連載 [第35回] :
  月刊Linux Foundationウォッチ

LFが「Kubernetesプロジェクト ジャーニー レポート」とKubernetesの新トレーニング「Kubernetes アプリケーション開発」を発表

2023年8月31日(木)
吉田 行男

こんにちは、吉田です。今回は、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)から公開された「Kubernetesプロジェクト ジャーニー レポート」日本語版の内容を紹介します。

【参照】Kubernetesプロジェクト ジャーニー レポート
https://www.cncf.io/reports/kubernetes-project-journey-report-jp/

Kubernetesは、2004年にGoogleのエンジニアによって開発が始まり、2016年3月にCNCFの最初のホストプロジェクトになりました。2018年3月にKubernetesはCNCFを卒業していますが、現在ではLinuxに次いで世界で2番目に大きなオープンソースプロジェクトで、Fortune100企業の71%の主要なコンテナオーケストレーションツールになっています。

少し古いデータですが、米国の調査会社であるGartnerの“The CTO’s Guide to Containers and Kubernetes”によると「2027年までにグローバルな組織の90%以上がコンテナ化されたアプリケーションを本番環境で実行するようになる」と予測しています。

Kubernetesの開発は、下図で示すように非常に多くのコントリビュータに支えられています。貢献している企業のトップ2はGoogleとRedHatです。この2社の割合はCNCFに参加する前は83%を占めていましたが、現在46%とほぼ半数まで減少しています。これは、2社以外にも数多くの企業が貢献していることを意味します。2社がCNCFに参加した2016年より、積極的に貢献する企業数は731社から8,012社に増加し、2,727人だった個々のコントリビュータも76,035人以上に増加しています。

企業の規模や業態を超えた多様性 【参考】「Kubernetesプロジェクト ジャーニー レポート」

また、以下に「企業別Kubernetesコントリビューションの累積成長」を示しますが、この中で興味深いのはVMwareのコントリビューションが増加していることです。GoogleでKubernetesプロジェクトを立ち上げた3人のうちの1人として知られているJoe Beda氏が現在、VMwareに在籍していることを考えれば当然のことかも知れません。

企業別Kubernetesコントリビューションの累積成長 Q2 2014 – Q2 2023
【参考】「Kubernetesプロジェクト ジャーニー レポート」

Kubernetesコントリビューションの企業別内訳 Q2 2014 – Q2 2023
【参考】「Kubernetesプロジェクト ジャーニー レポート」

新しい技術を普及させるために一番必要なことは、その技術を使いこなせる人材を多く育成することです。CNCFでは、Linux Foundationと協力してKubernetesの基礎、Certified Kubernetes Administrator、Certified Service Providerプログラムなど、多数のKubernetesトレーニングおよび認定プログラムを開始しています。

その中で「Kubernetes and Cloud Native Associate(KCNA)認定」は、Kubernetesに焦点を当てたクラウドネイティブ エコシステム全体の技術者を育成するもので、今年の第3四半期には「Kubernetes and Cloud Security Associate(KCSA)認定」を開始してクラウドネイティブ空間における熟練したセキュリティプロフェッショナルの増大するニーズに対応できるようにしようとしています。これらのプログラムは、どちらも学生と将来の専門家になるべく技術者を対象としています。

また、2017年7月にはCNCFとLinux FoundationがedX.orgと提携し、無料のMOOC(Massively Open Online Course)である「Introduction to Kubernetes」を発表しました。本レポート時点で約30万が登録し、159カ国から登録者が集まっています。

各種認定プログラムへの登録者数が増加 【参考】「Kubernetesプロジェクト ジャーニー レポート」

その他にも、本レポートにはさまざまなデータが収録されてるので、興味のある方はぜひご覧ください。

さて、Kubernetesをさらにコモディディ化するためには人材育成が重要だと説明しましたが、2023年8月からマルチノードクラスタでアプリケーションをコンテナ化、ホスト、デプロイ、構成する方法を学ぶインストラクター主導トレーニングコース「Kubernetes アプリケーション開発 (LFD459-JP)」を発表しました。これは、これまで英語で提供されてきた「Kubernetes for App Developers (LFD459)」を、日本語のテキストと演習ガイドを使い、日本語で受講できるようにしたものです。

【参照】Linux Foundationインストラクター主導トレーニングコース「Kubernetes アプリケーション開発」を発表
https://www.linuxfoundation.jp/press-release/2023/08/japanese-version-of-kubernetes-for-app-developers/

このコースは、マルチノードクラスタでアプリケーションをコンテナ化、ホスト、デプロイ、構成をする必要がある経験豊富なアプリケーション開発者を対象としており、簡単なPythonスクリプトから始めてアプリケーションリソースを定義し、コアプリミティブを使用してKubernetesでスケーラブルなアプリケーションを構築、監視、トラブルシューティングする方法を示します。ネットワークプラグイン、セキュリティ、クラウドストレージを使用すると、本番環境にアプリケーションをデプロイするために必要な多くの機能を利用できます。また、学習するトピックは認定試験「認定Kubernetesアプリケーション開発者 (CKAD-JP)」でテストされる知識ドメインと連携しており、この認定の推奨トレーニングとなっています。

この「Kubernetes アプリケーション開発」は3日間のカリキュラムで、コース完了後にLinux Foundationからトレーニング修了証とデジタルバッジが発行されることになります。

ちなみに、このコースを最大限に活用するには、Linuxの基本的なコマンドラインとファイル編集のスキルがあることや、プログラミング言語 (Python、Node.js、Goなど)の使用に精通していることも必須になります。さらにクラウド ネイティブ アプリケーションの概念とアーキテクチャに関する知識も必要となるので、事前にこれらの知識を学習しておくことが推奨されています。

このように発展してきたKubernetesですが、前述のように2027年までにグローバルな組織の90%以上が活用すると予測されていることを考えると、今後のIT技術者には必須の基礎知識になるかも知れません。その前に、IT技術者は早急にKubernetesを習得しておく必要があるのではないでしょうか。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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