NICの設定をしよう!
NIC設定の指針(OS標準機能)
今回は、SUSE Linux Enterprise Server(以下、SLES)のネットワークの設定について解説していきましょう。
サーバに搭載されているNIC(Network Interface Card)は、そのサーバの種類によってさまざまなタイプが存在します。またLinuxの場合、これらのNICに対する設定もPCのそれに比べると考慮点が非常に多く、適切な知識をもったネットワークエンジニアによる設計が必要です。
通常、PCであればNICのポート1つに対して、単一のIPアドレスやネットマスク、ホスト名などを設定します。しかし、サーバ用途では複数のNICを束ねて仮想的なインタフェースを構成する場合や、VLAN(Virtual LAN)ドライバによる仮想的なネットワークセグメントを作成する場合があります。基本的には、いずれの場合も物理的、仮想的なインタフェースに対してIPアドレス、ネットマスクを割り当てます。
単純なネットワークの場合、SLES 10が有するインストーラを使って設定する場合もありますが、仮想的なインタフェースやVLAN、多数のスタティックルートの設定などを行う必要がある場合は、OSが起動した後に手動で設定を行います。例えば、bondingの設定などがこれに相当します。
bonding
bondingは、複数のNICを束ねて単一のインタフェースに見せることで、束ねたNICのいずれか1つに障害が発生したとしても他の正常なNICでネットワーク通信を行うことができる機能を提供します。データベースサーバや多くのHAクラスタではbonding構成によるNIC障害対策を行います。
このbondingの設定はインストーラでは設定せず、OSインストール後に手動で行います。また、VLANによるネットワークセグメントの分割を行う設定もOSインストール後に行います。
VLANには大きく分けてポートVLANとタグVLANの2種類があります。タグVLANではLinux上にVLANドライバをインストールして設定します。このためbonding同様、OSインストール後にVLANドライバの設定を手動で行う必要があります。
図1は、bondingとVLANドライバを併用したシステム構成の例です。サーバの物理NIC2とNIC3およびNIC4とNIC5でbondingを構成し、さらにVLANドライバにより複数のLANセグメントに分割しています。
このbonding設定は、SLES 10のインストール後に手動設定します。SLES 10におけるbondingの設定は/etc/sysconfig/network/ifcfg-bondXファイルです。bondingについては、徹底比較!!クラスタソフトウェア「第6回:Serviceguard for Linuxで実現するHAクラスタ(http://www.thinkit.co.jp/cert/compare/17/6/2.htm)」や改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - クラスタ編「第1回:LinuxでもHAクラスタ(http://www.thinkit.co.jp/cert/article/0701/2/1/3.htm)」において解説をしておりますので、参考にしてください。また、SLES 10におけるbonding設定手順については、HPが提供しているServiceguard for Linuxのドキュメント(http://www.docs.hp.com/ja/linux.html)が参考になります。
次のページでは、bondingのもう1つの重要な役割について解説していきましょう。