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Nutanixが年次カンファレンスでHCIからマルチクラウドにつながるソリューションを解説

2019年11月27日(水)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
Nutanixが年次カンファレンス、Nutanix.NEXTを開催。AWSとの連携などの新機能を紹介した。

ハイパーコンバージドインフラストラクチャーのパイオニアNutanixが、年次カンファレンスとなるNutanix.NEXTを2019年9月13日に都内にて開催した。ハイパーコンバージドインフラストラクチャーはNutanixが作ったと言っても過言ではないジャンルであり、安価なサーバーを使ってコンピュートノードとストレージを融合させた分散型インフラストラクチャーを用いて、仮想マシンとストレージをコモディティサーバーとソフトウェアだけで構成する。これにより、従来のSAN(Storage Area Network)によるストレージ接続を不要にし、同時にRAIDやLUN(Logical Unit Number)の設計という面倒な作業からユーザーを解放するオンプレミスのサーバー/ストレージ製品である。

Nutanixが市場に現れた初期の頃は、「NoSAN」というロゴを使って、IT部門を複雑なSANの管理から解き放つことをメッセージとして訴求していたことが知られており、仮想化基盤としてVMwareのESXiを使って構成されていたためにVMworldなどでも大きな注目を集めていた。

その後、Nutanixが「No-VTAX」という新たなキャンペーンの元にVMware顧客の取り崩しを始めた辺りから、VMware自身もvSANというソフトウェアベースのストレージを発表し、明確に競合として意識し始めたという経緯がある。

ちなみにNutanixがVMwareに対して露骨に反旗を翻したのは、以下の記事でも読み取れる。冒頭に現れるNoSAN、No-VTAXのロゴが強烈な印象を与える。

NutanixのCEO、ディラージ・パンディ(Dheeraj Pandey)氏によるブログ:Stop being a bully, VMware(タイトルは「いじめは止めて、VMware」のような意味)

今や、Nutanixはハイパーコンバージドインフラストラクチャーというジャンルから「エンタープライズクラウド」を標榜するように、シングルソリューションの企業からハイパーコンバージドをベースにした複数のプロダクトポートフォリオを持つ企業に成長し、日本でも着実にユーザーを増やしている。

そして今年も開催されたNutanix.NEXTでは日本法人の代表、町田栄作氏のイントロダクションに始まり、CEOディラージ・パンディ氏のプレゼンテーション、CTOのラジブ・ミラニ(Rajiv Mirani)氏及びプリンシパルソリューションアーキテクトであるスティーブン・ポイトラス(Steven Poitras)氏による製品アップデートなどが行われた。今回の記事では、それらの要点を紹介しよう。

ニュータニックス・ジャパンを紹介する町田氏

ニュータニックス・ジャパンを紹介する町田氏

町田氏に続いて登壇したパンディ氏は過去10年を振り返り、Nutanixが重要視する3つのプリンシパルについて解説を行った。

データ、デザイン、デリバリーが3つのNutanixの柱

データ、デザイン、デリバリーが3つのNutanixの柱

ここでいうデータとは、Nutanixが当初より訴求しているストレージにディザスターリカバリーやバックアップなどの保護機能が追加されたことを、デザインはPrismというUIを始めとしたシンプルな実装を、そしてデリバリーはオンプレミスだけではなくAWSとの統合によってハイブリッドクラウドを実現したことなどを表している。

特にデリバリーに関しては、アプライアンスから始まったNutanixが徐々にソフトウェアポートフォリオを拡げ、現在ではAWSとの水平統合とも言える状態を実現していることを、担当者とともに解説した。

Nutanix Xiを紹介

Nutanix Xiを紹介

これはNutanixのインターフェイスを経由してAWS上のリソースにアクセスし利用するもので、Nutanixの管理コンソールであるPrismからAWSを抽象化する技術と言っていいだろう。

オンプレミスとAWSのクラスターを統合するXi

オンプレミスとAWSのクラスターを統合するXi

「Prismでハイブリッドクラウドを管理」と書かれているように、Nutanixユーザーから見ればオンプレミスの管理コンソールからAWSを集中的に管理することが可能になる。特にネットワークに関しても、VPCとネイティブに統合し、ユーザーが持つ既存のAWSアカウントも利用可能にすることで、課金は従来のAWSアカウントに対して行われ、操作運用はNutanix Prismという非常に現実的な運用を見据えた実装になっていることが理解できる。

またパブリッククラウドを利用する大きな理由の一つである緊急時の代替リソースの例として、ディザスターリカバリーについても各地に分散するパブリッククラウドの利点を活かして「ディザスターリカバリーアズアサービス(Disaster Recovery as a Service: DRaaS)」を実現できるという。「Xi Leap」と呼ばれるこの機能は、2019年第4四半期に日本にて正式にサービスインとなるという。

Xi Leapの紹介

Xi Leapの紹介

これはPrismからワンクリックでAWSに仮想マシンなどを移行できる機能だ。Prismから操作可能であるという点は、すでにNutanixに慣れ親しんでいるユーザーであれば朗報だろう。

またこの統合機能は、将来の計画ではNutanixの管理運用をオンプレミスからすべてのパブリッククラウドに延長することまでを見据えており、AWSとの統合は手始めに過ぎないということが明言された。

将来のアーキテクチャーにはGCPやAzureも

将来のアーキテクチャーにはGCPやAzureも

またパブリッククラウド側だけではなく、エッジデバイスでの運用にもソリューションを提供するというのが「Xi IoT」だ。ストレートな命名だが、実態はエッジデバイスのソフトウェアスタックとデリバリーのためのクラウドサービスという位置付けだろう。ここで登壇したのは、東京エレクトロンの執行役員、上善 良直氏だ。

東京エレクトロンのユースケース

東京エレクトロンのユースケース

その後、NutanixのCTOであるラジブ・ミラニ氏が登壇し、より詳しい解説を行うことになった。

CTOのラジブ・ミラニ氏

CTOのラジブ・ミラニ氏

ここからは、プラットフォームの進化と製品の紹介を一気に行うセッションとなった。まずエンタープライズが求めるプラットフォームをインビジブルにするという部分で、ハイパーコンバージドインフラストラクチャーからオンプレミスのクラウド、そしてマルチクラウドに拡張してきた流れを紹介した。

ここではNutanixのソフトウェアスタック、AOS、AHV、Prismというコアの部分から始まって、Calm、Era、Flowと呼ばれる上位のアプリケーションやネットワークサービスまでを包括的に提供することで、クラスターからデータセンター、そしてパブリッククラウドを含んだコンピューティング資源を運用管理できることを強調した。

Nutanixのソフトウェアスタック

Nutanixのソフトウェアスタック

ここで興味深いのは、Nutanixのターゲットとするワークロードに関する記述で、VDI、ROBO(リモートオフィス・ブランチオフィスに設置される小規模なサーバー用途)、ビジネスアプリ、データベース、分析、SAP、クラウドネイティブ、エッジが挙げられており、クラウドネイティブなコンテナベース、Kubernetesベースのアプリケーションは一部でしかないというNutanixの主張を裏付けるものとなった。

実際にこの後、多くのNutanixの製品が紹介されたが、Nutanix上のKubernetes実装であるKarbonは、ごく短時間紹介されただけだ。

Nutanix Karbonの紹介

Nutanix Karbonの紹介

ここでもNutanixにとってみれば、VDIやSAPという従来型のユースケースのほうがエンタープライズにとってはより重要であり、そのためのソリューションを優先しているということがわかる。また展示ブースのNutanix社員は「KarbonはあくまでもシンプルにKubernetesクラスターを立ち上げるための無償のツールで、UpstreamのKubernetesを動かすためのもの」という内容の説明を行っていた。この辺りは、いかにも仮想マシンベースのプラットフォームらしい内容である。

かつてACS(Acropolis Container Services)というコンテナをベースのソフトウェアを途中で諦めたNutanixにしてみれば、メインストリームとなったKubernetesからNutanix独自のストレージやネットワークに対応させることを行ったというものということは変わらないようだ。

その後、NutanixのバックアップソリューションとしてNutanix Mineを紹介。これはNutanixのストレージをセカンダリーストレージにバックアップするもので、中身はVeeamのバックアップソリューションを組み込んでいるものだ。

Nutanixのバックアップソリューション、Mine

Nutanixのバックアップソリューション、Mine

「最高クラスのバックアップ」という記述は、バックアップソリューションの部分は入れ替えられるように実装されているために、VeeamやHYCUなどのサードパーティ製品を応用できるということを指していると思われる。

Veeamが組み込まれたMine。中身は入れ替えられるようだ

Veeamが組み込まれたMine。中身は入れ替えられるようだ

またオンプレミスでのベンダーロックインについて多くのエンタープライズ企業のIT担当者が問題視するなか、Nutanixは「パブリッククラウドベンダーでのベンダーロックインこそ問題」であると訴求。

Nutanix Moveでクラウドロックインを回避

Nutanix Moveでクラウドロックインを回避

またパブリッククラウドに移行した際に、仮想マシンベースのアプリケーションをAWS上で休止/復帰する機能を紹介した。これはハイバネート/レジュームと呼ばれるもので、稼働時間をコントロールできるワークロードについて、クラスターを休止させS3に保存、その後、必要に応じて復帰させるという機能だ。開発や検証などに利用することを想定しており、コスト削減の効果があると言う。

その後、テクニカルエバンジェリストの島崎聡史氏を登壇させ、Xiのデモを実施し、AWSのi3.metalインスタンス上に展開されるクラスターを実際に操作するデモンストレーションを行った。

デモを行う島崎聡史氏

デモを行う島崎聡史氏

満員となったキーノート会場では、この後町田氏が再登壇し、元大阪市長のタレントが創造的破壊というテーマに沿って30分程度の講演を行った。筆者としては、よりテクニカルな技術的な解説やユースケースなどについて、詳細なプレゼンテーションをして欲しかったというのが率直な感想だ。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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