CloudNative Days Tokyo 2021が11月に開催 記者会見で見えた「繋げる」の意味

2021年10月7日(木)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
11月4、5日に行われるCloudNative Days Tokyo 2021の概要が発表された。

クラウドネイティブなシステムに関するオンラインカンファレンス、CloudNative Days Tokyo 2021(CNDT)が、2021年11月4日と5日に開催される。今回はメディア向けの説明会の内容を紹介し、イベントを裏から支えているボランティアたちの思いをお伝えしたい。

開催概要。日程は2021年11月4~5日だ

開催概要。日程は2021年11月4~5日だ

今年のテーマは「+Native ~共に繋げるクラウドネイティブの世界~」であり、「参加者と講演者が知識や経験などを交わす交差点になりたい」と説明した。

60以上予定されているセッションの中で目を引いたものとして、金融業界からの参加者によるキーノートが挙げられる。株式会社みんなの銀行、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社の執行役員やアーキテクトが、クラウドで稼働しているバンキングシステムや、素早い開発を実現するためのプラットフォームなどについて解説するセッションが行われる予定だ。

上記2社以外には、メルカリ、ミクシィそしてゼットラボ(Yahoo! Japanのコアの技術開発を担っている)がキーノートセッションを行うことが明らかになった。

日本企業の3社については国内のテクニカルなカンファレンスではお馴染みの顔ぶれであり、安定のラインナップと言えるだろう。

またクラウドネイティブなシステムに関する代表的なカンファレンスであるKubeConの主催者であるCloud Native Computing Foundation(CNCF)から、ゲストスピーカーとしてEcosystem AdvocateであるKatie Gamanji氏がセッションを行うことが発表された。Gamanji氏は2020年のKubeCon NAでもセッションを行っており、ユーザー企業の立場から鋭い視点でクラウドネイティブなシステムに関する考察を行っている。

KubeCon NA 2020のGamanji氏のセッションに関する記事:KubeCon+CloudNativeCon NA開催 Kubernetesのクラスター管理を進化させる方法論をKatie Gamanji氏が解説

見どころの紹介に続いて、CNDTの共同チェアマンを務める草間一人氏によるオンラインイベント用のプラットフォーム説明が行われた。草間氏は同プラットフォームの開発にボランティアで関わっているエンジニアでもある。

独自に開発されたオンラインイベント用のプラットフォーム

独自に開発されたオンラインイベント用のプラットフォーム

このシステムは2020年のCloudNative Days Tokyoから利用されているもので、サイバーエージェント、ヴイエムウェア、HPEなどのエンジニアが開発に関わっていたようだ。CloudNative Days Tokyoの前身であり2018年に開催されたJapan Container Days(JKD)でも青山氏、草間氏などが関わって短期間にイベント用のシステムが開発されたことを記憶している。

2020年のイベント記者発表に関する記事:クラウドネイティブなシステムのためのカンファレンス、今年はオンラインイベントとして実施

このプラットフォームは動画配信の部分にVimeoを使い、それ以外は当初はHerokuとRuby on Railsを用いて開発された。のちに、Kubernetesをベースにしたシステムに進化している。

イベントプラットフォームの進化を説明

イベントプラットフォームの進化を説明

PaaSの利用からコンテナ化、そしてCI/CDの利用など、レガシーなシステムが存在しないためにゼロから発想して短期間にシステム開発を行えたことを説明した。

また今後のアフターコロナ、つまりオンラインとリアルの対面型カンファレンスが並立していくことを想定して、参加者IDの共有化、課金、入退場管理なども視野に入れてシステム開発を行っていく予定であることが説明された。プラットフォームの開発及び動画配信を行うスタッフには一定の報酬が支払われていることは良い方向だと思う。一方で課金やIDの管理などのセキュリティと信頼が必要となる機能の運用をコミュニティという形で行うのは、かなりのチャレンジだとも感じた。その辺りも含めて、コミュニティの中でオープンに議論を始めて欲しい。

イベントプラットフォームとしての将来を解説

イベントプラットフォームとしての将来を解説

CNDTの実行委員は総員23名で、そのうち8名が今回新規に加わったという。実行委員会の約3割が新メンバーであり、より多くの新しいエンジニアを誘い込むことでそのエンジニアが所属している企業やコミュニティにも少なくない影響を与えることができるだろう。また今回初登壇となる講演者も約6割を占めるという。スピーカーや実行委員会に新たな顔ぶれが加わることは、CNDTというイベント自体が拡大しているあかしと言えるだろう。

ちなみに2020年のテーマは「+Native ~ともに創るクラウドネイティブの世界~」だった。

2020年の記者発表会:クラウドネイティブなシステムのためのカンファレンス、今年はオンラインイベントとして実施

約1ヶ月後の開催が期待される。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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