReadWrite Japan

ブロックチェーンが世の中で騒がれているが、テクノロジー自体はまだどう広がりを見せるかを模索している最中である。したがってIoTとブロックチェーンを活用し、農業にまつわる問題を解決する企業を見かけることはまだ少ない。そんな中、Zest Labsがテクノロジーを使い食品の品質を守り、廃棄を減らし、安全性を向上するためのソリューションを創りだした。CTOのScott Durginに話を聞いた。

彼は次のように説明する。

「我々が提供するのは食品を農家から売り場に届けるためのソリューションです。センサーを使って食品が供給者から小売に届くまでの品質とトレーサビリティを管理します。このコンセプトの中心には、食品廃棄がこの業界で非常に大きな問題だということがあります。その原因は全体の30%が適切に扱われていないことによるものですが、その扱いが残りの70%とどう違うかを見分けることは難しいのです。出荷される食品は数百万トンにもなるなか、パレットを個別に調べることはできません」

NRDCによれば、食品廃棄にかかるコストは国全体で毎年2180億ドルになるという。毎日収穫される作物はどれも品質が同じというわけではなく、湿度や環境、貯蔵温度など、さまざまな尺度により売り場に並んでられる期間も異なる。これに対しZest Labsは1つの尺度を示すZIPRコードを提案した。これは製品の種類や生育場所、収穫や処理のコンディションから導き出され、生鮮食品の管理を大きく向上することを可能にするものだ。

Zest Freshソフトウェアは特許技術とセンサーを使い追跡されたパレットのZIPRコードを算出し、在庫調整や出荷判断は実情に基づいた新鮮さによって行われるようになる。生産者や販売者、飲食店は買いごろの食品をより早く適切な場所に届けることができるようになるという利点がある。

テストしたところ、Zest FreshとZIPRコードの導入により、食品が新鮮である期間をリアルタイムで把握することができるため、店舗に並べるのに必要とされる期間に応じてインテリジェントに物の流れを調整することができることから、食品廃棄は半減し顧客体験が大きく改善することがわかった。

Durgin氏は次のように説明する。

「生産者が出荷した食品の鮮度に関わらず、同じ収入が得られる機会は今日でもありますが、出荷する食品の鮮度で競争力を得ることができるとしたら、素晴らしいことになると思いませんか?」

ブロックチェーンを導入するZest labs

Zest Labsはこの週、Zest Freshプラットフォームを利用している生産者や物流業者に対し、ブロックチェーンを無料で提供すると発表した。Durgin氏はブロックチェーンの活用により、で生鮮食品のサプライチェーンを可視化し、一層高い安全性と信頼性を提供できると考えている。

「Zest Freshは顧客に対して、ワイヤレスIoTセンサーからZest Cloudに集められたブロックチェーンで認証された安全なデータへのアクセスを提供します。更にこれを予測的アナリティクスと組み合わせることで、生鮮食品が契約条件の品質をいつまで満たすか、サプライチェーン全体を通じて自動的に認識することができます」

ほとんどの業界でブロックチェーンをどう活かせばいいかが考えられているが、とりわけ食品業界では大企業がサプライチェーンパートナーに求める可能性は大いにあることから注目されている。これは好む好まざるに関わらず、多くの生産者達がブロックチェーンを受け入れなければならないということをも意味するのかも知れない。これまでにもRFIDなど、テクノロジーの強制的な受け入れはあった。当初は良かったものの、大企業が強制し始めるようになると小規模な生産者は誰も十分なタグを用意することができなかった。

Durgin氏はブロックチェーンが信頼性の問題を解決するものの、これまでのIoTによるデータ処理や保管方法に取って代わるものではないと考えている。

「内部処理の中核にブロックチェーンを使うかと言われれば、答えはNoです。そのように設計されてはいません。我々のZestプラットフォームはデータストリームの複雑なイベント処理システムであり、IoTの世界にスケールできるよう設計されており、処理をリアルタイムで行い、ブロックチェーン内では処理できないような複雑なイベントストリームを扱うものです。これはセンサーのデータをブロックに投入したり、ブロックの中で処理するだけ以上のことを意味しています。 ブロックチェーンのもつ性質は、非常に興味深い情報共有ネットワークを作り出すチャンスをもたらします。」

Durgin氏はブロックチェーンが普及するための挑戦を、かつてIBMのプロダクトマネージャとしてLotus Notesを手がけていた頃になぞらえる。

「TCAP IPやAppleTalkなどのプロトコルの使用許可を得なければならなかった頃は、ライセンス料を払って製品に組み込んでました。今ではそんな話はありません。ブロックチェーンに関しては、ビジネス上の問題解決を容易にするためのLotus Notesのようなプラットフォームを懸命も作り上げていた頃に似た状態のように思います。」

農業テクノロジーはますます自動化とネットワーク化が進んでいる。ブロックチェーンは新たな農家のビジネスツールの1つになるのかも知れない。

CATE LAWRENCE
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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