NICの設定をしよう!
システムの運用の複雑さを回避するbonding
bondingは、ネットワークの冗長性を確保するという重要な機能だけでなく、システムの運用の複雑さを回避する役目も担っています。例えば、図2に示すように、HAクラスタの場合、非bonding構成では1つのNIC障害やネットワークケーブルの断線が起こると、たった1つの障害だけで、HAサービスがフェールオーバしてしまいます。
HAクラスタにおいて、フェールオーバは最終手段であり、クリティカルな障害が発生しないかぎりは、できるだけフェールオーバさせないのが基本方針です。しかし非bonding環境では、たった1つのNIC障害がシステム全体のフェールオーバを招き、ディスクのLVMのマウントの切り替え、FC経路の切り替え、HAサービスの再起動など、システムに非常に大きな負担がかかります。
これはHAクラスタとして機能はしていても、HAシステムとして堅牢であるとはいえません。bondingはサービス継続だけでなくシステム全体の高可用性にもかかわる非常に重要なテクノロジといえます。
ネットワーク(NIC)のドライバについて
ネットワークカードを動作させるNICドライバはSLES 10標準で提供されています。またハードウェアベンダからNICのドライバが提供されている場合もあります。
OS標準のNICドライバとハードウェアベンダ提供のNICドライバには機能差があります。例えば、HP ProLiantサーバではProLiant Support PackにNICドライバが含まれており、HP製のNICドライバを容易にインストールすることが可能です。
また、ProLiantサーバではオンボードのNICとして、Broadcom社製のものを採用しているものがあります。そのため、Broadcom社製のNICに搭載されているチップの種類によってドライバが異なります。例えば、ProLiant BL460cに標準搭載されているBroadcom社製のNICは、チップがBCM5708であり、SLES 10に標準で搭載されているドライバが利用可能ですが、PSPに含まれているHP製のドライバを利用することも可能です。NICの種類とSLES 10用のHP製ドライバの対応関係はProLiant Support PackのNICドライバのドキュメントに記載されています。このように、ハードウェアによってもNICの設定に違いがありますので、導入するハードウェアの仕様を確認してください。