コロナ禍の新入社員として、島根拠点に配属になったエンジニアの1年間
はじめに
こんにちは。パソナテック島根Labの竹中です。エンジニアとしては未経験でパソナテックへ入社しました。最初の配属で島根県へ移住し、現在は島根Labで主にWeb開発を行っています。
2020年は新型コロナウイルス感染症に翻弄されたと言ってもいいほど、世界中が大きく変わった1年でした。外出自粛やリモートワークの普及、思い返してみると様々なことがありました。私が入社からずっと続いたリモートワークも、今となっては私のニューノーマルとなりました。
今回は、そんなコロナ禍に入社した新人エンジニアが2020年の1年間をどのように感じて過ごしてきたのかをお話しします。
怒涛の4月が始まった
入社直前から、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、日本中で不穏な空気が漂っていました。そしてその影響を受け、当初オフラインでの開催を予定していたパソナグループ全体の研修はフルリモートに変更。残念ながら入社式もオンラインでの実施に切り替わりました。私は研修のために東京にきていたのですが、京都の実家へとんぼ返りし、実家で研修を受けることにしました。
コロナ禍での新しい研修方式
実家で研修に参加するにあたり、パソナグループから研修資料一式が送られてきました。毎日の検温報告が研修の出席代わりとされ、会社も私達も初めてとなるオンライン研修が始まりました。
学生時代の友人の中には、新入社員研修自体が2ヶ月ほど先延ばしになっている人もいたので、4月から研修を受けられるのは非常にありがたいと思いました。
パソナテック以外のパソナグループ各社で採用された同期とはほとんど直接会うことができなかったのは非常に心残りでしたが、オンライン研修は初めての取り組みだったにもかかわらず、私達が楽しめるようにカリキュラムが組まれていました。オンライン飲み会が黎明期だった当時に「オンラインお茶会」という先駆けとなるイベントが開催されたことは、今となっては懐かしい思い出です。
パソナグループ全体での研修後には、パソナテック主体でITの基礎を学ぶ研修が始まりました。ハードウェア、ネットワーク、セキュリティ、DB、マネジメントについて幅広く学びました。研修中は同期たちとお互いに分からないところを教え合い、理解を深めていきました。そのおかげか、オンライン上のコミュニケーションだけでもどんどん仲良くなっていったことを覚えています。休みの日には夜中までずっと喋りっぱなしのときもありました。
1度目の緊急事態宣言の解除
2020年5月25日に緊急事態宣言が解除され、6月に実家から再び東京へと移動しました。当時は感染者数が若干落ち着き、週1日程度は時短勤務での出社も開始となりました。2019年11月の内定式から実に半年ぶりに同期たちと再会しました。新入社員をサポートしてくれた先輩社員とも初めて直接会うことができました。
しかし、久々の対面での研修は楽しめたのですが、リモートがニューノーマルとなってしまった私にとって、対面での研修はまた違った体力を使うなといった印象を持ちました。
そして初めての配属先が決定!
2020年6月下旬に社内での面談や研修がすべて終わり、ついに配属先の発表です。一人ずつ名前が呼ばれ、続々と配属先が告げられていく中、私の配属は島根Labでした。当時は正直、島根県の場所もよく分かっていませんでした。パソナテックには名古屋、大阪、島根、福岡と4つのLabがあり、それぞれが開発に特化しているという印象でした。
高等専門学校や情報系の大学出身ではなく、完全に未経験の私がエンジニアの揃うラボへの配属。さらには、島根Labで開設史上初の新卒配属ということもあり、かなり不安でした。しかし、私には学生時代にオーストラリアへ1年間留学した経験があったので、見知らぬ土地に抵抗はありませんでした。島根への引越し前には、メンターとしてサポートしてくださる先輩方、島根Labのマネージャー陣が揃ってオンラインで面談をしてくださり、不安を払拭してくれました。
そして島根での新生活がスタート
配属当時、島根Labはオフィス増床のため改装工事中で、さらにはコロナ禍もあってテレワークが多くなってくることは島根に来る前からわかっていました。そのため、移住にあたり家探しやデスク周りのガジェットには特にこだわるようにしました。椅子もオフィスと同じものを使い、腰のケアを大事にしています。
島根Labに来てからは、まずRuby on Railsの基礎を学びました。配属されてからずっと教育係の先輩2人についていただき、わからないことがあればすぐに通話をつないで質問に答えてくれました。その後、実際にRailsを使ってWebアプリケーションの開発を行いました。
島根Labがある、また私が住む松江市は自然が豊かで、おしゃれなカフェもたくさんあります。少し歩けば松江城や宍道湖(しんじこ)など、島根ならではの景色を楽しむこともできます。落ち着いた環境の中で、島根での生活に徐々に慣れていきました。
開発の醍醐味を知った夏
島根Labは産学官連携の取り組みに力を入れており、島根県周辺の教育機関や自治体と協力してワークショップや就活イベントを頻繁に開催しています。2020年9月には東京の別部署と共同でインターンシップを実施しました。私も社会人として初めて学生から質問を受け、エンジニアの仕事内容や就活についてのアドバイスをしました。未熟ながら学生のサポートや運営のお手伝いもさせていただき、非常に良い経験になりました。後日、講義のサポートとしてインターンシップに参加してくれた学校を訪問した際には、インターンで関わった学生達が話しかけてくれて嬉しく思いました。
また、同年9月中旬には島根の地域課題をITで解決するワークショップが開催され、島根県内のIT企業と学生が協力して実装に取り組みました。島根Labのメンバーは全体のイベント進行と技術講義を担当し、私も資料とアイデア創出のワークに使うLINE BOTを開発しました。このLINE BOTは私が島根Labに来て初めて本格的に作ったものでした。イベント本番では学生の皆さんがうまく活用してくれ、さらに参加された企業の方には「このLINE BOT、とてもいいね!」と褒めていただきました。自分が開発したものに良いフィードバックをいただくこと、それもまた開発の醍醐味だと実感しました。
現在はVue.js、React、PHP、Railsなど、フロントからバックエンドまで幅広い技術に触れながら、毎日の業務に励んでいます。今はYouTubeやWebサイトから無料でIT知識を学べるので、それらを活用しつつ社内で開催される各種ウェビナーにも参加しながら、日々自分のスキルを磨いています。
ニューノーマルとしてのリモートワーク
新人研修からずっとリモート勤務が続いていたので、今となってはリモートワークが私の働き方の基本になりました。新入社員なのに週1回出社するかしないかという状態ですが、毎日の朝会・夕会をはじめ社内SNSで積極的にコミュニケーションを取るようにしているため困ることはありません。2ヶ月に1回ほど開催される2020年度入社社員向け研修もオンラインで行われています。島根Labが開催する学生向けのイベントもほとんどがオンライン開催で、学生側も徐々にオンラインイベントに慣れてきたように感じています。
また、島根Labでは東京と福島にある別会社の方々と合同で、毎月エンジニア同士の勉強会を開いています。このようにLT(ライトニングトーク)や講義、ハンズオンなどを通して全国各地の様々な方と交流ができるのもオンラインならではの魅力でしょう。
島根には県や市が企業立地促進に積極的に取り組んできたことで、県外から多くのIT企業が拠点を構えています。以前、松江工業高専専門学校でのイベントに参加した際にお会いした企業の方の実家が、私の実家から徒歩30分ほどのところにあるらしく、お互い思わぬところで意気投合しました。Iターン、Uターンで島根に来られた方が多いので、馴染みやすく様々な地方の話ができることも楽しみの1つです。
これからの展望
現在、エンジニアは深刻な人材不足が見込まれており、今後はさらに海外の人材に頼らざるを得ない状況になってくると予想されます。私自身、来日したことがなくても日本の文化が好きで日本語を勉強してくれている外国人の方に数多く出会ってきました。私の主観ですが、そういった方なら言語の壁はすぐに超えてくれると思います。私が持っている最大の武器は「英語力」なので、島根Labでの産学官連携の取り組みにおける人材育成に加えて、日本に住む外国人の方や海外の方に向けて日本の地方で働くことの良さや魅力を発信していき、島根県でのエンジニア人材の創出にも携わっていきたいと思っています。
ITスキルに関しては、2021年1月から毎日の自己学習を英語でSNSにアップし、主に海外のエンジニアと互いの技術力を高め合いながら自己研鑽を続けています。個人的には1年目に触れたVue.jsやReact、Railsの理解度をさらに深め、これから注目されそうなGo言語などの技術にも積極的に触れていきます。
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