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CMS導入に向けて行うこと

2009年3月13日(金)
門別 諭

要件定義~どのようなWebサイトにするのか

 CMS導入と言うと、一般的にはソフトウエアの選定から入ることが多いと思います。しかし、何を行うべきが定義されていない状態でソフトウエアの選定ができるはずがありません。相当に精密なRFPが作られていれば可能な場合もありますが、ほとんどの場合はそうではありません。リスクを最小限に抑えるためにも、要件定義とそれ以降の作業を分けて行う方が望ましいでしょう。

 要件定義で明確にしなければならないことは、どのようなシステム(情報の流れ)を構築するのかという点です。要件定義で検討されるテーマの例として以下のようなものがあります。

・Webサイト構造をどのような形にするのか
・ページ構造をどのような形にするのか
・Webサイト運営にかかわるメンバーをどのような構成にするのか
・コンテンツの流れをどのような形にするのか
・付随機能として何を提供するのか

 まずサイト構造について、ユーザーにどのようにWebサイトを見てもらいたいかを定義していきます。ここが細かく定義されていないとシステムを構築する際に、要/不要の検討ができません。システムができ上がってから泣きを見ないためにも細部まで十分に検討するようにしましょう。

 アウトプットとしては、Webサイトの基本チャートとページ領域定義があることが望ましいです。要件定義では、Webサイトの骨格を決める必要があります。基本チャートはWebサイト構造全体の骨格であり、ページ領域定義はページの骨格を示すものです。これらを作成することでWebサイト全体の骨格を作ることができます。情報は詳細であればあるほど望ましいですが、無理に詳細ばかりを詰めようとして大枠が決まっていないということにならないよう注意する必要があります。

 上記に加え、要件定義においてはWebサイトに掲載するコンテンツ群を整理する必要があります。コンテンツは、基本チャートを作る際に一度整理しているはずです。例えば、以下のようなものです。

・ニュースリリース、新着情報のかたまり
・会社情報のかたまり
・製品情報のかたまり
・サポートのかたまり
・投資家情報のかたまり
・採用情報のかたまり

 この作業によって、CMSソフトウエアにおけるデータ構造のベース部分が準備できます。

 以上3点のアウトプットにより、サイトの構造、ページの構造、コンテンツの構造の大枠を確定することができます。このほかに付随機能やサイト内検索機能など、システム連携が発生するような場合は別途仕様を定義しておきましょう。

運用定義~どのように運営していくのか

 次は管理側機能の定義です。Webサイト運営メンバーの選定と、コンテンツをどのように流していくかの業務の流れを決める必要があります。

 Webサイトの運営メンバーを決めるためには、まず運用フローを定義しなければなりません。この際、ソフトウエアでできること、できないことはいったんイメージの外に追い出してから運用フローを検討するようにしましょう。運用フローをいかにスリムで現実的なものにするかがここでのポイントです。ソフト側の機能制限が先入観として頭の中にあるとそちらに引きずられてしまい、最適な運用フローの策定を邪魔してしまう可能性があります。可能な限り現実の業務を意識して運用フローを定義していくようにします。

 実際導入するソフトウエアにて全体が実現できない場合は、適用できる部分をその上に、そのそれ以外については運用マニュアルなどでカバーすれば問題はないはずです。

 運用フローが完成すれば、Webサイトの運営にかかわるメンバーが自然と割り出されます。かかわり方は直接的でも間接的でも問題ありません。例えば、コンテンツの原稿執筆者がCMS導入後も間接的にかかわる場合もありますし、直接的にかかわる場合もあります。誰がCMSを使うのか、登場人物の明確化がここでのポイントになります。

 次に運用に必要な機能を見ていきます。運用にかかわるメンバーや業務の流れが分かってくると、機能面も徐々に洗い出されていきます。ここで重要視すべきはメンバー間のリテラシー差です。バラつきが少ない場合は一定の機能で効率的な運営が期待できます。しかし、リテラシー差に大きな開きがある場合は注意が必要です。効率的な運営を行うためにはそれぞれのリテラシーに合わせた機能を用意する必要があるためです。リテラシー面で注意が必要な点は以下の通りです。

・入力内容チェック機能:入力内容に誤りがないかをチェックする
・プレビュー機能、コピー機能:作成したコンテンツのプレビューやコンテンツの複製を作る
・ワークフロー:承認者にチェックを依頼する(メール自動送信など)
・多言語対応:特定の言語で入力されたコンテンツを多言語に翻訳できる
・履歴機能:問題発生時などに、作業手順をさかのぼることができる

 これらの機能を合わせて検討することによって、導入すべきCMSの全体像が浮かび上がり、ソフトウエアの選定やシステム構築に向けた具体的な協議が行えるようになります。

【参考文献】

『Webブランディング成功の法則55』生田昌弘/株式会社キノトロープ著 発行・株式会社翔泳社(2005)

『CMS構築成功の法則』生田昌弘+門別諭/株式会社キノトロープ著 発行・技術評論社(2007)

株式会社キノトロープ
株式会社キノトロープ 代表取締役社長
株式会社キノトロープスリーイント 代表取締役社長
IT技術を有効な成果につながるソリューションに変換してシステムを構築することで顧客に最適なソリューションを提供するITコンサルティングサービスを行う。FatWire社のContent Serverなど、各種CMSを活用したシステム構築を数多く手がけており、CMSに関するセミナーでの講演なども多数行っている。著書:CMS構築 成功の法則

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