Flashの新ファイルフォーマット「XFL」
XFLファイルの書き出しと読み込み
Adobe CS4ではAfter EffectsやInDesignなどから、XFLファイルを書き出せるようになりました。
XFLファイルは基本的にFlashのソースファイルであるFLAファイルの内容をXMLデータで表したもので、XMLファイルと素材ファイルを含むアーカイブファイルとなっています。XFLファイルは、Flash CS4で通常のFLAファイルのように開くことができるので、例えばInDesignで作成した紙媒体用のレイアウトされたデータをほぼそのままの形でFlashに持ってくることができます。これにより紙媒体とWebで統一感のあるコンテンツを作りやすくなる、といったメリットがあります。
InDesignでレイアウトされた複数のページ(図1-1)をXFLに書き出し、Flash CS4で読み込む流れは次の通りです。
InDesign上で「ファイル → 書き出し」を選択し、保存ダイアログで「Adobe Flash CS4 Pro(XFL)」を指定して保存します。書き出しに関するダイアログが表示されるので、ステージサイズ、ページ、テキストに関する設定を行います。テキストに関する設定では、InDesign上のテキストフィールドをFlash上で編集できるテキストフィールドとして保持するか、ベクター画像やビットマップ画像として変換するかを指定できます(図1-2)。Flashからは通常のFLAファイルと同様に「ファイル → 開く」で開きます。
Flash上では、各ページ/スプレッド単位でムービークリップとして管理され、個別のフレームに配置されます(図1-3)。InDesign上でハイパーリンク、ページ効果、インタラクティブ要素などを設定してもこれらは無効となり、Flashに持ち込むことはできません。なお、これらの設定はInDesignからSWFに書き出すときには有効に動作させることができます。
XFLによって広がる制作の多様性
Flashにデータを持ち込むのであればXFLファイルである必要はなく、直接FLAファイルを書き出せれば事足りるはずです。XFLファイルがFLAファイルと大きく異なる点は、XFLファイルがオープンなフォーマットであることです。XFLファイルの実体はZIPアーカイブファイルで、ファイルの拡張子を.zipに変更すると解凍して内容を確認することができます。
XFLファイルにはFLAファイルの構造を表すDOMDocument.xml、ライブラリを表すLIBRARYフォルダなどが含まれ、LIBRARYフォルダにはメディアデータやムービークリップを表すXMLファイルなどが含まれます(図1-4)。
これらのファイルをテキストエディタやペイントアプリケーションで編集し、ZIPアーカイブファイルにした上で拡張子を.xflに戻せば、Flashを使わずにソースファイルの修正ができたことになります(図1-5)。
このようなオープン化の動きはFlashコンテンツ制作の世界を大きく活性化させる可能性があります。今までSWFファイルを作成できるサードパーティーのアプリケーションはいくつもありましたが、Flashのソースファイル(FLAファイル)を作成・編集できるアプリケーションはありませんでした。新しいFlashのソースファイルとしてXFLファイルが登場したことにより、サードパーティーが独自の個性を持ったXFLファイル作成・編集アプリケーションを開発できる下地ができたと言えます。
近い将来、XFLがFlashのソースファイル形式として置き換わり、サードパーティー製のXFL作成・編集アプリケーションがリリースされ、XFLファイルをSWFファイルに書き出すためだけの安価な(あるいは無償の)ツールが登場する、という可能性が考えられます。そうなればFlashコンテンツの制作はより多様な選択肢が生まれます。
XFLファイルは単にFlashの新ファイルフォーマットというだけでなく、大きな変革の象徴とも考えることができます。実際に今後どのような方向に進むことになるかは分かりませんが、大きなポテンシャルを持った変更なので、今後のXFL関連の動向には注目すべきと言えるでしょう。