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FPGAのXilinxが年次カンファレンスを開催。データセンター、5G、自動運転にフォーカスしたキーノートを紹介

2019年12月9日(月)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
FPGAのパイオニア、Xilinxが年次カンファレンスを開催。自らは語らずにユーザーに語らせる演出でフォーカスする市場での優位性を強調した。

OSSとして公開されるVitis

次にペン氏が紹介したのは、Vitisだ。これはXilinxにとって初めて無償、オープンソースとして公開されるソフトウェアプラットフォームで、画像処理のOpenCV、線形代数ライブラリーのBLASなどに加えて機械学習のフレームワークであるTensorFlowやビデオトランスコーディングライブラリーなどが実装できるようになるフレームワークであるという。

Xilinxの新しいソフトウェアフレームワーク、Vitis

Xilinxの新しいソフトウェアフレームワーク、Vitis

Vitisについてはこの場では深く解説がなされず、無償でオープンソースとして公開するということだけが強調された形になった。

Xilinxとしては2007年からOSSに貢献している

Xilinxとしては2007年からOSSに貢献している

Xilinx製品と自動運転

次に紹介されたのは日立オートモティブシステムズ株式会社の北米法人のVice President、内山裕樹氏だ。内山氏は自動運転に向けた組み込み系システムの開発の中でXilinxのVersalを利用していることを説明し、実際に日本国内の車載カメラから録画されたデータを用いて物体認識をする動画を紹介した。内山氏は、Versalの低いレイテンシーと高いスループットに高い評価を与えていることを説明した。

動画でVersalを使った物体認識処理を紹介した

動画でVersalを使った物体認識処理を紹介した

次も自動運転システムを開発するユーザーが登壇。Pony.aiは中国とシリコンバレーに拠点をもつ自動運転システムのベンチャーで、CEOはGoogleからBaiduに移って自動運転システムの開発を行っていたJames Peng氏だ。Peng氏はすでに中国国内で自動運転の実験を行っているとして、日立と同様に車載カメラの動画、自動運転システムで認識された動画を再生しながら、Xilinxの製品の良さをアピールする形になった。

Pony.aiのCEO&Co-Founder、James Peng氏

Pony.aiのCEO&Co-Founder、James Peng氏

デモとして再生された動画では、中国国内の道路を走行中の車輌が歩行者がいるはずのない道路でも歩行者を認識できたことが紹介され、会場では大いにウケていたことを補足したい。

XilinxのCEOのビクター・ペン氏とのインタビューで「Pony.aiのデモ動画は面白かった。あれができるなら次はどこで実証実験をやるべきですか?」と聞いたところ「次にやるならインドかな。道路の状況もカオスだし、人と車以外に牛も認識しないといけないからね」と冗談めいた回答があったことはメモしておこう。

またここでもFPGAとCPU/GPUの比較を、ユーザーの口から語らせるターンとなった。CPU/GPUの組み合わせと比較してFPGAは、レイテンシーは12倍も改善される一方、消費電力は250Wから30Wに低減し、さらにリアルタイム処理に適応できるといった利点が例を挙げて紹介された。特に演算処理においてCPU/GPUはキャッシュのヒットレートが低いため、コアの利用率が10%以下となり、FPGAに比べて非常に劣るということを説明した。

CPU/GPUと比較して良さが目立つFPGA

CPU/GPUと比較して良さが目立つFPGA

特にレイテンシーについては、実際に画像とセンサーからのデータを融合させる処理において、CPU/GPUではズレが生じるのに対し、FPGAではレイテンシーがなく画像とセンサーによって捕捉されたデータが一致していることを紹介した。

左の画像では車の画像とオレンジのセンサーデータがズレている

左の画像では車の画像とオレンジのセンサーデータがズレている

これは対向車線を逆方向に走る車輌に対して行った処理であるとして、実際に違いを見せつける良い事例となった。

データセンターとXilinx製品の関係

最後にXilinxのデータセンター事業のトップ、Salil Raje氏が登壇し、データセンターのトレンドとして、「ヘテロジニアスなコンピューティング環境が求められていること」「クラウドからエッジへにコンピューティングが移行しつつあること」「人工知能の利用の拡大」などを挙げた。

データセンター事業のトップ、Salil Raje氏

データセンター事業のトップ、Salil Raje氏

特にペン氏がオープンソースとして無償で公開するとだけ紹介したVitisについて、ここでRaje氏が詳しく解説を行うこととなった。

Vitisの詳しいアーキテクチャー

Vitisの詳しいアーキテクチャー

ビルドのためのツール群と実行のためのランタイム、そしてデバッガーなどの解析ツールなどを組み合わせたものがVitisであるという。当然だが、VersalやAlveoなどのプラットフォームに加えてDockerイメージを使ったArtifact、そしてスケールアウトのためのKubernetesへのデプロイも可能であるという部分に、データセンター事業への強い関心を感じることができた。

データセンターでもデプロイできるVitisのArtifact

データセンターでもデプロイできるVitisのArtifact

その後、IBM、Micron Technologyなどが登壇し、人工知能におけるXilinx製品の優秀さをそれぞれが語った。最後にはXilinxの無線ソリューションのトップとなるLiam Madden氏が登壇し、5GにおけるXilinxソリューションを紹介した。5Gのテスターソリューションを展開するKeySight LabsのNathan Jachimiec氏が登壇して、5Gネットワークのテスターの紹介をして2時間のキーノートが終了した。

データセンター、5G、自動運転という3つのホットな市場において、Xilinxの優位点をユーザーやパートナーに語らせるという演出は、ややもすると乱雑な印象を受けがちだが、3つの市場にフォーカスしてポイントを絞ったプレゼンテーションとなった。Nvidiaのような派手さはないが、パートナーとユーザーのエコシステムが健全に構築されてることを目の当たりにしたキーノートとなった。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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