KubeCon EU 2021からセキュアでコンパクトなバイナリーフォーマットWASMのセッションを紹介

2021年9月10日(金)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
KubeCon+CloudNativeCon EUからWebAssemblyがクラウドネイティブの未来であると解説するセッションを紹介する。

WebAssemblyの特徴

続いてMicrosoftのRalph Squillance氏にバトンタッチ。ここからはWebAssemblyの特徴的な機能を挙げながら解説を行うフェーズとなった。

WebAssemblyの現在とは

WebAssemblyの現在とは

Squillance氏によれば、すでに多くのシステムでWebAssemblyが使われており、特にエッジにおけるアプリケーション用の仮想マシンとして優れていることなどを紹介した。ここでAzureチームのプログラムマネージャーであるSquillance氏が、WebAssemblyでプラットフォーム全体を開発できると紹介したのは大きな意味があるだろう。またMicrosoftが開発するフライトシミュレーターにもWebAssemblyが使われているという点を紹介し、MicrosoftがWebAssemblyをクリティカルなシステムにおいても使っていることがわかる。

参考:2020年12月10日のデベロッパー向けアップデートでWebAssemblyに言及

ここからはサンドボックス、セキュアなメモリーアクセス、厳密な型定義を使ったインターフェース、WebAssemblyからシステムコールにアクセスするWASI(WebAssembly System Interface)を紹介した。

サンドボックスの解説

サンドボックスの解説

なおこのスライドで使われているイラストは、FastlyのエンジニアであるLin Clark氏によるものだ。Clark氏はMozillaでWebAssemblyを開発していたが、Mozillaがリストラクチャリングの一貫としてWebAssemblyチームを解雇した後にFastlyに移ったという経歴を持つ。

WASIの解説

WASIの解説

その後Squillance氏は、簡単なWebAssemblyからファイルアクセスを行うシステムインターフェースを呼ぶ簡単なデモを行った。

最後にWebAssemblyのエコシステムへの参加を呼びかけて、セッションを終えた。

WebAssemblyのエコシステムに参加を呼びかける

WebAssemblyのエコシステムに参加を呼びかける

最後にwasmCloudについて、以下の動画からのスライドを使って解説しよう。解説を行ったのはLiam Randall氏が在籍していたCapital OneのエンジニアであるKevin Hoffman氏だ。

WebAssemblyはスタックベースの仮想マシンでありバイナリーフォーマット

WebAssemblyはスタックベースの仮想マシンでありバイナリーフォーマット

特にこのスライドでwasmCloudについてアクターモデルのためのランタイムであり、サーバーからIoTデバイスまで多様なデバイス、アーキテクチャー上で実行できるポータブルなプラットフォームであることを解説している。

wasmCloudはアクターモデルのためのプラットフォーム

wasmCloudはアクターモデルのためのプラットフォーム

そしてWebAssemblyとwasmCloudの比較表をみれば、その位置付けがさらにわかりやすいだろう。WebAssemblyが要素技術だとすれば、wasmCloudはそれをアクターモデルとして実行するプラットフォームとなる。アクターモデルは複数の小さなアプリケーションを協調させる並列処理のためのプログラミング技法で、AkkaやMicrosoftが開発をリードするDaprでも使われている。アクターモデルを使うことでローカルでの実装から巨大なクラスターでの実装まで、コードを換えずにアクターを増減させることでスケールさせることができる。アクターモデルに興味を持ったエンジニアはぜひ、こちらの動画を参照されたい。

WASMとwasmCloudのイントロダクション:From Napkin to the Cloud: A WebAssembly Journey

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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