今年はオンライン開催! Backlogとプロジェクトマネジメントの知見が得られる「Backlog World 2020 re:Union」レポート

2020年5月21日(木)
巻 宙弥(まき・みちや)

はじめに

4月18日(土)、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、史上初の完全オンラインでライブ開催された「Backlog World 2020 re:Union」。イベントサイト(connpass)での登録者は634名、当日のYoutubeの同時視聴者数は390人を超えるなど、多くの方に注目、また実際に視聴いただきました。

Backlog Worldとは

Backlog Worldは、JBUG(Japan Backlog User Group)が運営を担っている、年1回開催されるコミュニティ主催の大型イベントです。

JBUGは、2017年に誕生した「チームではたらく、すべての人に」 を掲げる「Backlog」のユーザーコミュニティで、北は札幌から南は沖縄まで、複数の地方で継続的にミーティングを開催しています。

Backlog World 2020のテーマは「ONE」

今年のテーマは「ONE」でした。

今回のライブ配信は、天神放送局様にご協力いただきました。当日はほぼオンタイムで終了しましたが、天神放送局様のご協力なしでは実現できなかったと思います。「ライブ配信で機会格差をなくしたい」という想いで活動されています。オンラインイベントの配信ノウハウに悩んでいる方は、ぜひ一度、天神放送局様のサイトをご覧ください。

各種セッションからLTまで
10本のコンテンツ

当日のコンテンツは、合計で4時間強のボリュームでした。各発表の資料はイベントサイトで公開しています。配信動画のアーカイブツイートまとめも併せてご覧ください。

本稿では、このコンテンツから4つのセッションをピックアップして紹介します。

リモートワークでプロジェクトマネジメントを上手く行うための技術

2年ほど前よりリモートワークを実践している株式会社mgn。すでに実践しているリモートワークと業務の根幹にあるプロジェクトマネジメントについて、リモートワークでの1日の過ごし方、仕組みとして利用しているツール等、リモートワークのメリットとよくある問題点やハマりポイントを交えた発表でした。

同社ではコミュニケーションサービスに「Zoom」を活用しています。Zoomを職場に見立て、基本的にはつなぎっぱなしでリアルタイムなコミュニケーションを実現しているようです。チームメンバーの雰囲気を感じ取ることにも意識できる環境を作られているところや、社員のコミュニケーションが円滑にできていることなど、リモートワークを上手に活用しているなと感じました。

ツールとしては、全ての業務の中心にBacklogがあるそうです。GAS(GoogleActionScript)を活用し、システムで対応できることは全てシステムで実現しています。例として、日報をTogglやBacklogのデータをGASで自動化しているとのことでした。

リモートワークで苦労するポイントは「教えにくい・伝えにくい」こと。その対策として、同社では多くの解説動画を準備し、初めて業務に携わる社員でも問題なく業務に入れるようにしているそうです。これからリモートワークを始めようとしている方にも参考になるのではないでしょうか。働く社員とそれを支える家族のことも含め、「互いを理解し合って、助け合う」ことを大事にされているなと感じました。

とてもユーモアのある大串さんのトークは、聴いている私達も楽しくなるものでした。

オンラインで取り組む100のコロナショック対策

現在、世界中に感染が広がる新型コロナウイルスとの戦いについて、動画を用いてそのプロジェクトを紹介しました。

紹介されたのは、下記の6つのプロジェクトです。各プロジェクトにかかわるメンバーが、自分の言葉で魂を込めて伝えました。この6つのプロジェクト内容はYoutubeで配信されています。

キーメッセージは「The World is ONE」。コロナ禍の今、「残りの94プロジェクトは視聴者の皆さんが立ち上げてくださいね!」という小泉さんのメッセージとともに、1人でも多くの人に届けばと思います。

Backlogとチョコレート工房

スピーカーの江澤さんが経営する「ママノチョコレート」で、製造から販売までのプロセスを改善した事例の発表でした。

菓子業界は「リモートワークの難易度が高い」という課題がある反面、この課題をクリアすることで、成長の伸びしろがあるとのこと。

キーメッセージは「10人以上は1,000人と同じ」。この考えをもとに、自動化サービスであるZapier(ザピアー)をはじめ複数のサービスをツールとして活用し、無駄をなくす仕組みを作り、そのルールを定義・明文化していました。

生産性を確保するために、ここまでツールを活用しているのか!と驚きました。この取り組みにより、繁忙期には何十時間もあった残業時間が、数年前と比較して10時間程度に削減できたと言います。何かの改善活動には、創意工夫による成果が現れるまでには相当な苦労があると思います。「良くしよう」と本気で考えて行動した先に得られるものもまた大きいと再認識できました。

日本人、外国人、ミレニアル世代…
多様なバックグラウンドを持つチームにおけるプロジェクトマネジメント

YouTubeでもプロジェクトマネジメントの話題を公開している、スピーカーのセイトさん。まさにLT!の疾走感がありつつも「あるある」と感じさせてくれる内容でした。

キーメッセージは「バックグラウンドが違うとスタンダードが違う」。世代、職種、誤認識によるギャップは至るところにあるとのこと。期待と結果に違いがあることは、プロジェクトマネジメントにとても当てはまると思いました。

「曖昧」さを排除し、「定量化・具体化・期待値」の明確化と「ワークフロー」の重要さを認識でき、明日すぐに実践できる内容でした。

セッションのまとめ

今回は4つのセッションのみを紹介しましたが、全体を通して見るとプロジェクトマネジメントに関する共通的な観点が含まれたセッションが多かったと思います。セッションの内容はもちろん、伝えたいキーメッセージも登壇者の考えにより様々ですが、プロジェクトマネジメントの本質を学べる内容だったと感じています。

1人でも多くの方、特に現時点でプロジェクトマネジメントを担っている方や、これからプロジェクトマネジメントを始める方には、ぜひYoutubeのアーカイブ配信を視聴いただき、何かの気づきを得るキッカケになれば良いなと思います。

おわりに

Backlog World 2020は、視聴者の皆さん、登壇者の皆さん、運営メンバー全員が協力し、成功のもと終了することができました。この場を借りて、皆さまに御礼申し上げます!まさに「ONE」をチームで体現し、実感できた1日でした。

Backlogをお使いの方、また実体験からプロジェクトマネジメントの知見を学びたい方は、ぜひJBUG(Japan Backlog User Group)へご参加いただければと思います!

著者
巻 宙弥(まき・みちや)
Backlog World 2020 re:Union 運営メンバー。JBUG札幌

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