クラウドネイティブなシステムのためのカンファレンス、今年はオンラインイベントとして実施
クラウドネイティブなシステムの推進を目指して開催されるCloudNative Days Tokyo 2020の開催概要を、主催者であるコミュニティメンバーがオンライン記者発表会の形で解説した。今年2020年のCloudNative Days Tokyoは、新型コロナウイルスの影響でオンラインイベントとして2020年9月8、9日の2日間に渡って開催される。
主な説明を行ったのは、これまでもクラウドネイティブなシステムに関する語り部として数多くの国内のカンファレンスでスピーカーとして登壇してきたサイバーエージェントの青山昌也氏とヴイエムウェア株式会社でPaaSなどの技術に関わるエンジニアの草間一人氏だ。
まずは過去の開催実績について触れ、2018年のJapan Container Days(JKD)では800名程度だった参加者が、2019年には東京、大阪、福岡で2000名近くを集めたことから、クラウドネイティブなシステムに関するニーズと関心が確実に拡大していることを紹介した。また参加者だけではなくスポンサーやコミュニティの参加も拡大していることから、日本国内でもクラウドネイティブのエコシステムが着実に拡がっていることを強調した。
イベントそのものがリアルのカンファレンスからオンラインイベントに移行したことと同時に、2019年の反省から「ともに創るクラウドネイティブの世界」を目指すとして、リアルのセッション以上に参加者とのコミュニケーションを活発にするというのが今年のコンセプトだという。
そしてオンラインイベントとして単に動画を流すだけでなく、双方向のコミュニケーションが発生することを目指すために、独自のプラットフォームを開発したという。こちらのプラットフォームは動画部分にはVimeoを利用するが、それ以外はゼロからソフトウェアを開発していることが紹介された。
独自のプラットフォーム開発に至る前には、さまざまなプラットフォームやツールの利用が検討された。その結果、どうしても実行委員会として納得できる選択肢がなかったことから、6月に開発が決定し、7月から実際に開始されたというもので、「欲しいものがなければ作れば良い」という極めてスタートアップ的、オープンソースソフトウェア的な発想と実践と言えるだろう。
またセッションのスピーカーと参加者とのコミュニケーションのために「Ask the speaker」や「Discussion Board」といったツールも活用して、スピーカーから参加者への一方通行にならないように配慮していることを説明した。
セッションの詳細などはすでに公開されているが、その中から見どころとしてキーノートに登壇するサイボウズ、富士通の内容を解説した。
セッションへのリンク:モノリスからクラウドネイティブへ - 設計思想の違いを知り乗り越える
セッションのリンク:とある少人数のサービス開発チームのクラウドネイティブへの船出の話
今回は新型コロナウイルスの影響もあり、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)からの招待スピーカーの参加はなく、100%国内のエンジニアによるカンファレンスであるという。またKubeConではセキュリティやサービスメッシュ、オブザーバビリティ、CI/CD、サーバーレスなどの領域についてミニカンファレンスが用意されているが、今回は同様の枠は用意せず、ディスカッションボードで対応していきたいと説明した。
ただセキュリティやCI/CD、モニタリングなどについては、CFP(Call for Proposal)の応募内容からも関心が高いことは理解しているとして、それらのトピックについてはより深いディスカッションが行えるように詰めていきたいと語った。
また独自開発されるプラットフォームのライセンス等については「すでにオープンソースとしてMITライセンスでGitHub上にコードは公開されているが、現在は9月の開催に向けて全力で開発中なので、現状でそれを積極的に公開したりコントリビューションを求めたりはしていない。まずは動かすことが最優先」と回答し、今後の取り扱いには含みを持たせた。
オンラインのレジストレーションはすでに公開されており、以下から登録が可能だ。
CloudNative Days Tokyo公式サイト:https://cndt2020.cloudnativedays.jp/
リアルからオンラインイベントに移行したこともあり、双方向のコミュニケーションを活発化できるかどうかは正直なところ、分からないというのが本音だろう。しかし果敢にチャレンジする精神は、評価したい。今年後半の、最も注目すべきITイベントと言って良いだろう。
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